『スペック値』や『シンデレラ体重』といった言葉を聞いたことがある女性は多いかもしれない。体型指数を体重で表す言葉で、それらに囚われて低体重に憧れる過酷なダイエットをしている女性は少なくはない。体格指数(BMI)が18.5未満の「やせ」に分類される割合は、20~30代女性で20.2%にのぼり、その多くはエネルギー摂取量の極端な少なさによるものだと言われている(※)。
(※)日本の20代女性の平均摂取カロリーは1630kcal(2023年)と、8~9歳の女児の推定エネルギー必要量である1700kcal以下であり、これは終戦直後(1946年)の日本人平均1903kcalを下回る。20代女性の1日の推定エネルギー必要量は2000kcal(令和5年国民健康・栄養調査結果の概要/厚生労働省より)。
「私も、20代は痩せ至上主義でした。3日間の絶食など平気でやっていて、当時は身長166cmで40kgを切っていました」
鈴木沙織(すずき・さおり/38)さんは、トレーニングを始める以前の自分をそう振り返る。「30代に入り、痩せてもきれいに見えず、骨ばってメリハリのない身体に疑問を抱いた」ことが転換期になり、不健康なダイエットから脱却。現在は、栄養管理と運動習慣で引き締まった肉体を作り、保育士として働くかたわら、ボディコンテストでの実績をもとにウォーキング講師として精力的に活動する。健康を代償にせず、美しい肉体を両立させている鈴木さんの具体的な生活を聞いた。

脚トレ強化と朝ダンスで体型の偏りを軽減
週3日のトレーニングのうち、筋肉のつきにくい脚は高重量の日と低重量の日で分けて強化する。
「スクワット系は苦手なのですが、やるようにしてからお尻や脚の成長が速くなりました」
ハックスクワットやフリーウエイト・スクワットなど多くの筋肉を動員する種目をメインに。また、毎朝の有酸素運動を習慣化。特に、動画を観ながらのダンスは非常に良い効果があったという。
「ダンスは楽しくて朝のテンションが上がる上に、満遍なく身体を動かせるので好きです。体質的に上半身に脂肪がつきやすいのですが、動かすことで落ちやすくなりました」
3食のPFC管理を食べやすい食材で
食事は、健康的な食材から好きなものをセレクト。朝は、干し芋とオリジナルスムージー(豆乳・ミックスベリー・キウイ味プロテイン・炭パウダー・アサイー・サイリウム・りんご・青汁・ビネガー)。夜はイカ・エビ・タラなど魚介を野菜と蒸すか鍋とし、メニューを固定することで調理の手間を減らしている。
「炭水化物を大好きなさつまいもをメインにすることで、ちゃんと摂取する習慣をつけました。お菓子が好きなので、保育園での子どもたちとのおやつタイムが減量期の楽しみです」
溢れる元気をフィットネス業界の推進力に
運動と食事管理で作られた身体での、コンテストの成果は好調だ。9月20日(土)に開催された『サマースタイルアワード2025東海帝王』ビューティーフィットネスモデル部門マスターズ(37歳以上)では、満点票で優勝。今年は9月7日(日)に『遠州筋肉祭り』(静岡県浜松市初開催)で、審査員とゲストポーザーに選出された。また、11月にはファッションショーへの出場を予定している。
「来年は、さらに自分がなりたい身体を追求したカテゴリーに出てみたいです。(慌ただしい生活ですが)何かに熱中していたほうが充実する性格なので、毎日が楽しいです」
低体重偏重のダイエットは、心にも身体にも様々な健康被害をもたらす。鈴木さんのように、トレーニングと栄養管理で健康的にボディメイクを楽しむ人が増えれば、もっと多くの女性が自分らしい美しさと自信を手に入れられるのではないだろうか。
【SSAアンチドーピング活動】SUMMER STYLE AWARD(サマースタイルアワード)はJBBF(公益社団法人日本ボディビル・フィットネス連盟)とアンチドーピング活動について連携を図って協力団体となり、独自にドーピング検査を実施している日本のボディコンテスト団体である。全ての選手登録者はアンチドーピング講習の受講を必須としており、SSAから指名された場合はドーピング検査を受けなければならない。
取材:にしかわ花 撮影:上村倫代 写真提供:鈴木沙織
『IRONMAN』『FITNESS LOVE』『月刊ボディビルディング』『Womans'SHAPE』寄稿。広告・コピーライティング・SNS運用。ジュラシックアカデミーとエクサイズでボディメイクに奮闘している。
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-サマースタイルアワード, SSA










