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進撃の女子フィジーク選手・阪森香理 「欠場も考えた」苦境の一年を支えた怒涛の挑戦【筋トレ】

人生は上昇期ばかりではない。停滞、下降が必ずある。女子フィジークの阪森香理(さかもり・かおり/54)選手にとって、2025年は難航の年となっている。苦境の一年に対して挑戦を続けてきた軌跡に、アスリートが戦い続けるために必要な行動とメンタルが詰まっている。

【写真】阪森香理選手の鋭く絞られた筋肉美

これまでの進撃と今年をふりかえる

阪森選手はこれまで、2022年にボディフィットネスから女子フィジークに転向して『ジャパンオープン選手権大会』で優勝、無差別級頂上戦『日本女子フィジーク選手権大会』(日本選手権)で3位と一躍トップ選手へ。2023年に一時停滞する(日本選手権5位、初出場の年齢別全国戦『日本マスターズ選手権大会』で2位)も、2024には日本マスターズにて同大会8度(2024年時点)の優勝経験を持つ、清水恵理子選手をオーバーオール戦で下し、日本選手権4位と順調な実績を築いてきた。

今年は、日本マスターズにて50歳以上級では優勝を保つも、オーバーオール戦に敗れ2位。最高2位記録を持つ、身長別全国大会『日本クラス別選手権大会』163cm以下級では、3位となった。10月12日の本命大会・日本選手権を控え、今年の分析と取り組みを聞いた。

「まずは、JBBF(日本ボディビル・フィットネス連盟)の世界選手権選考の場となる、2つの大きな大会を無事に終えられたことに安心しています。今年は、身内の体調不良のサポートのため所属ジムを変更という大きな環境の変化、前年度からの自身の疲労・ストレスに対処がなかなかできず、大会出場自体が危うい状態でした。周囲の協力と応援があってこその出場であり、感謝でいっぱいです」

厳しい局面を支えた協力と応援を呼んだのは、阪森選手の果敢な挑戦の姿勢にあった。

新しい試みへの果敢な挑戦

阪森選手は今シーズン、4つの大きな挑戦を行なっている。まず、トレーニングにおいては、『本野式筋膜連鎖トレーニング』(※1)を本格的に学び、メニューを一新した。

「以前は、オールシーズン同じようなメニューでした。今期は10分割でメニューを組んでいます。本野式はオフシーズン、ピークメニューとレップやセット数まで細かく指示があります。不調で気持ちが沈み、トレーニングが辛い時期もありましたが、本野式による新たな身体の発見があったことで、またトレーニングがとても楽しいと感じられるようになりました。まだ進化できると確信したことが、気持ちを前向きにしてくれました。トレーニングフォームやダンベル、バーベルの握り方を変更して一からメニューを変えていきました」

食事面では遺伝子検査を導入し、自身に適した食材を模索し直したという。

「遺伝子検査の結果、糖質は意外と食べても大丈夫な体質でした。もち米が合っているなと思ったので、カロリー内で赤飯など取り入れてみました。トレーニング前後に摂取することで、トレーニングの最後まで質を保つことができました」

また、カーボアップ法など最終調整も、2大会間で変更するなど意欲的にルーティンの変革を続けている。

「マスターズ(8月31日)からクラス別(9月7日)までで、体重を1.5キロ落として調整しました。他にも、まだ怖くてチャレンジできてないこともたくさんあるので、今後も色々と試していきたいと思っています」

その他、サポートを受けているアミノ酸系サプリメント『MUSASHI』の活用法の変更と、2025年からアンバサダーとなった『A-wear』を用いたコンディショニングが変化をもたらした。

「『CHEN』をトレーニング20分前、『NI』をトレーニング直後、20分後に『KUAN』を摂取。大会前は、『KUAN』のタイミングを多く入れていきました。有酸素運動の20分前に『HUAN』をとるとパフォーマンスがかなり違います。また、『A-wear Work』(※)の基本動作から応用までの練習を重ねて、足裏から身体のニュートラルを意識することで、ハムストリングや殿筋のカットが際立つようになりました」

取り組みを変えたことで得た、「これまでとは違う成長の実感」が、大会出場の後押しと今後への希望となっている。

日本選手権へ向け「前回より進歩を」

10月12日(日)に本命・日本選手権を控え、阪森選手は今後の意気込みを語る。

「今後の課題は筋肉の厚み、特に下半身を強化すること、そして、最終調整を様々に試していきたいです。また、競技者としてだけでなく、女子フィジークの人気上昇に伴って業界発展への挑戦も考えています。フリーポーズの作成指導や、審査員の勉強再開を視野に入れています。周囲への感謝を忘れず、恩返しをすること、自分と向き合って前回より進歩することを目指します。応援よろしくお願いいたします」

苦しい状況だからこそ、挑戦的な取り組みをし続けてきた一年。そうして得られた進歩の実感の積み重ねが、心身の不調を乗り越える支えとなった。「自分は今後さらに良くなれる」という希望は、立ち止まってしまいそうな歩みを導く光となって、心を強く照らしてくれる。

阪森香理選手

(※1)パーソナルトレーナー本野卓士氏考案の『本野式筋膜連鎖トレーニングXYⅡZ』。本野氏は筋肥大職人と呼ばれ、多数のトップ選手の育成を手がける。

(※2)一般社団法人A-wear協会の提唱する、セルフ・メンテナンスメソッド。日常生活から無意識的に身体を最善の状態にすることで、自身の最大限のコンディションを引き出すことを目的とする。

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取材:にしかわ花 撮影:中原義史

執筆者:にしかわ花
『IRONMAN』『FITNESS LOVE』『月刊ボディビルディング』『Womans'SHAPE』寄稿。広告・コピーライティング・SNS運用。ジュラシックアカデミーとエクサイズでボディメイクに奮闘している。

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