「疲れている」という思い込みには左右されない!ボディビルダー田代誠のタイムマネージメント術


――そういったときはトレーニングは休むのですか。
田代 とりあえずトレーニングを始めてみます。人間は心が弱いので、疲れていると思い込んでいるだけで、トレーニングを始めてみると調子がいいときもあるんです。また、精神的な疲れと体の疲れは別物です。ただ、年に何回か、本当にダメなときがあるんです(笑)。まずはトレーニングをやってみて、調子が上がってこなければ、そこでスパッと切り上げます。

――そうした場合、そのメニューを翌日にスライドさせるのですか。
田代 そこは体の具合を見ながら判断します。疲れているときもあれば、体が痛いときもある。その状況を見極めながら進めていきます。無理はしませんが、「疲れている」という思い込みには左右されないようにしています。トレーニングを1回休むだけで体の疲れはとれます。私もいろいろなスポーツをやってきましたが、2時間のハードなウエイトトレーニングほど体に負担がかかるものはないですから。

――仕事を終えてジムに入ると、そこでマインドが切り変わる?
田代 切り替わります。ただ、私はそこまで入り込まないタイプなんです。22時くらいの時間帯にかぶせているのは、お客様と話したいというのもあるんです。やはり、楽しいんですよ。ご挨拶して「最近はどうですか?」とお客様とお話ししながらトレーニングをする空間が好きなんです。トレーニーとして、人と接していたいです。その時間が一番楽しいですね。

――9時から21時までのスケジュールは、だいたい固定されているのですか。
田代 いえ、毎日バラバラです。会議があったり、店舗に行ったりり、人と会ったり、店舗からの問い合わせに対応したり。決められたスケジュールというよりは、始まりと終わりの時間が決まっているくらいで、その中ではいろんなことをやっています。

――夜はトレーニングできないこともあるのですか。
田代 あります。仕事を終えられなかったり、違う仕事が入ってきたりすると、22時や23時くらいになることもある。そうなった場合は、時間を見極めて判断していきます。0時くらいまでにトレーニングが開始できるのであれば、ウエイトだけやるということもあります。逆に、気持ちの切り替えが難しく、無理しなくてもいい場合は、休んだり、カーディオだけをやったり、そこは臨機応変に対応しています。

田代誠選手の1日のスケジュール&食事

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――仕事とトレーニングのバランスの取り方で気をつけていることはありますか。
田代 自分が取り組んでいる競技で結果を出したいという気持ちは、アスリートならば誰もが持っているはずです。私も20歳くらいのときは、この道で名を成したいと思っていました。かといって、どれだけ有名になっても、ボディビルだけで生計を立てられる人はいません。だから、仕事は絶対にしないといけない。その葛藤が20代前半にありました。しかし、ある程度の年齢を重ねてくると、ボディビルだけをやっている人生に疑問を感じるようになるんです。選手中心で生きていくにしても、そこに社会的な意義を見出せないと、私には続けられないです。

――ボディビル一本で生きていくことで、社会にどのように貢献できるかということですね。
田代 私はボディビルだけで人のお役に立てるようなことができるわけではありません。すると必然的に仕事と競技を両立していくことになります。ただ、両立しなければいけないという気持ちはないんです。ボディビルは長く取り組めるスポーツなので、両立すべきなんです。また今の私は競技に関わる仕事をやらせていただいています。競技と仕事が密接に関わっているので、幸せな環境にあると思います。

――日中の血中アミノ酸濃度などを気にすることは?
田代 まったく気にしていません。私は仕事中に「カタボリックが…」という言葉を発する人はダメだと思います。不規則な食生活をしているならまだしも、1回食事を抜いたくらいで何かが変わるものではありません。2時間置き、3時間置きにとらないと…というのは自分がそう決めただけで、3時間が4時間になったところで、何も変わらないと思います。1日に数回に分けてタンパク質をとるように心掛けていますが、時間にナーバスにならないようにしています。そこにストレスを感じるほうがマイナスだと思います。定期的に体に栄養を入れている、くらいの感覚です。

――そこに神経質になりがちな人は少なくはありません。
田代 若いうちは何事にも真剣です。一生懸命に取り組めば、そうなってしまうのは仕方がないと思います。ただ、社会生活を営む上で、それを表にはあまり出さないようにしなければいけません。それは周りの先輩たちが教えてあげるべきです。プロテインがとれなくてイライラしているような場面を見ると、周りの人たちは不快に感じます。一生懸命に競技に取り組んでいるのに応援されないというのは、かわいそうなことです。真剣に取り組んでいることは理解できるので、イライラしないように周りの人が教えてあげるべきだと思います。

――田代選手にも、そういった時期があったのでしょうか。
田代 ありました。競技とは関連性のない仕事をしていた時期は、トイレに行ってプロテインを飲んだりしていました。普通の職場で「ちょっとプロテイン飲んでもいいですか?」とは、なかなか言い出しづらいものがありますから(笑)。だから逆に、若いころの1日も無駄にしたくないような時期に、今の私のような考えではダメだと思います。

――経験を積んで、自分の体との信頼関係が築けていった?
田代 私の場合、2年ほどトレーニングができなかった時期もありました。それが自分の競技生活において大きなマイナスになったかといえば、そうではなかった。そういう経験をすると、心に余裕が持てるようになります。

――大会に出場していなかった時期もあります。
田代 大会には19歳で初めて出場しました。そのあとに就職したのですが、社会人1年目は何事も忙しいものです。20歳のときはトレーニングは続けていましたが、大会出場は見送りました。そして21歳で再び出場して、そのあと仕事の関係などで、また2年間ほどは大会には出ずにトレーニングだけを続けていました。24歳でまた出場したのですが、そこから2年間は忙しくなりトレーニングがあまりできなくなりました。そのころは月に1、2回ほどバーベルを触る程度でした。だから、これまでもコンスタントに大会に出場できていたわけではないんです。4回ほど日本一になりましたが、そのあとまた仕事が忙しくなり、7年間のブランクができました。

――その7年間は、どのようにしてトレーニングを続けていたのですか。
田代 ペースとしては2日に1回ほどの頻度でした。まったくできない時期もあれば、毎日のようにできた時期もありました。トレーニング内容については、競技に取り組んでいて、それなりの成績を残せている時期は、勝たなければいけないので、あまり冒険はしません。ですが、その7年間では、勝つ必要がなかったので、いろいろな冒険ができたんです。様々なトレーニング方法を試すことができました。自分では競技からは引退したつもりでいたのですが、トレーニングを極めたいという思いは持っています。トレーニーとしては、楽しい時間を過ごせました。いい勉強ができました。

――そこで得たものは復帰後のトレーニングや競技にも生かされているのでしょうか。
田代 生かされていると思います。トレーニングの幅が広がりました。競技については、全日本のファイナリストにはなりたいと思っていますが、順位への欲が少なくなっていると思います。ただ、復帰後もトレーニングを極めたいという気持ちがあるので、ときどき変なことを試します(苦笑)。それがうまくいくこともあれば、うまくいかないときもある。いろんなチャレンジをしながら、楽しみながら取り組んでいます。

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