2025年8月23日(土)にNEW PIER HALLで行われたベストボディ・ジャパン東京大会のマッスルモデル・フレッシャーズクラス(18〜34歳)の部で見事グランプリを飾ったのは、現役消防士の川井大毅(かわい・だいき/27)さんだ。
「ずっと筋トレが好きで、専門学校に通っていたころからずっと鍛えるのが日課でした。就職して経済的にも余裕ができたので、思い切って大会に出ようと思ったんです」
【写真】溢れんばかりの筋肉量で自信のポージングを披露する川井さん
消防士の道を選んだ理由
高校時代、人の役に立ちたいという思いから進路を考えた結果、周囲の人から「きっと消防士が向いているよ」と背中を押され、その道へ。
今でも仕事第一で、勤務を控える前日のトレーニングは疲労が残らないように細心の注意を払っている。
「やはり人を助ける仕事なので、自分の身体が資本なのはもちろんですが、常にベストコンディションで仕事に向かわないといけないと思っています」
命を守るための覚悟と筋力
つい先日も大阪のビル火災で2人の消防士が殉職という痛ましい事故があったばかり。川井さん自身もそういったニュースを見るたびに恐怖を覚えるとともに、自身の仕事の重要性や責任を大きく感じると話してくれた。
「私たちは真っ暗な煙の中で救助に入ることもありますし、瓦礫の山をかき分けて進んでいくこともあります。死と隣り合わせの環境は、どれだけ訓練をしても十分と言えることはありません」
その厳しさを知ったからこそ、身体を鍛える意義も自然と実感したという。消防の現場では、重い装備を身にまといながら活動するため、単純な筋力だけでなく筋持久力も不可欠。
「普段から高回数のトレーニングや自重トレーニングも取り入れています。勤務の合間も規則正しい生活を送り、当番以外の時間はできる限りジムに通います」
消防士として、競技者として挑み続ける姿
そんな川井さんは実績も着実に積み重ねてきた。ただ日本大会では一昨年が3位、昨年は6位と悔しい結果に。
「順位が落ちてしまったので、今年は必ずグランプリを目指します。優勝できたら、次はフィジークやボディビルなど、さらに別のステージにも挑戦したいと思います」
消防士として働きながら競技者としても挑戦を続ける川井さん。その姿は、「仕事」と「好きなこと」を両立させたい人々に大きな刺激を与えてくれる。
「火災現場では、自分の力ひとつで仲間や市民の命が左右されることもあります。だからこそ、日々のトレーニングは大会のためだけでなく、誰かの命を守るためだと思って向き合っています」
自らの鍛錬を仕事にも還元し、さらに競技でも成果を求め続ける川井さん。消防士としての責任と競技者としての向上心を両立させる姿こそ、勝敗にとどまらない大きな結果を生み出していると言える。
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文:林健太 撮影:FITNESS LOVE編集部
パーソナルトレーナー、専門学校講師、ライティングなど幅広く活動するマルチフィットネストレーナー。マッスルゲートにも出場経験あり。