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筋肉はすぐつく!?筋トレによくある3つの勘違い

筋トレをすると太る、身体が硬くなるなど、筋肉やトレーニングに関しては、さまざまな誤解を抱いている人が多いもの。トップアスリートでも誤解している人が多いのです。美しくしなやかな身体をつくるためにも、正しい知識を得ることが重要です。今回はよくある誤解を解いていきましょう。

筋トレにまつわるあらゆる誤解

誤解1:「筋肉はすぐつく

本気で筋トレをしている人は、そうではないことを身にしみて感じていると思いますが、特に女性は「筋肉がたくさんつくと嫌だから」と、筋トレを敬遠する人が多くいます。しかし、筋肉は実際にはつきにくいものなのです。人類は500万年にわたるその歴史の大半で、飢餓に悩まされてきました。現在は飽食の時代ですが、遺伝子には飢餓の時代の情報のほうが多いのです。食べ物がたくさんある日本でも、戦争などを鑑みると、今のように食べ物に困らなくなってからまだ100年と経っていません。飢餓の遺伝子を抱えているということは、筋肉をあまりつけさせないほうに傾きます。なぜなら、筋肉がたくさんあると、それだけで熱を放出してエネルギーを消費してしまうからです。これは、現代においては筋肉の大切な役割だと言えるのですが、飢餓の時代にこれが起こると、エネルギーが無駄になってしまいます。我々の体にはこうした特性があるので、毎週ジムでトレーニングしているのになかなか筋肉がつかないとガッカリしないためにも、筋肉はそもそもつきにくいものであるという認識を持っておいてください。

誤解2:「筋トレでオーバートレーニングになる

オーバートレーニングとは本来、ランやスイム、自転車など、長時間の有酸素運動において起こり得る症状であり、筋トレのような運動では至ってなりにくいものであると言えます。なぜなら、筋トレは比較的短時間で行うため、オーバートレーニングになる手前で終わることがほとんどだからです。トレーニングによる疲労はもちろんありますが、オーバートレーニングとは別物です。筋トレ後に休養を挟めば頻度を上げてもきちんと回復できるので、安心してください。

誤解3:「筋トレをすれば競技がうまくなる

競技をしている人によくある誤解です。当たり前ですが、うまくなりたければ、ひたすら競技の練習をしたほうが上達します。ぜひ心にとめておいていただきたいのは、筋トレとは〝不合理〞なものだということ。例えば、重いものを持つときに、いかに軽く感じるように持つか考えるのが人間の本能です。ところが、筋トレでは逆に、軽いものを負荷としていかに重く持つかを考えなければなりません。競技では力を合理的に使わなければならないので、筋肉をつくるためのウエイトトレーニングは、競技の観点から見ると真逆であることを認識してください。力を発揮する土台をつくるためにウエイトトレーニングは必須ですが、競技がうまくなるため、つまり動作を覚えるためには、その競技の練習が必要です。

筋トレの極意

こうした誤解を解いた上で、筋トレの極意は何か。それは、
1.短時間・高強度で行うこと
2.その環境に身を置くこと
3.自主的に行うこと
この3つです。

1.短時間・高強度で行う

 長時間筋トレをすれば効果が上がるかというと、そうではありません。脂肪燃焼には効くと思いますが、筋肥大の観点では「短時間」「高強度」がポイントになります。筋肥大は速筋が起こす現象なので、長時間ダラダラ動いていても、遅筋にしか刺激が行きません。遅筋がギブアップしてからの1、2回が速筋に働く、つまり筋肥大につながるのです。

2.その環境に身を置く

 筋肥大の環境に身を置くこと。人間に備わっている機能には適応力があります。筋肥大したければ、ジムに入会するなど、その環境に身を置くことで、人間は適応していくものです。

3.自主的に行う

 3つ目は、トレーニングは強制されてやるものではないということ。先述のように、力を不合理に使うという行為自体が不自然なので、それを強制されたら、嫌で嫌で仕方がありません。だからこそ、筋トレは自主的に、自分の意思でやるべきです。私は、これこそがウエイトトレーニングの極意だと思っています。

 トレーニングの目的を、減量と筋肥大とに二分した場合、減量は食事のコントロールだけでも可能ですが、筋肥大の場合はトレーニング:食事=2:8の割合で必要だと考えています。食事の影響力は大きいのですが、トレーニングを一切しなければ太ってしまうだけなので、2割であってもトレーニングの重要度は高いのです。

桑原 弘樹(くわばら ひろき)
桑原塾主宰。スポーツサプリメント『パワープロダクション』の産みの親。NESTA JAPAN(全米エクササイズ&トレーナー協会)PDA。武藤敬司氏率いるW-1(レッスルワン)コンディショニングコーチ。国内外のトップアスリートに対して独自のコンディショニング指導を行い、各種スポーツ誌への執筆や講演会を実施するなど多方面にわたって活動中。

取材:飯塚さき Illustration:JUNKO


執筆者:飯塚さき
1989(平成元)年生まれ、さいたま市出身。早稲田大学国際教養学部卒業。ベースボール・マガジン社に勤務後、2018年に独立。フリーランスの記者として『相撲』(同社)、『大相撲ジャーナル』(報知新聞社)、『IRONMAN』(フィットネススポーツ)、スポーツ庁広報ウェブマガジン『Deportare』などで執筆中。2019年ラグビーワールドカップでは、アメリカ代表チーム通訳として1カ月間帯同した。

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