ボディコンテストで華やかな成績を残す人は、どこか別世界に住む人のように感じることも多い。しかし、その多くは失敗も遠回りも経験してきたごく普通の人たちだ。
柔らかくしなやかな痩身で2024年にベストボディ・ジャパンの前橋大会グランプリを獲得したYuiさんも、6年前は体重が今より10kg重く、体型に悩むダイエッターの一人であった。その試行錯誤と努力の積み重ねの軌跡を追った。
Yuiさんが最初に試したのは「食べないダイエット」だった。
「3カ月で体重は落ちたものの、元気を失い、肌の瑞々しさもなくなっていきました。このままではダメだと感じ、ジムでのトレーニングをスタートしました」
ゴルフ、テニス、バスケットボールと運動好きだったYuiさんにとって、ジム通いのハードルが低かったことは良い結果につながった。YouTubeのトレーニング動画を参考にし、マシンやフリーウエイトを徐々にマスター。食事も見直し、特に朝と昼に糖質をしっかり摂る「食べて動く」スタイルに切り替えた。すると、落ちていた代謝が半年で回復し、健康的に痩せていった。
転機は、友人の応援で訪れたベストボディ・ジャパンの大会。華やかな世界観に魅了され、「自分も挑戦したい」と決意。トレーニングを週5日に増やし、自宅にエアロバイクを導入。週末は家族でテニスを楽しみながら努力を両立させた。大会前の減量では、体重計に毎日乗り、鏡で小さな変化を楽しみながらモチベーションを維持。くびれを強調するためコルセットを活用し、肋骨を締める感覚を養った。
「お酒や甘いものも大好きですが、ステージに立つ日を意識することで自然とやるしかないと前向きになれました。少しずつ理想的な姿へ変わっていく自分が楽しかったです」
大会を目指したことで目的を持って努力する姿勢が培われ、順位がつくことでさらなる熱意が湧いた。念願の優勝を射止めることもできたYuiさんは、また新たなチャレンジを考え中だと語る。
「挑戦をしたことで、新しい挑戦への意欲が湧きました。現在は大会出場だけでなく、パーソナルトレーナーを目指すことも考えています」
努力の過程に楽しみを見出すこと、コツコツと継続すること。小さな変化はやがて大きな輝きとなって、人生を新しい世界へ導いてくれる。
取材:にしかわ花 写真提供:Yui
『IRONMAN』『FITNESS LOVE』『月刊ボディビルディング』寄稿。広告・コピーライティング・SNS運用。ジュラシックアカデミーでボディメイクに奮闘している。
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