5月6日(火・祝)に保土ヶ谷公会堂で開催された『マッスルゲート横浜大会』。そこで、ひときわ存在感を放つワイルドな女性の姿があった。ボディフィットネスとウーマンズウェルネスの2部門にエントリーしたのは、現役女子プロレスラーのZONES(ゾネス)さんだ。
「プロレスラーになる前の2019年からコンテストには出場しています。デビュー後はありがたいことに試合のオファーを多くいただき、両立が難しかったため、今回が3年ぶりのコンテストです」
年間の試合数は100試合を超えるというZONESさん。コンテストのわずか3日前にも高崎で試合を行っており、まさに満身創痍での出場となった。
常人には想像できないタフな肉体を支える原動力は、『地球で一番強くて美しいプロレスラーを目指す者』になりたいという強い想いだ。
「今日のステージに向けて、13〜14kg絞りました。プロレスラーとしてリング上での存在感も大切なので、ウエイトトレーニングもしっかりと行い、できるだけサイズダウンしないような減量を心がけました」
長時間の地方移動や、リング外での活動も多いプロレスラーにとって、食事管理には人一倍の努力が求められる。
しかし、過度な制限は試合パフォーマンスにも影響し、大きなストレスにもなるため、ZONESさんはコンテスト1カ月前までは無理をせず、プロレスを最優先に努力を積み重ねた。
「他の選手と比べると、私は比較的、食べながら減量するタイプなんです。でも、コンテストが近づくと食事量も自然と減らさないといけないので、やはり試合中にエネルギー切れを感じることも多少はありました。体重が落ちると動きは軽くなる反面、相手との体重差で受けるダメージが大きくなる。そこはコンテストが終わるまでの我慢ですね(笑)」
プロレスデビューから3年目に差し掛かるZONESさんの生活は、ハードなプロレスの練習とウエイトトレーニングとの両立の日々。 肉体を酷使し続ける一方で、週に1日は積極的に休養を取るようにして、リカバリーにも細心の注意を払っている。
「リングでの練習日には、かなりの量の自重トレーニングもこなすので、ウエイトトレーニングは別日に分けて行っています。とにかく身体が資本の仕事なので、トレーニングだけに偏りすぎず、栄養や休養とのバランスも常に意識しています」
過去にはトレーナーとしても活動していたZONESさん。その経験を活かし、自らの身体と常に対話しながら、日々のトレーニングとコンディショニングに励んでいる。
コンテストを目指す選手の日常は十人十色。しかし、すべての人に共通しているのは、健康的な肉体があってこそ、その挑戦が可能になるということ。
それぞれの日常という名のリングで奮闘し、鍛え上げた心身でベストを尽くし、結果を追い求める。そしてステージで爆発させる圧倒的な個性と肉体こそが、まさに光り輝く、『一番強くて美しい選手』の姿であることに疑いはない。
【マッスルゲートアンチドーピング活動】
マッスルゲートはJBBF(公益社団法人日本ボディビル・フィットネス連盟)とアンチドーピング活動について連携を図って協力団体となり、独自にドーピング検査を実施している日本のボディコンテスト大会である。
文:林健太 撮影:中島康介
パーソナルトレーナー、専門学校講師、ライティングなど幅広く活動するマルチフィットネストレーナー。マッスルゲートにも出場経験あり。