JBBF関西ブロックの開幕戦は2025年6月1日、神戸市産業振興センター・ハーバーホールで行われた。一番の激戦となった『第38回兵庫県クラス別ボディビル選手権大会』65kg以下級では、昨年4位、栗生稔哉(くりゅう・としや/25)さんが優勝した。栗生さんは各クラスの優勝者が争うオーバーオール戦でもチャンピオンになった。
師を倒すという目標
栗生さんには下半身のトレーニングに通う加古川市のMAXGYMで、師のような存在がいる。昨年の同大会で2位だった倉本(マキト)さんだ。
「ジムでは僕がいろいろと教わったりしています。昨年の同大会の初対決で全く歯が立たずに負けたとき、『今年は倉本選手に勝つ』という目標を掲げ、様々な計画を立てて日々必死に過ごしました。トレーニング時間が被ったときにはお互いを刺激し合い、部位が被れば火花を散らしながら合トレをすることもありました。目標を掲げることで今までにない進化を遂げることができ、オーバーオール優勝という飛躍につながりました」
様々な計画の一つはパーソナルトレーニングだ。
「昨年10月からジュラシックアカデミーで、尊敬する豆タンク杉中(一輝)選手のパーソナルを1〜2カ月に1回受けています。各部位普段行っているメニューの細かい修正を行っていただき、今後のボディビル人生を大きく変えるほどトレーニングの質が向上した実感があります。今年成績を大きく上げることができた大きな要因です」
「トレーニングは朝トレ派で週6日、2時間ちょっと。月曜日から、ハムストリング・お尻、四頭、胸、背中、肩、腕です。上半身は全て職場でもある『SynerGym加古川北在家店』でトレーニングしていますが、下半身にはこだわりがあるので月曜と火曜はMAX GYMでトレーニングしています」
身体を疲れさせるために筋トレ開始
高校までは野球部でキャッチャーをしていた栗生さん。走るのは遅かったが、肩の強さだけは自信があった。高校まで野球部の練習で日々疲れているのが普通だったのに、大学時代は授業とアルバイトだけで身体が楽すぎて、疲れていないのが気持ち悪くなった。
「身体を疲れさせる目的で近所のスポーツクラブに通い始め、最初はダンベルのブルガリアンスクワットとピンロードのレッグプレスだけしていました。そこから筋肉ユーチューバーぷろたんさんやボディビルダー木澤(大祐)さんのYouTubeを見て各部位のトレーニングや食事管理を覚え、徐々にのめり込みました」
ボディビルはハードルが高いと思ったが……
「トレーニングを始めたころ、ボディビルは正直ハードルが高く出たいとは思いませんでした。でも、ボディビル以外に出場しやすいコンテストやカテゴリーが色々あると知って何かしら出場したいと思い、とにかく必死にトレーニングと食事管理で増量や減量を行っていると、明らかにボディビル体型だと気づき始めました。大学3年生の時点で今後の人生をボディビルに振り切ることを決めて、仕事はボディビルにできる限り集中する環境を作るため、新卒で24hフィットネス&パーソナルジムのSynerGymに就職しました。仕事内容は店舗運営と、パーソナルトレーナーとしてトレーニング指導を行っています」
栗生さんは、2023年8月にマッスルゲート神戸大会・ボディビル65kg以下級でボディビルデビューし、優勝した。
食事管理
「朝ごはんを食べてから約1時間後にトレーニングして出勤。仕事の合間に3〜4回食事を取っています。昨年の減量はストレスを少なくするために、決めた栄養バランスの範囲内で和菓子やベーグルなど色々な食材を食べましたが、それだと変に欲が出て逆にストレスになっていることに気づきました。その反省を生かし、今年はカロリー関係なく食材を絞り、決めたもの以外は徹底して食べないようにしました。チートデイも暴食癖があるので今年はやめました。いつも周りの選手と比較するとかなりコンディションが甘いので、絞りは今後の課題です」
ボディビルは生活の軸
「ボディビルを始めて生活の軸ができました」栗生さんは言う。
「食事・睡眠・トレーニングを軸に生活し、それさえ満足にできれば、他のことにはストレスをほとんど感じません。逆に思ってもいないものを食べないといけないときや、トレーニング・睡眠時間が削られたときにかなり強いストレスを感じてしまいますが、今のところ崩れることはほとんどなく、ストレスフリーにボディビルに注力できています。もちろん競技者としてやっていると大変なことも多いですが、周りの環境にもかなり恵まれ、ボディビルしていて良かったと日々心から思います」
【JBBFアンチドーピング活動】JBBF(公益社団法人日本ボディビル・フィットネス連盟)はJADA(公益財団法人日本アンチ・ドーピング機構)と連携してドーピング検査を実施している日本のボディコンテスト団体で、JBBFに選手登録をする人はアンチドーピンク講習会を受講する義務があり、指名された場合にドーピング検査を受けなければならない。また、2023年からは、より多くの選手を検査するため連盟主導で簡易ドーピング検査を実施している。
取材:あまのともこ 撮影:岡 暁
主に『FITNESS LOVE』で執筆中。自身もボディコンテストに出場している。JBBF京都府オープン大会ビキニフィットネス(身長別)3位。マッスルゲート四国大会ビキニフィットネス2位。