ワークアウトは筋肉を疲労させるための手段である。ワークアウトという手段を使って十分に対象筋を疲労させたら、私たちが次に行うべきことは疲労の回復だ。どれだけ十分な刺激を筋肉に与えたとしても、次回のワークアウトまでにしっかり疲労を回復させなければ、ただ疲労を積み重ねるばかりだ。それでは筋発達の反応は起きないのである。
文:John Balik from Complete Cycle
翻訳:ゴンズプロダクション
ワークアウトこそが筋肉の発達反応に直結すると誤解している人が多いが、ワークアウトは反応を起こすためのスイッチに過ぎない。スイッチがオンになったら、疲労を回復させるために栄養と休養を十分に得ることで、ようやく発達反応が起きるのだ。このことを正しく理解し、ワークアウトを終えたら必ず次回のワークアウトまでにしっかり休養を取り、栄養を補給して、疲労を完全に回復させることが必要なのだ。ワークアウトによって発達反応を起こすためのスイッチがオンになっていることを前提に、具体的にどのような材料が発達反応に必要なのかを見ていこう。
ミネラル
筋肉が疲労を感じるのは乳酸が蓄積するからだ。乳酸は血液に溶け込んで全身を巡るわけだが、これを中和させることが疲労回復を促す鍵となる。乳酸の中和にはまず第一に種々のミネラルが必要になる。ミネラルが中和反応を仲介するのだ。中和とは物質の作用力を奪うことである。ミネラルが十分に供給されていれば、乳酸は作用力を失い、疲労感を弱めることができるわけだ。ミネラルは乳酸の中和だけに役立つものではない。例えば筋肉に収縮を指示する脳からの指令は神経系を通って送られるわけだが、神経系をしっかり働かせるためにもミネラルは不可欠だ。さらに、エネルギーをつくり出すシステムを正常に機能させるのにも必須であり、ミネラル不足の状況では、材料はあってもエネルギーを効率よく生み出すことができなくなってしまう。
酵素、アミノ酸、ビタミン類
私たちの体の中ではさまざまな化学反応が絶えず繰り返されている。それらの反応は何千種類にも及び、しかも秒速で起きている。反応が起きる際には酵素が仲介してアミノ酸やビタミンが材料として用いられるため、当然のことながら疲労回復の反応を起こすにもこれらの栄養素は極めて重要である。
炭水化物
理想的なワークアウト前の食事にはミネラル、酵素、アミノ酸、ビタミン類に加えて天然の炭水化物も含まれる。炭水化物は決してたくさんは必要ない。例えば十分に熟したバナナなどを1本加えるだけで十分だ。エネルギー源になるという理由で単糖類の砂糖が含まれるお菓子を食べてもいいのではないかという人がいるが、糖を含む食品はワークアウト前の食事としては不向きである。なぜなら、糖には体内で起きるさまざまな化学反応を不安定にし、体のエネルギーレベルを一気に低下させる性質があるからだ。そのため、糖をワークアウト前に摂取するとワークアウトの途中でやる気が奪われ、エネルギーレベルの急激な下降によって運動の継続が困難になってしまうのである。減量中の人はできる限り体脂肪を減らすために、時間をかけてトレーニングを行っているはずだ。また、炭水化物の摂取も計画的に制限している可能性が高く、ワークアウト前に摂取するシェイクなどにも炭水化物が含まれないものを利用しているかもしれない。特にデフィニションを極めようとする段階では、炭水化物は極力制限したいのだ。そのため、炭水化物の有無は、アスリートの目的に合わせて調整すること。
ワークアウト前のシェイク
ワークアウト前はできるだけ必要な栄養素をしっかり体に取り込み、それらの栄養を使える状態にしておきたい。そのため、消化時間が長くかかる固形食よりシェイクなどの飲料が適している。摂取するタイミングはワークアウト開始の1〜2時間前がいい。最初のうちは2時間前に摂取し、週ごとに徐々にシェイクの摂取とワークアウト開始までの時間を短くしていくようにしよう。例えば1週目はワークアウト2時間前に摂取し、2週目は1.5時間前、3週目は1時間前というようにしてみる。こうすることで、運動開始前の体に負担をかけずにワークアウト前のシェイクを消化することができるようになるはずだ。中にはワークアウト1時間前の摂取だと、膨満感でトレーニングに集中できないという人もいるだろう。そういう場合は無理にワークアウト1時間前に摂取する必要はない。ワークアウト前の食事タイミングは、人それぞれ理想のタイミングがあるので、自分の調子が一番いい摂取タイミングを見つけよう。ワークアウト前のシェイクとしては以下のようなレシピがあるので参考にするといいだろう。
【ワークアウト前のシェイク】
※以下の材料をブレンダーに入れる。
①生卵2個
②レシチン小さじ2杯
※この段階で1回目の攪拌を行い、レシチンを完全に溶かす。
③牛乳240cc(減量中の人は代わりに冷水を入れる)
※2回目の攪拌をする。
④さらに牛乳50ccとプロテインパウダーを加える(冷水に置き換えてもOK)
※3回目の攪拌をする(10秒)。
⑤熟したバナナ1本(減量中の人は省く)
※4回目の攪拌をする(バナナが滑らかになるまで)。
※できあがったら以下のサプリメントと一緒に少しずつ飲む。
⑥カルシウム500mg
⑦マグネシウム250mg
⑧カリウム500mg
⑨マンガン10mg
⑩ケルプタブレット2〜5錠
⑪アルファルファタブレット2〜5錠
⑫レバータブレット5〜10錠(複合ビタミンBとして)
⑬ビタミンE(100〜400i.u.)
⑭ビタミンCとバイオフラボノイド500〜1000mg
このようなシェイクをワークアウト前に摂取しておくと、運動前のエネルギーレベルを高めることができるだけでなく、運動後の疲労回復作用を速やかに開始することができる。運動を終えてから、疲労回復の作用が始まるのが早ければ早いほど筋発達を促すことにつながるのだ。そのためにはワークアウト前に、ワークアウト後のことを考慮した上記のような内容のシェイクを摂取しておくことが勧められるのである。
ワークアウト後のシェイク
ワークアウト後も先と同じような内容のシェイクを飲むとなおいい。その場合、ワークアウトを終えてから30分以内に摂取しよう。このタイミングで摂取することで、栄養の枯渇した細胞に速やかに疲労回復や筋肉のダメージ修復に必要な栄養が染みこみ、発達のための反応を開始するのだ。なお、今回ここで紹介したサプリメントについては、あくまでも参考例だ。量も種類も必要に応じて調整しよう。また、ワークアウト後のシェイクを摂取したら、その1〜2時間後には通常の食事を摂るようにする。あとはリラックスしてゆっくり過ごし、疲労回復が十分に行われるのを待つだけである。
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