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米国のフィットネス誌が検証:トレーニングの疲労が抜けない...その原因は「腸」にあるかも?

近年は「腸活」という言葉がメディアで盛んに扱われており、腸内細菌の働きによって、腸が消化器官としての枠を超えた機能を持つことにも注目が集まっている。特に免疫機能と腸の相関関係は、アスリートの体調管理においても極めて重要であると考えられている。

そこで本記事では、米国のフィットネス専門誌が解説した「腸の健康維持に役立つ工夫」についてわかりやすく説明する。

(IRONMAN2026年5月号「from IRONMAN USA」より転載)

免疫力と腸の関係

自分の疲労回復のスピードが他の人より遅いと感じたことはないだろうか? 疲労回復の足を引っ張る要因はさまざまだが、今回は「腸と疲労回復」に焦点を当てて解説していきたい。

免疫機能は、腸内環境の影響も受けていると言われており、腸と免疫機能は相互に関係している。

また、腸は脳や脊髄からの指令がなくても自律的に情報を処理し、身体や心の状態に影響を与える「独立した神経系」を持っており「第二の脳」とも呼ばれている。腸の状態が悪化すると不安感や抑うつ状態になりやすく、ストレスがダイレクトに腸の環境を左右するといった研究結果も報告されている。

 

【腸内細菌叢とは】

腸には細菌、真菌、ウイルスなど数兆個に及ぶ微生物が生息し「腸内細菌叢」と呼ばれる集合体を形成し、消化補助、免疫機能の調節、ビタミンの生成、精神の安定などに関連した働きを行っている。

腸内細菌叢では、悪玉菌と善玉菌のバランスが重要で、悪玉菌が過剰に増えると「リーキーガット症候群」などの消化器系の問題を引き起こすこともある。

 

腸の健康維持に役立つ工夫 【行動編】

① 運動を習慣づける

定期的な運動の実施は、全身の血流を促し、摂取した食物の消化吸収を促進する。

【運動の目安】頻度・強度:1週間で150分以上の運動(中強度)を実施/内容:有酸素運動とウエイトトレーニングの両方を組み合わせたメニュー

② ストレス管理を行う

ストレスによって胃腸の機能が低下すると消化速度の低下や膨満感、悪玉菌の増加など、腸内細菌叢の環境悪化を招く。運動や睡眠以外にも、めい想やヨガなどのリラクゼーション法はもちろん、深呼吸を取り入れるだけでもストレス緩和に役立つ可能性が高い。

また、ストレスが適切に管理されれば、消化器系の不快感の軽減や気分の改善が期待できるほか、長期的には腸内細菌叢の改善、免疫機能の最適化、メンタルヘルスの向上などの効果も期待できる。

③ 十分な睡眠を取る

毎日7~9時間の良質な睡眠を取ることは、疲労回復を促すだけでなく、腸内環境を整える上で有用だ。睡眠中は、体内ではさまざまなホルモン分泌が活性化されるが、免疫機能の中心的な役割を担う白血球が積極的に産生され、組織の修復が進む。

また、睡眠が腸内細菌叢のバランス維持にも大きく寄与することが分かっている。

 

腸の健康維持に役立つ工夫 【食事編】

❶ プロバイオティクスの食品やサプリメントを活用する

プロバイオティクス食品とは、有益な細菌を含み腸の健康を促進することができる食材である。ヨーグルト、ケフィア、ザワークラウト、コンブチャなどが代表的な食材だ。これらは消化促進、免疫機能の向上、筋肉増強のサポートにも役立つと言われている。食材での摂取が難しい場合はサプリメントも有用。

ただし、病気で服薬中の人や健康上の問題(糖尿病、腸疾患、重度の免疫低下など)を抱えているという人は、主治医に相談した上で摂取するように注意したい。

❷ 発酵食品を活用する

味噌、キムチなどの発酵食品は有益な細菌を豊富に含んでいる。これらの食材は腸内で善玉菌を増やし、免疫機能の向上、炎症軽減、回復促進などの効果が期待できると報告する研究結果も多い。

短期的な効果としては疲労の軽減、消化の改善、エネルギーの増進があり、長期的にはバランスの取れた腸内環境の構築、免疫応答の強化、炎症の軽減などといった効果が期待できる。

❸ 砂糖や精製食品を減らす

砂糖や加工食品などは、腸内環境のバランスを崩す悪玉菌(有害な細菌)の過剰増殖を引き起こし、血糖値の急上昇・急降下を招き、疲労感や糖分への渇望の要因にもなるため、できるだけ避けるようにしたい。

砂糖や加工食品の代わりに自然食品、野菜、食物繊維が豊富な食材を選んで摂取することで、短期的にはエネルギーレベルの向上、気分の落ち込みの軽減などが期待でき、長期的には糖尿病や肥満などの慢性疾患リスクの低減、健康的で安定した腸内環境の保持が期待できる。

❹ 食物繊維が豊富な食材を活用する

食物繊維は、腸の内壁をマッサージしながら移動して腸の動きを促し、便秘などの問題を防ぐのに役立つ。また、腸内細菌の栄養源にもなるので、バランスの取れた腸内細菌叢の環境維持にも貢献する。

短期的には、膨満感の軽減や規則的な排便の維持、長期的には心臓の健康改善、コレステロール値低下、過敏性腸症候群などの疾患リスク低減などの効果が期待できる。食物繊維を多く含む食材としては果物(ベリー類やリンゴなど)、野菜(ブロッコリーやニンジンなど)や全粒穀物などがある。

❺ 水分補給を十分に行う

十分な水分摂取は、消化器系を含む全身の健康に必要不可欠。水分は食物の腸内通過を助け、毒素を排出し、腸内環境バランスの維持を容易にしてくれる。

水分補給を意識的に行うことで消化機能が向上し、十分な水分補給を習慣づけることで持続的なエネルギー供給、疲労回復力の向上、効率的な毒素排出などの効果が期待できる。男性は1日約3.7リットル、女性は約2.7リットルが水分摂取の目安。そこからさらに活動量が多い日や気温が暑い日は、摂取量を増やしたい。

❻ 新鮮な果物と野菜を食べる

新鮮な農産物は腸の健康をサポートする食物繊維、ビタミン、ミネラルが豊富だ。特に果物と野菜は健康な腸内細菌の増殖を促進し、健康な腸内環境を維持するのに役立つ。

リンゴ、バナナ、ベリー類などの果物や、ブロッコリー、ニンジン、葉物野菜などの野菜類を定期的に取るようにしてほしい。多様な食生活は多様な細菌叢を腸内につくるのに欠かせないのだ。

❼ プレバイオティクス食材を取り入れる

プレバイオティクスは、プロバイオティクスの栄養源となる食材および栄養素のことを指す。プレバイオティクスは消化されない食物繊維のことで善玉菌の増殖と活性化を助けてくれる。

例えば、ニンニク、タマネギ、バナナ、アスパラガスなどの食品はプレバイオティクスを豊富に含んでいるため、腸内環境をバランスよく健康に保つ代表的な食材である。

プレバイオティクスを含む食材を定期的に摂取することで、消化機能の改善と栄養吸収の向上が得られ、長期的には腸内細菌叢の活性化と炎症リスクの低減を図ることができる。

❽ 飲酒と喫煙を避ける

飲酒と喫煙は、有害な細菌を増やすと同時に有益な細菌を減らしてしまうため、腸内細菌叢には悪影響だ。飲酒と喫煙の習慣がある人は1日も早く見直して制限していくことで、慢性消化器疾患のリスクを減らし、腸全体の健康改善につなげることができるはずだ。

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