11月29日の『サマースタイルアワードREGIONAL QUALIFYING FINAL』ビキニモデル・マスターズクラスで2位となった渡邉貴美(わたなべ・きみ/48)さん。「本当は1位を狙っていたので悔しい」と語る。今年は“お尻の丸み”の強化に徹底して向き合い、解剖学まで研究しながら身体を作り上げた。

「40代で人前にお尻を出すなんて」──価値観に抗い、自分の人生を生きる決意
露出の高い衣装で競うボディメイク競技は、地域や年代によっては理解されにくい。渡邉さんも家族から「40歳を超えて人前でお尻を丸出しにするなんて」と言われ続けてきたという。
しかし、従来の価値観に縛られない生き方を決めたのは、32歳で名古屋から上京したときだ。
「“今さら東京に出てどうするの”と言われました。でも、自分の人生だから挑戦したかった」
コロナ禍でトレーニングに出合い、身体の構造や栄養学を学ぶうちに「これまで自分の身体を粗末に扱ってきた」と実感。歩く・自転車通勤・食事管理……と日常を一変させ、49.9kgから43kgへと身体を作り変えた。
昨年のSSA決勝大会では3位、今年9月の東海帝王予選ではダブル優勝。トレーナー資格を取得し、整体も学び、副業としてセラピスト活動、格闘家との出会い……新たな人生が次々と広がっていった。
「トレーニングを通じて、全く違う価値観の人と出会えました。人生が予測できないほど面白くなっています」
今回の結果は2位。「悔しい」と語りつつも、心はすでに次の挑戦へ向いている。
48歳でも“進化は止まらない” 丸みあるヒップを求めて解剖学を研究
東海帝王予選から今回までの間に特に強化したのが、お尻の丸みだ。
「もっと丸みが欲しいと言われて、横から見たときの中殿筋のラインを作るために、お尻の外側を重点的に鍛えました」
驚くべきは、そのアプローチの専門性である。
「IFBBプロの選手に聞いたり、解剖学の本を開いたり、アプリのアトラスで関節や筋肉の構造まで確認していました」
種目は重さより“効かせ方”を重視したシングルレッグデッドリフト。足幅や角度を細かく調整し、筋肉の走行を意識して丁寧に刺激を入れる。
「フィードバックをくださる金子賢さん(サマスタの代表)の言葉を素直に受け止めて、次はもっと良い身体を見せたいという気持ちでやっていました」
【SSAアンチドーピング活動】SUMMER STYLE AWARD(サマースタイルアワード)はJBBF(公益社団法人日本ボディビル・フィットネス連盟)とアンチドーピング活動について連携を図って協力団体となり、独自にドーピング検査を実施している日本のボディコンテスト団体である。全ての選手登録者はアンチドーピング講習の受講を必須としており、SSAから指名された場合はドーピング検査を受けなければならない。
取材:FITNESS LOVE編集部 撮影:舟橋賢










