筋トレ ピラティス

筋トレだけじゃない!“ピラティス併用”で変わるボディメイクの新常識

ウエイトトレーニングとピラティスを組み合わせる方が急増中。そこでAulii代表、そしてDK Pilatesマスタートレーナーの辻茜さんに、ボディメイクを進化させるピラティスメソッドについてお話を伺いました。

※Woman's SHAPE&Sports vol.27に掲載された「ピラティスとボディメイクの密接な関係」をWEB用に編集したものです。

相乗効果は無限大!
ピラティスとボディメイクの密接な関係

ピラティスをする女性

辻茜(つじ・あかね)

株式会社Aulii代表取締役。幼少よりクラシックバレエを始め、松山バレエ学校、同バレエ団を経て、パリに留学。その後渡英。Vienna Festival Balletにてソリストとして活躍中のケガを機にピラティスに出会う。渡米し、ピラティスをDolly Kelepeczに従事。ネバダ州立大学公認DK Body Balancing Pilatesを取得。一人一人に合わせたオーダーメイドのクラスを行い、ピラティススタジオの他、行政、企業、バレエスタジオ等でもワークショップするなど、一般の方からダンサー、アスリートまで丁寧な指導を行う。

 

──ボディメイクにおいて、筋トレとピラティスとを組み合わせる方が増えているようです。

辻:ピラティスはアウターマッスルももちろん使いますが、インナーマッスルによりフォーカスしたワークアウトです。ボディメイクを目的とした場合、身体の軸を為すインナーを整えることで全身をバランス良く鍛え上げることにつながると同時に、ケガ予防にも効果的と考えられます。

──ケガ予防にもなるのですね。

辻:筋トレを始めるときは、基本的には筋力が弱い状態からスタートしますよね。そこに、突然大きな負荷をかけることによって肩関節や腰部にケガ、あるいはその手前の痛みを抱えてしまう方も少なくありません。トレーニングを長く適切に楽しむために、大きな負荷に耐えられるしっかりとした身体の土台づくりにピラティスを活用していただけるのでは、と考えています。

──ピラティスのボディメイク効果はいかがでしょうか。

辻:見た目の変化でいうと、書ききれないほどたくさんあると思うのですが……。ピラティスのセッションには毎回アライメントの評価があります。脚のラインを左右する骨盤の状態であったり、くびれの左右差などアウターマッスルをどうにかすることによって作り出すのは難しい部分にアプローチすることができますよね。トレーニングの観点でいうと、筋トレは筋肉に対して、主にコンセントリック収縮をかけることによって太く丸く成長を促しますが、ピラティスでは、エキセントリック収縮をかけることによって長くしなやかに成長させます。

──見た目と質に違いが現れる。

辻:スタジオにいらっしゃる方のなかにも、ピラティスと並行して筋トレに取り組む方もいますが、筋トレに比重を置くと「身体が硬くなった」という声をよく聞きます。見た目に丸くて大きな筋肉に作り上げる目的の場合には、当てはまらないかもしれませんが、ある程度サイズアップをしながらいわゆる女性らしい曲線美のボディラインを手に入れたい場合には、身体の硬さは取り除く必要があると思いますし、ピラティスを導入することによってそのお悩みは解消できるかと思います。

──女性のボディメイク競技では、その場でポーズをガチッと決めて魅せるものだけでなく、ウォーキングと組み合わせたステージングで魅せるものもあります。

辻:大会出場を考えると、やはりステージング=立ち居振る舞いがとても重要になってきますよね。アウターマッスルの腹直筋を鍛えると、どうしても身体が屈曲しやすくて立ち姿勢が崩れやすくなります。体幹部、特に脊柱まわりのインナーマッスルである多裂筋をピラティスを通して使えるようにすると、立ち姿勢を美しく保つことができます。それから、ステージでとても高いヒール靴を履く競技もありますよね。

──ビキニフィットネスやフィットモデルなどでは10㎝超のヒールを着用します。

辻:ミスコン出場者たちを教えていた時期があるのですが、10㎝を超えてくるとファイナリストですら膝が伸びなくなってきます。ハムストリングを強くし過ぎると膝は伸びなくなるので、それこそエキセントリック収縮でのアプローチを加えていく必要があるかと思います。また、足裏の筋肉、指の使い方、足関節の柔軟性も関係してくるのですが、ピラティスにはさまざまなイクイップメント(装置)があり、私たちの行動1つ1つに対して細かくワークを用いることができます。

──今はステージングのお話でしたが、足まわりの使い方を習得していくとトレーニングにもいい相乗効果をもたらしそうです。

辻:ピラティスは寝姿勢で動作するイメージが強いかもしれませんが、イクイップメントワークになると立ち姿勢も登場します。メソッドの創設者であるジョセフ・ピラティス氏は「人間は二足歩行の生き物。立ったときにこそうまく身体を使えないと意味がない」といった考えをもっているからです。そこにはもちろんトレーニング動作も含まれるので、動作の改善にも役立つと思います。

──「イクイップメント」という言葉も気になりますが、それを含めたピラティスメソッドについても教えていただけますか。

辻:多くの方が「マシンピラティス」と認知しているものは、実際には「アパレイタス」「イクイップメント」と呼ばれます。概念的な話になりますが「マシン」=「機械」であって、もの自体が勝手に動くのに対して「アパレイタス/イクイップメント」=「装置」は、使う側の人間が正しく操作することによって身体にフィードバックが起こるとピラティスメソッドではお伝えしています。どのエクササイズに何を使うかはピラティス氏によって全て振り分けられていますが、同じ意味合いのエクササイズをほかのイクイップメントを用いることもできるというのは、リハビリテーションを土台としているピラティスの魅力でありおもしろいところだと感じています。

ピラティスマシンと女性

──紹介していただいたエクササイズも2パターン展開してくださっています。

辻:ピラティスはどのような年代の方、あるいはケガなどをしている状況の方でも取り入れられるものです。例えば、リフォーマー(ベッドタイプのイクイップメント)を用いると、なんらかの事情で立ってスクワットができない方でも、寝姿勢=無重力の状態でのスクワット実施が可能です。もしも寝姿勢が難しいのであれば、チェアを組み合わせて座り姿勢でフットワークを行う提案もできますし、その方の筋力・柔軟レベルに、いくらでも寄り添うことができます。何をどのように実施するにしても、一貫して言えるのは「弱いところは強く」「硬くなっているところは柔らかく」といった、より望ましい状態へと導いていくこと、アライメントに対して正確に動作していくというのが、ピラティスメソッドです。

──筋トレとの相乗効果は多岐にわたりそうですね。

辻:アライメント調整、正確な動作、今回は紹介できませんでしたが呼吸を通じた腹圧の掛け方、体幹部の安定性、関節・筋肉の柔軟性……。組み合わせることによるメリットは無限大かもしれません。

次回「猫背・巻き肩・反り腰…お悩み別にアプローチ!マシン&自宅でできるピラティス実践エクササイズ」ではマシンと自宅でできるお悩み別ピラティスを紹介!

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土日祝 10:00~18:00
https://aulii-exe.jp

 

取材・文_鈴木彩乃 text=Ayano Suzuki 撮影_田中郁衣 photo=Ikue Tanaka

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