トレーニング、食事と同じくらい大切な要素である睡眠。人生の3分の1は眠りだともいわれています。一方で、現代は不眠に悩まされている人も少なくありません。今回は、桑原弘樹氏が睡眠を味方につける方法を伝授します。
※Woman's SHAPE&Sports vol.27に掲載された「桑原流・ボディメイキングの鉄則~睡眠を理解してボディメイクに役立てる~」をWEB用に編集したものです。
寝ている間の脂肪燃焼効果を狙おう
睡眠が上手にとれれば疲れが取れるので、トレーニング強度も上がります。そして、睡眠時代謝の間にもどんどんと脂肪を燃やそうというのが今回のボディメイクに役立てる睡眠の発想です。睡眠時は代謝自体は省エネモードですが、6~8時間と長時間なので、トータルの脂肪燃焼量は馬鹿になりません。そのためには、脂肪をエネルギー源に変える環境、つまり空腹にしておくことが大切です。胃に何かあると、それを優先してエネルギー源にしますが、空腹であれば、すでに身体の一部になっている脂肪をエネルギー源にしようとします。こうした上で、先述のことをすると、寝ている間の脂肪燃焼効率が上がります。
では、空腹とはどんな状態でしょうか。タンパク質や脂肪は消化に5~6時間以上かかるので、アスリートは試合から3時間前には固形物をとるのをやめます。この論理でいくと、寝る時間から逆算して3時間前にはカロリーのあるものをとるのをやめればいいのですが、就寝の3時間前に食べるのを終わらせるのは実際にやってみるとなかなか大変です。結論としては2時間前。そしてちゃんと寝ること。すると非常に脂肪の燃焼効率が上がります。
寝入りばなには成長ホルモンが分泌されますが、成長ホルモンは脂肪を分解することができます。ひとつ欠点になるのは、筋肉の分解。空腹はある種の飢餓情報なので、筋肉の分解が進みがちです。ボディメイクをする人はそこはなんとしても避けたいので、寝る前に3~5グラムのグルタミンを飲むといいでしょう。グルタミンは抗異化に効果的で空腹を阻害しません。また先のエキストラアミノアシッドを飲んでもいいでしょう。こうすると、寝ている間の数時間により脂肪が分解して燃えやすくなります。空腹だと寝にくいという人がいますが、数日頑張れば慣れてしまい、空腹のほうがむしろ眠れるようになります。
もうひとつ実験中なのが、アルロースという希少糖。アルロースにはカロリーがなく、寝る前に飲んでも空腹を阻害しません。加えて、脂肪を燃焼させる機能をもっているので、成長ホルモンが出て分解した脂肪を燃やすのに非常に好都合なのです。しかも、カロリーゼロなのに甘みがあるので、寝る前の空腹も上手にカバーしてくれます。あまり馴染みがない糖かもしれませんが、通販などでも手に入るし大量に飲むわけではないのでそこまで金額的な負担にもならないと思います。
このように空腹睡眠にグルタミンとアルロースを活用すると面白いかもしれません。実は私も実験中なのですが、非常に調子がいいです。
減量期バルクアップ期など、オン・オフはあると思います。しかし、オフ期でも睡眠の質を上げること、寝るときは空腹でグルタミンとアルロースを飲んでおくと、減量期にもあまり苦労しないで済むと思います。
桑原弘樹
Kuwabara hiroki
1961年4月6日生まれ愛知県出身。立教大学卒業後、江崎グリコに入社。スポーツサプリメント事業を立ち上げ、スポーツフーズ営業部長などを歴任し、現在はアドバイザー。桑原塾を主宰し、100人以上のトップアスリートのコンディショニング指導も行っている。
取材・構成=飯塚さき Illustration=JUNKO(小泉純子)