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「挑戦する自分」に出会える場所 ― 48歳主婦「メガミチコ」が語るHYROXの魅力【HYROX WARRIORS no.1】

世界的に話題のフィットネスレース「HYROX(※)」で活躍する選手に迫る新コーナー。記念すべき第1回は、日本のHYROXパイオニア的存在を紹介する。

※「HYROX(ハイロックス)」とは、ランニングとフィットネス種目を組み合わせた新しいスタイルの競技。1kmのランニングと、8種目のファンクショナルトレーニング(機能的全身運動)を交互に繰り返すことで、筋力や持久力だけではなく、さまざまなフィットネスに関する能力が問われる。

【写真】バキバキに割れた腹筋でレースに挑戦する佐藤美智子さん
佐藤美智子さん

日本にHYROXを広めたパイオニア

「新しいことに一歩踏み出すとき、年齢や環境を言い訳にしてしまいがちです。けれども、誰にでも”まだできる!”と思える瞬間は必ず訪れると信じています」

そう語るのは、2児の母でもありフィットネストレーナーの”メガミチコ”こと佐藤美智子(さとう・みちこ/48)さん。佐藤さんが初めてHYROXに挑戦したのは2023年5月。海外で話題になり始めたフィットネスレースの存在を知り、直感で「これは日本でも必ず広がる」と感じたことがきっかけだった。

「最初にエントリーしたのは香港大会のWOMEN PRO部門でした。結果は総合2位でしたが、ここから世界ランキングに喰い込んで、もっと多くの人に競技を通してフィットネスを取り組むきっかけや、挑戦する楽しさを伝えたいと思うようになりました。

同年10月に出場したシンガポール大会ではクラウドファンディングを利用し、多くの方のご支援いただきました。こうして日本開催までつながったことを考えると、とても感慨深いです」

その大会ではWOMEN PRO部門で3位入賞。世界の強豪に混じりながら堂々の成績を収めた佐藤さんは、その後アジア選手権で日本代表キャプテンを務め、さらに2025年の横浜大会ではWOMEN PRO DOUBLES部門で優勝を飾った。

「PRO部門で結果を残すには、年齢的にも挑戦できる最後のタイミングだと思います」

そう謙虚に語りつつも、その歩みはまさに日本におけるHYROXのパイオニアそのもの。

初挑戦の3か月間はまさに手探り

佐藤美智子さん

佐藤さんの挑戦は決して順風満帆ではなかった。出場を決めた時、HYROXの種目全てを専門的に練習できる環境は多くなく、自ら方法を模索する日々。

約3カ月間は筋力アップとスタミナ強化を目的に、5〜8kmのランニングや長時間の高負荷トレーニングを繰り返す日々。

「1時間を超える競技でもあるので、とにかく、どれだけボリュームのあるメニューをこなせるか試すしかありませんでした。最初はテクニックを磨く余裕もなかったですね」

その後、日本代表キャプテンに任命されると状況は一変。国別対抗リレーを戦うために、毎回心を鬼にしてインターバル練習を導入。

「これまで以上にきつい練習で本気で向き合いました。もちろん初心者の方から障害を抱える方まで幅広く楽しめる競技なのですが、刺激を求めれば限りもないので、自分の目標次第でどこまでも挑戦できるのがHYROXの魅力だと思います」

HYROXで味わう達成感と広がる人生

HYROXのレースはランとワークアウトが交互に続くハードな構成。ただ、必ずしも全てを全力でこなす必要はなく、自分のペースで進めることができる。

「まだできる!絶対できる!と自分に声をかけ続けて乗り越えられたら、達成感はさらに大きくなります。

最後のフィニッシュゲートをくぐる瞬間は何度出場しても胸が熱くなる特別な場面なので、難しそうだと感じる人もまずは一度体験してみると、その楽しさや達成感がきっと分かると思います」

佐藤さんがHYROX挑戦を通じて得たのは、成績だけではなくたくさんの出会い。自分が信じた通りに行動することで、多くの人に出会い、たった2年で環境も一変。

「大切なのは、自分との向き合い方だと思います。結果ももちろん嬉しいけれど、振り返ればそこまでの道のりにこそ大きな価値があると実感しました。年齢や経験は人それぞれですが、挑戦する舞台はいつでも自分で選ぶことができます」

HYROXはまさに誰にでもそのチャンスを与えてくれる競技。次に胸が熱くなるフィニッシュの瞬間を味わうのは、あなたかもしれない。

次ページ:バキバキに割れた腹筋でレースに挑戦する佐藤美智子さん

文:林健太 写真提供:佐藤美智子

執筆者:林健太
パーソナルトレーナー、専門学校講師、ライティングなど幅広く活動するマルチフィットネストレーナー。HYROX横浜はシングルPROで出場。

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