「中年体型に悩んで補正下着を買おうか夫に相談したところ、『脱いだら一緒じゃん』と言われたことが、ジムへ通うきっかけの一つになりました」
そう話してくれたのは、5人の子どもを育てる母・藤井裕子(ふじい・ゆうこ/42)さん。6月7日に愛媛県・新居浜市で開催された『マッスルゲート四国大会』の「ドリームモデル部門」の身長別クラスで堂々の優勝を飾った。トレーニング歴はわずか3年だが、その背中には努力と継続の軌跡がはっきりと刻まれている。
補正下着よりもジム通いを決意
ボディメイクを始めたきっかけは、年齢とともに変化する体重や体型への悩み、そしてご主人からの胸に刺さる一言だった。
「何もしていなくても少しずつ体重が増えてしまうことに悩んでいました。ジムに行けば痩せられるかな?なんて安易に考えていました。同時期ぐらいに、知人から補正下着のことを聞いて、夫に相談したところ『脱いだら一緒じゃん。それならジムに行った方がいい』と言われたんです」
こうして藤井さんは、自宅から程よい距離のところにあるジムへ通うようになった。「準備が面倒ではなく、知り合いのいない環境で通いやすかったこと」が決め手だったという。
初めはただ身体を動かす目的で通っていたが、目に見える身体の変化を少しずつ感じるようになった。特に背中とお尻のラインが引き締まり、周囲の反応も変わってきた。
「夫には『背中がすごい』、娘からは『ママのお尻の方が上がっていて、デニムが似合う』と言ってもらえることが、本当にうれしいです」と、声を弾ませる。
筋トレで背中とメンタルが大きく変化
大会出場を勧められてからはトレーニングの質にもこだわるようになり、大会前のシーズンになると週5日のペースで部位ごとのメニューをこなす。なかでも好きな種目はラットプルダウン。
「パーソナルトレーニングで細かいやり方や、効かせ方を教えてもらいました。ピンポイントに筋肉を動かすことができるようになってから、背中の変化が一気に分かるようになりました」
また、ボディメイクは藤井さんの心の在り方にも変化をもたらした。
「自分のためだけの時間を持てることで、気持ちの切り替えができてポジティブに。ジムでは素敵な人たちと出会えるし、生活全体が良い循環で巡るようになっていると感じます」
また、「何歳から始めても遅くないし、やればやるだけ身体の変化が感じられて気持ちも上がります。年齢に関係なく好きな服を楽しめるようにもなりました」と藤井さんは言う。
藤井さんは筋トレに出合ったことで、「年齢」や「母親」という肩書きに縛られなくなった。自分のための時間を持ち、打ち込むことは人生をより豊かにしてくれるものなのかもしれない。
【マッスルゲートアンチドーピング活動】
マッスルゲートはJBBF(公益社団法人日本ボディビル・フィットネス連盟)とアンチドーピング活動について連携を図って協力団体となり、独自にドーピング検査を実施している日本のボディコンテスト大会である。
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取材・文:小笠拡子 大会写真:北岡一浩
小笠拡子(おがさ・ひろこ)
ボディビルにハマり、毎年筋肉鑑賞への課金が止まらない地方在住のフリーランスライター。IRONMAN・月刊ボディビルディング・Woman’s SHAPEなどで執筆・編集活動を行う。筋肉は見る専門で、毎月コツコツ筋肉鑑賞貯金をしている。