マッスルゲート選手 コンテスト

元「関ジャニ」研修生の28歳 早朝3時起きの筋トレでどん底からの再起

4月6日(日)に開催された『マッスルゲート大阪』。熱戦が繰り広げられた会場で観客の視線を集めたのが、メンズフィジーク176cm以下クラスに出場した山垣健士郎(やまがき・けんしろう/28)さんだ。

【写真】山垣健士郎さんのバランスよくついた引き締まった筋肉

2023年には『ベストボディ・ジャパン高松大会』でグランプリを獲得した山垣さん。今大会ではタンクトップ部門で優勝、フィジーク新人・一般部門でそれぞれ2位を手にした。

実家の黒毛和牛牧場直営の肉屋、神戸山垣畜産で働いている山垣さんは毎朝3時に起床し、4時から7時までトレーニング、その後に仕事に取り掛かる多忙な毎日を送っている。

「トレーニングはだいたい3時間くらいやって、そこから出勤です。最初は45〜90分くらいのトレーニングだったんですが、1年半前からはセット数を25〜30セットに増やして、同じ種目で重量を減らしながらトレーニングするドロップセット法も取り入れてます。筋トレにしっかり時間をかけるようになり、食事は実家の牛肉をメインにしています。エネルギーを素早く生み出すクレアチンや、トリプトファンなどが豊富なので、結果的に筋肉量が1.5〜2kg増えました。やっぱり、マインドから変えるのが大事ですね。最初はできない理由ばかり考えていたけど、今はどうやったらやれるかばかり考えてます。早寝早起き、習慣になったら逆に楽ですよ!(笑)」

ボディメイクに対して積極的に、直向きに取り組み、颯爽としたステージングを見せていた山垣さんだが、その背景には絶望の日々があった。

「実は昔、両親や友人に迷惑をかけたんですよ。関西ジャニーズの研修生だったときがあるんですけど、なかなか上手くいかなくてモヤモヤした日々を過ごすことが多かったです。その当時にすごく可愛がっていた愛犬の死というタイミングも重なって、何もかもが上手くいっていないと思うようになってしまいました」

徐々にストレスが溜まっていった山垣さんは、非行に走っていったという。

「次第に夜中に出かけて朝まで帰らなかったり、学校に行かなくなったり……親が何度も学校に謝りに行ってくれてたのを、今でも思い出します。そんなある日、バイクの事故で肩の靱帯を傷めて、お医者さんには『もう肩を正常に動かすことができない』と言われました。元々スポーツが大好きだった自分にとっては、それがすごく大きくて…。モヤモヤしていた日々にプラスして、身体が動かせなくなり、心も折れてしまって、引きこもるようになってしまったんです」

事故当時は肩だけでなく、下半身も怪我のために動かせず、自宅療養の日々だった。そんな絶望の中で出会ったのが筋トレだった。

「動かせる範囲だけでもいいから、とにかく身体を動かそうと思って始めたのが筋トレ。筋トレというか初めはリハビリでした。徐々に身体が動かせるようになって、そこからはストレス発散もしたかったので、とにかく筋トレばかりするようになりました。身体が変わるにつれて、自分のメンタルも日々の生活も良い方向に変わっていきました。やればやるほど、ちょっとずつできることが増えて。自信が戻ってきたんです」

大会に出場する理由を聞くと、山垣さんは「今は迷惑をかけたので、実家の肉屋で少しでも恩返しをしたいと思って働いています。それだけではなく、立ち直るキッカケになった筋トレで結果を残すことで、せめてもの恩返しになればと思ってます」と語った。

「バイク事故のとき、助けてくれたのも家族でした。あと引きこもっていた時期、支えてくれたのは幼なじみの友人です。家族みたいな存在っていうか、もう家族です。大会に出て結果を出すことで、やっと胸を張れるようになった気がします。コンテストが終わった後に、『感動したよ』って言ってくれた両親の言葉は、今も胸に残っています」

バイク事故で身体が動かなくなり、未来への希望もなくなった時期。それでも、筋トレを通じてすべてが変わった。

「筋トレって、ただ身体を鍛えるだけじゃない。自分の人生も身体と一緒にちゃんと変えていけるって信じています。だから強くなりたい、変わりたいって思ってる人は、絶対一度ジムに行ってほしい。130分でもいいから、筋トレの素晴らしさを知ってもらえたらうれしいです。少なくとも僕自身は筋トレをすることで人生を変えることができました」

山垣健士郎さん

【マッスルゲートアンチドーピング活動】
マッスルゲートはJBBF(公益社団法人日本ボディビル・フィットネス連盟)とアンチドーピング活動について連携を図って協力団体となり、独自にドーピング検査を実施している日本のボディコンテスト大会である。

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取材:柳瀬康宏 撮影:上村倫代

執筆者:柳瀬康宏
『IRONMAN』『月刊ボディビルディング』『FITNESS LOVE』などを中心に取材・執筆。NSCA認定パーソナルトレーナー,ストレングス&コンディショニングスペシャリスト、NASM認定コレクティブエクササイズスペシャリスト。メディカルフィットネスジムでトレーナーとして活動。2019年より毎年ボディコンテストに出場中。

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