9月21日(日)、兵庫県・神戸芸術劇場で開催された『オールジャパン フィットモデル・ウェルネスチャンピオンシップス』(以下、オールジャパン)。「ウェルネス163cm以下級」で優勝を飾った近藤恵理子(こんどう・えりこ/40)選手は、表彰式で喜びを大きく爆発させ、そして涙していた。
近藤選手のトレーニング歴は10年以上。その中でも脚トレが好きで、頑張ってきた部位だった。それまでは、JBBF(日本ボディビル・フィットネス連盟)のビキニフィットネス競技者として大会に出場していた近藤選手。
ウェルネスは下半身の筋量が重視されるカテゴリーだ。昨年、JBBFでウェルネスが新設されることを機に、近藤選手は転向を決めた。
表彰式での喜び、そして涙の理由
優勝者決定の瞬間、近藤選手は全身で喜びを表現していた。その直後、一気に涙腺が緩んだのか涙ぐむシーンが。そこには、驚きと8月に行われた『スポルテックカップ』で味わった悔しさがあった。
スポルテックカップでの近藤選手の順位は惜しくも2位。これは「とても悔しい」結果だったのだという。
「私は絞った上で脚の太さを残すことが、ウェルネスだと思っていて。それが認められるといいな、という思いが強かったんです。だから絶対ブレないで、ウェルネスの身体作りに取り組んできました。それが認めていただけたのかなっていう瞬間だったので、本当にうれしかったです」
今年は絶対優勝を取る!と心に決めていた、という近藤選手。8月に味わった悔しさからの優勝だったことで、喜びもひとしおだったに違いない。
長年取り組んできたトレーニングメニューを変える決断
スポルテックカップからオールジャパンまで約1カ月半で、近藤選手はトレーニングの中身をガラッと変えた。これまで行ってきたのは、重量を追い求めたバーベルスクワット。かれこれ10年以上取り組んできたそうだ。
しかし、それを一旦やめた。マシンをメインにし、最後にバーベルスクワットを行うメニュー構成に組み替えたという。近藤選手は「すごく勇気がいった」と言うが、非常に良い結果をもたらしたと話す。
「自分の身体が、もう少しより良く変わるといいかなって思って1カ月取り組んでみたんです。結果的にマッスルコントロールもしやすくなりましたし、トレーニング後の筋肉痛が強くなる感覚がすごくて。これは発達するなっていう確信が持てました」
身体の成長には、時に大きな決断が必要になることもある。近藤選手が選択した「勇気ある変化」は、成長の起爆剤となりそうな予感がした。
【JBBFアンチドーピング活動】JBBF(公益社団法人日本ボディビル・フィットネス連盟)はJADA(公益財団法人日本アンチ・ドーピング機構)と連携してドーピング検査を実施している日本のボディコンテスト団体で、JBBFに選手登録をする人はアンチドーピンク講習会を受講する義務があり、指名された場合にドーピング検査を受けなければならない。また、2023年からは、より多くの選手を検査するため連盟主導で簡易ドーピング検査を実施している。
取材・文:小笠拡子 撮影:中島康介
小笠拡子(おがさ・ひろこ)
ボディビルにハマり、毎年筋肉鑑賞への課金が止まらない地方在住のフリーランスライター。IRONMAN・月刊ボディビルディング・Woman’s SHAPEなどで執筆・編集活動を行う。筋肉は見る専門で、毎月コツコツ筋肉鑑賞貯金をしている。
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