「脚が太くて競輪選手みたいだね」
しかし、その“脚”こそが、努力の象徴になる日が来た。11月2日(日)に開催された『マッスルゲート関東大会』の女子フィジークで優勝を果たしたのは、会社員の石井一恵(いしい・かずえ)さん、51歳。身長152cmの小柄な身体に詰め込まれた筋肉が、ステージ上でまぶしく輝いた。
【写真】51歳・石井一恵さんの腹筋職人とともにつくった腹筋&極太脚

手術後に見つけた“新しい自分”
筋トレを始めたきっかけは、意外にも「6パックを見たかったから」。だがその裏には、大きな転機があった。
「脳腫瘍を患い、手術を受けた後にトレイルランができなくなってしまったんです。その代わりに始めたのがトレーニングでした」
走ることを奪われた悲しみの中で見つけた“筋トレ”。そこは、石井さんに再び闘志と平常心を与えてくれる場所だった。
「トレーニングをしていると、心が整うんです。平常心を保てるのが助かっています。トレーニングはずっと腹筋職人の中村藍さんから、ポージングはマッスルゲート審査委員長の大澤直子さんから、食事指導はネバトレの杉崎宏哉さんから指導していただきました。みなさまのおかげでこの年齢からでもしっかりと身体づくりができました。3名の先生方に恩返しができたらと思って頑張っています」
女子フィジーク優勝という結果を手にした今も、石井さんの姿勢は謙虚だ。
「優勝できて本当にうれしいです。でも、無理はしません。疲れたら休むようにしています」
得意部位は肩。トレーニングでは「1回1回を丁寧に」を心がける。週5回、1回90分のルーティンをこなしながらも、オーバーワークを避けることを大切にしている。
「ボディメイクは、身体だけじゃなくメンタルも鍛えられる。自分らしくいられるようになりました。自分を信じて、できることを続けます」
その積み重ねが、石井さんの筋肉に刻まれている。
【マッスルゲートアンチドーピング活動】
マッスルゲートはJBBF(公益社団法人日本ボディビル・フィットネス連盟)とアンチドーピング活動について連携を図って協力団体となり、独自にドーピング検査を実施している日本のボディコンテスト大会である。
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取材:FITNESS LOVE編集部 撮影:北岡一浩










