マッスルゲート選手 コンテスト

「ゾウみたいな脚」と心ない言葉を浴びた悔しさを糧に 身長148cmの50歳がバキバキボディで2部門優勝

「かつて最大の”弱み”が、いま最強の”武器”に」――。

2025年5月4日(日)にアクトシティ浜松で開催された『マッスルゲート浜松』にて、ウェルネスとボディフィットネスの両部門で見事優勝を果たした平澤亜紀(ひらさわ・あき/50)さん。身長148cmという小柄な体格ながら、存在感あふれる筋肉美で多くの観客を魅了した。

そんな平澤さんは、かつて”ゾウみたいな脚だね”と心ない言葉を浴びた。なぜ我慢して食事を減らしているのに脚は細くならないのだろうと悩み苦しんだ時期を経験した。

【写真】平澤亜紀さんのバキバキボディ

その思いに苦しみ、20年以上にわたって“食べないダイエット”に囚われていた。そのため、正しい知識をつけて筋トレを始めても、食事量を増やすことだけは大きな恐怖があったと語る。

「トレーニングをしていたので食事量を増やせばもっと身体が変わっていったはずなんですが、当時の自分にはできませんでした。心の傷は身体をも蝕んでいくので、メンタルの健康は本当に大切だと感じます」

人前が苦手で、ずっと目立たないように生きてきたという平澤さん。しかし、ボディメイクを通じて身体もメンタルも強くなり、どんどん人前で自分を表現できるようになっていった。

筋トレのきっかけは、趣味で習い始めた声楽の先生からのひと言。

“歌うためにはもっと筋肉も度胸も必要”と言われ、ステージで堂々と独唱するために筋トレを開始。昨年にはマッスルゲートが開催された会場であるアクトシティ浜松の舞台で、念願の独唱も果たした。

週5日、1回2時間のトレーニングを継続する中で、平澤さんの中に確かな変化が生まれてきた。

「木澤大祐選手が“精神力は脚の太さに出る”と言っていて、太い脚が自分の強さの象徴に思えて、好きになれたんです」

そんな平澤さんの得意なトレーニング部位はコンプレックスだったはずの脚。下半身トレーニングは週に3回ほど、足首や足裏、骨盤の向きなど細部まで意識を向けながら丁寧に鍛えている。

食事にも徹底的にこだわり、加工食品を避けて旬の食材を使った和食中心の食生活を実践。オン・オフ問わず小麦粉、植物性油、乳製品、甘いものは摂らないというストイックさ。

「昨年より身体が良くなって、下半身のカットも出てきたのがうれしかったです。2022年にレギンスカテゴリでデビューしたのですが、今後はウェルネスに絞って、よりメリハリのあるかっこいい身体を目指していきます」

平澤さんの根底には、3人の子どもたちに努力や継続することの大切さを感じてほしいという強い思いがある。

コンプレックスだった脚を自分の武器へと変えた平澤さん。過去の苦しみを力に変え、自分自身を好きになるまで努力を重ねた強い後ろ姿は、これからコンテストデビューを目指す人たちにとって、大きな指針となるはずだ。

【マッスルゲートアンチドーピング活動】
マッスルゲートはJBBF(公益社団法人日本ボディビル・フィットネス連盟)とアンチドーピング活動について連携を図って協力団体となり、独自にドーピング検査を実施している日本のボディコンテスト大会である。

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文:林健太 撮影:上村倫代

執筆者:林健太
パーソナルトレーナー、専門学校講師、ライティングなど幅広く活動するマルチフィットネストレーナー。マッスルゲートにも出場経験あり。

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