「年齢を重ねると筋肉は落ちていくもの」。
トレーニングに限らず、そう考える人は少なくない。だが近年のコンテストシーンでは、その固定観念を真正面から覆す50代以上の選手たちが存在感を放っている。

筋量、ライン、姿勢、そしてステージ上での表現力。どれも一朝一夕では手に入らない要素ばかりだが、“この年齢だからこそ”積み重ねてきた経験を武器に、結果を残している。今回は、50代以上でこの完成度は本当に驚きと感じさせた3名の選手を紹介する。
「50歳には見えない!」と話題の3児の母・清水奈穂さん
11月29日、東京・TFTホール1000で開催された『サマースタイルアワード2025 REGIONAL QUALIFYING FINAL』。この舞台でマスターズビキニモデル3位に入賞したのが、清水奈穂(しみず・なほ/50)さんだ。
3児の母でありながら、ステージに立った清水さんの身体は、50歳という年齢をまったく感じさせない完成度と話題に。
特に印象的なのは、年齢を理由に妥協するどころか、自身の弱点と向き合い続けてきた点だ。下半身強化や肩甲骨の可動域改善など、細部まで意識したトレーニングを積み重ね、マスターズカテゴリーの中でも際立つ存在感を示した。
47歳から筋トレを開始し、子育てと両立しながらわずか3年で身体を仕上げてきた過程は多くのアラフィフトレーニーに希望を与えるのではないだろうか。
70歳でビキニに挑戦!? チャレンジ精神旺盛な石川多津子さん
「70歳で大会に出る」。それだけでも十分に驚きだが、石川多津子(いしかわ・たづこ/70)さんのすごさは、そこに留まらない。
今年2月の『マッスルゲート大阪高槻大会』でデビューし、その後もシーズンを通して5大会に出場。10月の『マッスルゲート京都大会』では一般の部4位、マスターズ5位という結果を残している。
注目すべきは、単なる“記念出場”ではなく、大会ごとに明確な課題を持ち、身体を更新し続けている点だ。脚の使い方、姿勢、ポージング。大会を重ねるたびに修正点を見つけ、日常生活の中でも階段を積極的に使うなど、徹底した積み重ねを行ってきた。
70歳という年齢を考えれば、コンディション維持そのものが簡単ではない。それでも石川さんは「楽しむ」だけでなく、「進化する」姿勢を貫いた。70歳でこのチャレンジ精神、この継続力。まさに年齢の概念を更新する存在と言えるだろう。
還暦とは思えないボディが話題に。60歳・武井久美子さん
11月23日、両国国技館で開催された『ベストボディ・ジャパン2025日本大会』。プラチナクラス(60〜無制限)で頂点に立ったのが、武井久美子(たけい・くみこ/60)さんだ。
60歳に見えない身体で話題を呼んだが、武井さんの強みは単なる体型の良さだけではなく、「どう見せるか」を徹底的に突き詰めてきた点にある。ヘアメイク、衣装、ステージ上での立ち居振る舞い。すべてが計算され、完成度の高い表現として仕上がっていた。さらに、体調不良で出場を見送る判断をした経験を経て、健康を最優先にしながら身体づくりを続けてきた点も特筆すべきポイントだ。筋トレに加えてピラティスを取り入れるなど、年齢に応じた選択を重ねながら、日本一の座にたどり着いた。
50代、60代、70代。それぞれの年齢で、これほどの身体と結果を示した3人の選手たち。この選手たちの姿は、「若くないから無理」という言葉がただの言い訳であることを証明している。
文:FITNESS LOVE編集部










