近年、メキメキと頭角を表す期待の星たち。昨年から今年にかけて、「ファイナリスト」という壁を越えるために、 どんなことをしてきたのだろう。彼らの戦術の中に、「成長の秘密」が見えるかもしれない
取材・文:小笠拡子 Web構成:中村聡美
壁を超えるためのカギ
寝る前のストレッチが成長の土台にある
神谷勇斗 2025年日本クラス別65kg以下級2位

撮影:中島康介
Q.課題に感じていたことは?
サイズ
去年の日本選手権で、田代誠選手が隣におられたんですが「かなりでかいな、僕はこんなに小さいんだ」と痛感しました。ファイナリストの方々や2次ピックに行かれる方は、サイズが僕よりも一回りも二回りも大きい印象を受け、弱点であり改善点だと思いましたね。明確だったのは脚のサイズ。特に内ももやハムストリングと殿部のボリューム感が足りていませんでした。
Q.自分の身体を最も成長させてくれたのは?
寝る前のストレッチ
昨年のシーズンを終えて自分の身体を見つめ直したときに、「硬いな」と感じて。まずは「開脚できるようになろう!」とシンプルな動機から始めました。オフ期から、寝る前の30 分~ 1時間はやろうと決めてコツコツ行った結果、開脚した状態でおへそから床につく状態にまでなりました。慢性的な腰痛が緩和されて、トレーニングでも出力し切れるようになったことは大きいです。
Q.トレーニング面で注力してきたことは?
脚トレ
去年までは脚トレを表も裏も一緒にやっていたんですが、今年のオフから四頭筋の日、ハム&殿部の日と分けて行うように。そうすることで、ハムやお尻がフレッシュな状態で鍛えられて、種目数も増やすことができました。結果としてハム&殿部の使用重量が大きく伸び、絞り切れていない今の段階でも、なんとなく厚みっていうものを感じます。また、内転筋を発達させるために可動域を取ることも意識しました。フルスクワットをやり込み、ブルガリアンスクワットでも可動域をとりながら内転筋群までしっかり刺激を入れるようにしたんです。
Q.食事面で変えたことは?
脂質の取り方
バルクアップ期は、身体のサイズアップのために食べ込むことを意識していましたね。たくさん食べるのは得意ではないのですが、白米は1.5kg程度食べるように心がけていました。また、脂質に関しては魚やアーモンド、卵などなるべく食材からの脂質を優先して取るようにしたんです。去年のバルクアップ期では、オイルなど液体からの脂質を多く取ったからか、身体に脂肪が結構乗った感覚があったので……。今年は少し控えるようにしてみました。
Q.そのほか、変えたことや尽力してきたことは?
睡眠の質を高める
ストレッチの時間はスマートフォンを見ない時間になったので、睡眠の質もかなり良くなったな、と。良質な睡眠が取れたから回復もでき、バルクアップにもつながっていったような印象があります。
Q.一番の強みは?
均整が取れたバランスの良い身体と、コツコツと重ねる継続力
かみや・ゆうと
1992年生まれの33歳、沖縄在住。身長1635cm、体重65kg(オン)、75kg(オフ)。現在はパーソナルトレーナーとして対面でのセッションや、オンラインコーチングでも活動中。今年2歳になる1児のパパなので、父親業も奮闘中。主な戦績:2023年沖縄選手権優勝。2024、2025年JBBF日本クラス別ボディビル選手権65kg以下級2位