2025年5月31日(土)、神奈川・カルッツかわさきで開催された、40歳以上の“筋肉の祭典”『マスターズカップ2025 produced by SUMMER STYLE AWARD×MUSCLE GATE』。トレーニング初心者でも参加しやすいボディコンテストとして人気を集める『SUMMER STYLE AWARD(サマスタ)』と『MUSCLE GATE(マッスルゲート)』の初コラボ大会としても注目を集めた。男子6、女子5の計11カテゴリーのなかで、ビキニフィットネス50歳以上の部に出場。審査員7名全員が1位に選出、圧巻の優勝を果たしたのが貫田英里さん(ぬきた・えり/50)だ。
昨年には、全国各地のマッスルゲートを勝ち抜いた選手たちによる『ゴールドジム JAPANCUP2024』において、ウーマンズレギンスフィットネス163cm以下級で優勝、ビキニフィットネス35歳以上160cm超級で2位になるなど、すでに実力は折り紙つき。今回の女王戴冠も納得の結果となった。
「坐骨神経痛の影響で下半身のトレーニングが思うようにできず、しかも今シーズン初戦だったので不安や緊張はありましたが、どうにか間に合いました。来週はJBBF(日本ボディビル・フィットネス連盟)主催の大阪オープンと群馬オープンに出場しますが、幸先のいいスタートが切れました」
意外にもトレーニング歴はわずか2年、2023年からのスタートだった。
「長らく万年ダイエッターだったんです。でもある日、ふと自分の身体を見たときに、ぷよぷよしていて『このままじゃダメだ』と。まずはパーソナルトレーニングから始めましたが、何か目指すものがあったほうが頑張れる気がして、大会に出るようになったことで、どんどんハマっていきました」
トレーニング開始から2年で約15kgの減量に成功。ただ、数字よりも外見や気持ちの変化に日々喜びを感じているという。
「最初はジムに行くこと自体が恥ずかしくて、半袖に長ズボンで隠すようにトレーニングしていました。それが、身体の変化を実感できるにつれて『ちょっと筋肉を見ながらやろうかな』とタンクトップを着るようになって、いつの間にかレギンスも平気に(笑)。無理して頑張っているというより、楽しく続けていたら自然と自分が変わっていた、そんな感覚です」
「筋肉ムキムキなファーマシストを目指します」とSNSで公言しているように、本職は薬剤師。以前はダブルワーク、トリプルワークをこなすハードワーカーだった。
「深夜2時、3時に帰宅して、またすぐに起きて仕事へ……という毎日。当時はきっと疲れ切ったおばさんみたいな顔だったと思います。でもトレーニングに出会って、自分のための時間を少しでも持てるようになったことで、メリハリがついて仕事も楽しく頑張れるようになりました。その意味では、トレーニングが『生きがい』になってきたのかなと思います」
現在は、仕事が終わった夜に週5回、1時間前後のジムワークと、週1回パーソナルトレーニングを継続中。美しいアウトラインが際立つ貫田さんだが、なかでも大円筋が見事に発達した背中は、メリハリボディの要となっている。
「もともと肩幅が広く、筋肉も肩や背中に付きやすいタイプなので、部位のなかでは肩が強みかなと思います」と語る貫田さんに、特に魅力的な背中周りに効果的なトレーニング種目を聞くと「チンニング」との答えが返ってきた。
「チンニングといっても自重ではなく、アシストで10レップを3セット程度。軽めの負荷で、背中をしっかり意識して続けていくことで、背中がきれいに見えるようになり、ボディメイクにはいいのかなと思います」
大会翌週の6月8日(日)には、『JBBF大阪オープン』に出場し、ビキニフィットネス50歳以上級で優勝、163㎝以下級でも2位。さらに14日(土)の『JBBF群馬オープン』では、全年齢が参加するビキニフィットネス部門で堂々の3位入賞を果たした。生きがいを見つけ、新たな自分に出会った貫田さんの快進撃は、まだまだ続きそうだ。
【マッスルゲートアンチドーピング活動】
マッスルゲートはJBBF(公益社団法人日本ボディビル・フィットネス連盟)とアンチドーピング活動について連携を図って協力団体となり、独自にドーピング検査を実施している日本のボディコンテスト大会である。
取材:藤村幸代 撮影:中島康介