体重66㎏でベンチプレス190㎏を挙げる男のベンチプレス強化法

 

‟体重66㎏でベンチプレス190㎏を挙げる男”として、鈴木佑輔選手のトレーニング内容に密着! そこには記録向上のための大切なポイントがいくつも隠されていた。ベンチプレスが強くなりたい人は必見!(IRONMAN2014年9月号から引用)

取材・文:藤本かずまさ 撮影:t.SAKUMA 

一番大事なのはラックアップの瞬間の作り方

 鈴木祐輔選手がベンチプレスのフォームを作る際、意識しているのは“4つの接点”だという。それはシャフトを握る『両手』、ベンチ台との接触点となる『後頭部&三角筋』と『お尻』、そして床につける『足』。これを次項に掲載した一連の独特の流れで『両手』『後頭部&三角筋』『お尻』『足』とシャフトに近い接点から決めていき、フォームを完成させていく。
「アーチを作りすぎると、その接点が甘くなる。だから私はナロウグリップで、アーチもそこまで作り込まずにやるんです。可動域を狭くするパワーフォームにこだわりすぎている人も多いですけど、大事なのは接点を決めることだと考えています」
 下半身はその接点を整える役目を果たし、レッグエクステンションの要領で床を強く蹴ることで『後頭部&三角筋』の接点に強い力が潜り込む。拳上時は『押す』という意識だと『後頭部&三角筋』の接点が甘くなってしまうため、『自分を押し下げる』という意識で行う。呼吸は、上げるときも下ろすときも動作中は止めている。視線は『バーのスピードを等速にするため』と『姿勢を保ちやすい』という理由から、バーを目で追うようにしている。
「一番大事なのはラックアップの瞬間の作り方です。ラックアップが決まれば、下ろしも決まる。下ろしが決まれば、上がる。ここではあまり緊張しないとこと。「上がるぞ!」と思うときは上がらないことが多いんです」
 練習は月曜日から土曜日までの週6回。取材した週のメインセットは192.5㎏を1回。これを毎日行い、土曜日もクリアできたら翌週は重量を2.5㎏アップ。メイン後のメニューはその日によって異なり、例えば180㎏でセットを組んだとすると、その回数を週の後半になるにしたがって増やしていく。
「月曜日は体がフレッシュな状態にあるんですけど、土曜日がキツイんです。そのキツイ状態で上がれば大会でも上げられるだろうと」
 ときに「技術面を向上させればもっと記録が伸びる」といった声をかけられることもあるものの、可動域を狭くするという選択肢は鈴木選手のなかにはない。目指しているのは、速く走れ、高く飛べ、そしてベンチも強い“超人”のような存在。だからこそ、見る者に驚嘆の念を抱かせるナロウグリップにはこだわりを持っている。
「見た目に関しても、誰が見ても『スゲーな』『かっこいいな』と思う体でありたい。『ベンチしかできない』のではなく、ぼくはトータルの身体能力を上げたいんです」

必見!ベンチプレス強化のための6つのポイント

その一:一連の動作でフォームをつくる

鈴木選手のフォームの作り方。大会でも練習どおりのことを行うために、この一連の動作をクセにしている。「頭をベンチ台から出して、そこから首を入れて、もう1回アーチを作ってという動作を毎回同じようにしています」

その二:シャフトは握らずに「つぶす」

シャフトの握り方。バーを乗せる位置はこのあたり。

鈴木選手のグリップ。握るというより、指でシャフトを「つぶす」という意識握りこむとシャフトが手のひらの上のほうにきてしまう。これでは手首を痛める危険性が増し、またバーと両手の接点が甘くなる実際にシャフトを持つとこのような感じになる。手のひらのこの位置にバーを乗せると、逆に指で握り込めなくなる。

その三:呼吸は腹斜筋で吐く呼吸で難しいのは「吐く」ときだという。肋間を開いたまま、腹斜筋を締めて強く吐く。感覚としては、胸式呼吸と腹式呼吸を同時に行うような感じ。会得するには練習が必要。「スクワットの呼吸と同じです。私はこれをやっているから(腹筋運動を行っていなくても)腹筋が割れているんです」

その四:肩甲骨は寄せずに「立てる」

肩甲骨は寄せるのではなく「立てる」。肩甲骨で胸椎を押し上げる感覚。

写真は肩甲骨を寄せた状態。肩甲骨を立てた状態の写真と比較すると、手首、ヒジ、肩のラインが垂直線上にないことがわかる。

その五:脚は四頭筋を使う

脚はハムではなく四頭筋を使う。レッグエクステンションの動作で肩の方向に押すような感覚で行う。脚のためのオススメの補助種目はシシースクワット。立った状態で挙上時の動作を行うと、その動きはまさにシシースクワット。

その六:補助種目は上腕三頭筋中心に追い込む

上腕三頭筋の補助種目は「セッティングするのが面倒くさいので」プラットホームに置いてあるバーベルでライイングエクステンション。その重量が上がらなくなった時点でセット終了。「最低限、やっておきたい種目」はライイングエクステンション、フレンチプレス、ケーブルでのプレスダウン」

意識しているのは長頭。フレンチプレスはバーベルを使ってスタンディングで行うこともある。キーワードは「無理のない範囲での高重量」

プレスダウンをやりこんでおくと、ラックアップして高重量を受けたときに安定する。

オススメ種目のプルオーバーエクステンション。肩関節が柔らかくなり、ケガの予防にもつながる


鈴木佑輔(すずき・ゆうすけ)
1984 年9月5日生まれ。茨城県守谷市出身。
身長169㎝、体重79.95kg。
2010年~2014年ジャパンクラシックベンチプレス選手権4連覇
2013年~2015年、2017〜2019年アジアクラシックベンチプレス選手権優勝
2018年~2019年世界クラシックベンチプレス優勝66㎏級ノーギアベンチプレス日本記録(190.5㎏)・アジア記録(175㎏)83㎏級元世界記録(216.5㎏)世界記録(211㎏)保持。公式大会の自己ベスト記録は222.5㎏。
トレーニング以外の趣味:釣り。「ジムの近くの川でトラウトフィッシングをやります。今はまだ禁漁なのですが、2月16 日から解禁になるんです」


執筆者:藤本かずまさ
IRONMAN等を中心にトレーニング系メディア、書籍で執筆・編集活動を展開中。好きな言葉は「血中アミノ酸濃度」「同化作用」。株式会社プッシュアップ代表。

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