「ボディメイクのプロって、どんな過酷な生活を送っているんだろう?」
そんな想像を、「ものすごく平凡ですよ」と笑顔で一蹴したのは、臼井早織(うすい・さおり/39)さんだ。
「トレーニングが趣味の、平凡な事務員です。特別な食事はしてないし、カロリーや栄養計算もしてません。トレーニングノートも先週から始めたばかりです(笑)」
臼井さんは引き締まった美尻とウエストを誇り、『サマースタイルアワード』のビューティーフィットネス部門プロ選手として活躍している。今年も6月14日(土)の『サマースタイルアワード名古屋予選大会』ビキニモデル部門マスターズクラス(37歳以上)で優勝。日本一への挑戦を続けている。その意外な日常に迫った。
超ライト層から始めたジム通いからプロ選手へ
6年前、尻トレブームに乗ってジムに通い始めた臼井さん。当時は165cmで40kg台後半の細身で、筋肉はほぼなし。「フリーウエイトゾーンには怖くて近づけなかった」という初心者そのもので、お尻だけを鍛えて帰る“超ライト層”だった。
「パーソナルトレーニングを受けるようになって筋トレの奥深さや楽しさに目覚め、毎日ジムに通うようになりました。そのうち、『そんなに楽しいなら、大会に出てみたら?』と勧められました」
この一言が、プロへの第一歩だった。
食事は苦手、身体はトレーニングで作る
ボディメイクで最も大変なのは食事だと、臼井さんは言う。「今でも食事トレーニングは辛い」と本音をこぼす。その食事内容は、驚くほどシンプルだ。
「一汁三菜の和食に、白米を少し多めに盛るくらい。タンパク質の計算もしていないし、定食一人前も食べきれません。分食も仕事の都合で難しいから、普通の3食です」
それでも美しい身体を作り上げた秘訣は、徹底したトレーニング習慣だ。帰宅して夕飯を終えるとジムへ直行し、5分割で細かな筋肉までアプローチして鍛える。「その日の部位が動かなくなるまで追い込む」が基準だ。
「正直、疲れて行きたくない日もありますが、ジムに行けば仲間の頑張る姿に刺激されます。だから絶対に行きます」
PFC計算や細かな記録をしないのは、トレーニングの継続に全力を注ぐためのストレス管理なのだという。
負けず嫌いが駆り立てる日本一の夢
臼井さんの原動力は、子どものころからの「優勝へのこだわり」だ。小学生時代、バスケで勝てない相手に直面し、「1位になれないならやらない」と中学で軟式テニスに転向した。
「何かで日本一になりたいと、ずっと夢見てきました。ボディメイクやポージングは、努力すればいくらでも成長できます。そこに可能性を感じたから、今も頑張れています」
フリーウエイトゾーンにも入れなかった初心者から小さな目標を一つずつクリアし、プロの舞台へ。「今年はステージだけでなく過程も楽しみながら、ビキニモデル部門のマスターズクラスで日本一を目指したいです。そのためには食事も、もう少し頑張ろうかな」と微笑む。
臼井さんの“平凡”な日常は、夢に向けて淡々と努力を積み重ね続けることの強さと可能性を教えてくれる。
取材:にしかわ花 撮影:上村倫代
『IRONMAN』『FITNESS LOVE』『月刊ボディビルディング』寄稿。広告・コピーライティング・SNS運用。ジュラシックアカデミーでボディメイクに奮闘している。
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