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実は“呼吸が浅い”現代人へ|6種の呼吸エクササイズで体が変わる

呼吸の乱れがココロとカラダの不調を招くことは広く知られています。でも、呼吸ってそもそも、なぜ乱れるの?また呼吸の乱れがボディメイクに及ぼす影響は?フィットネストレーナーの小倉シエカさんに解説していただくとともに、身体の機能を底上げする呼吸改善のトレーニング方法も教えていただきました!

※Woman's SHAPE&Sports vol.27に掲載された「カラダの機能を底上げする呼吸とは?」をWEB用に編集したものです。

トレーニング前の呼吸トレはもはや常識?
カラダの機能を底上げする呼吸とは?

マットの上でストレッチをする女性

小倉シエカ

1979年生まれ。フィットネストレーナー
運動経験ゼロであったが、体型の崩れをきっかけに2007年、27歳で筋力トレーニングを開始。JBBFボディフィットネスに出場し、東京・関東(初代)・東日本(初代)大会チャンピオンとなる。2010年に全日本大会準優勝、11年東アジア選手権代表に選出。現在はピラティス、ウエイトトレーニング、筋緊張抑制などを組み合わせたコンディショニング&ボディメイクを行うパーソナル指導を中心に活動中。

あなたも吸い過ぎている?現代人に特有の〝隠れ過呼吸〞

ここ数年、ウエイトトレーニングの前に呼吸のトレーニングを入れている人をジムで見かける機会が増えてきました。遠回りに見えて、実は呼吸で一度身体をリセットしたほうが質の高いウエイトトレができる。そのことが徐々に知られるようになってきたのかもしれません。

ただ、普段から呼吸を意識する人は限られていて、乱れた呼吸に慣れて違和感を持たない人はとても多いんです。それどころか、長時間のデスクワークなどによる姿勢固定や姿勢不良で、私たちのほとんどは何らかの形で呼吸が乱れていると言い切れるほどです。なかでも現代人の多くが発症しているとされるのが〝隠れ過呼吸〟です。呼吸は本来「深く吐いて、吐いた分だけ吸う」のが自然ですが、猫背や前かがみの姿勢になりがちな現代人は呼吸が浅く、速くなり、吐くより吸うほうにフォーカスしがちです。また、「正しい呼吸は、たくさん息を吸うこと」と勘違いしている人も多いようです。

そもそも、呼吸は二酸化炭素を吐き出し、新鮮な酸素をバランスよく体内に取り込む作業。このバランスが乱れると、心身に様々な問題が発生してしまうのです。たとえば、体内に炎症が起きて肌荒れや内臓の不調を招く、脳に酸素が行き渡らずに集中力の低下やメンタルの不調が発症する、筋肉が酸欠状態で硬くなり、肩こりや首こり、トレーニングの質の低下が起きる、などなど。

それに、呼吸筋が硬くなれば、酸素を取り込むキャパも制限されて、さらに呼吸が浅くなって過呼吸になり…と、呼吸をめぐる〝負のループ〟に陥ってしまうのです。

呼吸筋のコンディションがボディメイクを大きく左右する!

呼吸時に使う呼吸筋には横隔膜や肋間筋、腹横筋などがあるほか、これらの動きに伴い上下動する骨盤底筋群も関わってきます。いわゆる「インナーマッスル」といわれる部分ですね。ご存じのとおり、体幹まわりのインナーマッスルはボディメイクを大きく左右する部分でもあります。たとえば、インナーの柔軟性を高めることでウエストのくびれを作りやすくなりますし、息をしっかり吐き切ることで体幹が安定し、上向きの綺麗なヒップラインを作れます。

また、ヒップスラストのトレーニング前に一度呼吸トレを入れると、背骨の硬さが取れてトレーニング効果のアップも期待できます。筋トレは姿勢固定で行う場合が多いですし、息を吸うほうに比重がかかり〝隠れ過呼吸〟になりがちです。そのリセットのためにも、呼吸のトレーニングと筋トレをうまく組み合わせることをオススメします。

呼吸の乱れを確認する3つのチェックテストを用意しました。まずテストを行い、6種目のエクササイズを実施したあと、再度チェックしてみましょう。機能の悪化同様、改善も早いのが呼吸の良さ。ぜひ今日から呼吸のトレーニングに取り組んでみてください!

【CHECK.1】呼吸状態セルフチェックリスト

1つでも当てはまれば呼吸が乱れている可能性アリ

✓呼吸が苦しい時がある
✓口が開いている時がある
✓手足が冷たい、またはしびれる時がある
✓疲れがたまりやすいと感じる
✓集中力がない

 

【 CHECK.2】CP(コントロールポーズ)テスト

二酸化炭素の耐性テストです。苦しくなるまで我慢しないこと!

✓息を吐き切ったら、鼻をつまんで息を止め、息が吸いたいと感じるまでの時間を計る。

【20秒未満】呼吸量が多い
【40秒未満】呼吸量に問題はほとんどないが、理想的な酸素供給とはいえない。
【40秒以上】理想的な呼吸量。脳と身体に適切な酸素供給ができている状態。

 

【CHECK.3】背骨の可動域テスト

この動作が難しい人は、脊柱と肋骨の柔軟性が低く、呼吸筋も硬くなっている可能性大。エクササイズで呼吸のキャパを広げましょう。

柔軟体操をする女性

①仰向けに寝て足首、ヒザ、股関節を写真のように折り曲げ、両手でタオル(またはストレッチポールなど)の端を持つ。

②足は揃えたまま動かさず、上半身を起こしながらタオルを両脚にくぐらせる。内くるぶしをつけたまま、タオルをしっかり持つこと。

トレーニングの質を高める
“呼吸力”アップのためのエクササイズ

Exercise.1. 片鼻呼吸

呼吸リズムを調整し、深い呼吸に慣れることで二酸化炭素の耐性をあげていきます。

片鼻呼吸する女性

右手の指で右の鼻の穴をふさぎ、左の鼻の穴から息を吐く。続いて左の鼻の穴をふさいで右から息を吸う。自分のペースで繰り返し、慣れてきたら秒数を徐々に伸ばしていく。

 

Exercise.2. 秒数コントロール

片鼻呼吸と同じく「吐く」「吸う」をバランスよく行い、呼吸のリズムを整えるエクササイズです。

リラックスした姿勢をとる女性

あおむけなどリラックスできる姿勢を取り、息を吐き切ったら、まずは鼻から10秒吸い、続いて10秒吐き、そのまま10秒息を止める。

キツさを感じる人は5秒ずつ、8秒ずつなどできるところからスタート。慣れてきたら歩きながら行ってもOK。

 

Exercise.3. ゼロポジション

背中の柔軟性を高め、背面にも呼吸のスペースを広げるエクササイズ。デスクワークで背中が固まっている人にオススメです。

柔軟体操する女性

写真の姿勢で腰をフラットにした状態から、肘で床を押し、お尻をかかとのほうに押し下げながら、背中を丸めていく。

 

Exercise.4. オブリークツイスト

体幹まわりの可動性を高め、呼吸のためのスペースを広げるためのエクササイズです。

柔軟体操する女性

①足を90度、90度に曲げて、肩の下に肘を置き、耳と肩をなるべく離す。もう片方の手を天井に伸ばし、体幹をしっかり安定させる。

②あげた手をおろしたほうの脇の下に通す。慣れてきたら、この姿勢でゆっくり5呼吸する。

 

Exercise.5. マーメイドリーチ

肩まわりの可動域を広げ、スペースをつくるエクササイズ。上半身の硬い部分を見つけるセルフチェックにもなります。

肩のストレッチをする女性

①足から少し離れたところに片手をつき、耳と肩の距離をできるだけ離す。もう片方の手はまっすぐ前方へ伸ばす。

②床についた手に上半身を寄せ、体側をしならせるように側屈。

③あげた手をさらに前方に伸ばして、軽く上半身をツイストさせる。

 

Exercise.6  90/90

お腹や骨盤まわりなど、息を吐くための筋肉を総動員するトレーニング。ヒップスラストの前にやると、トレーニングの質がアップします。

下腹部の筋肉を使うトレーニングをする女性

①股関節、ひざ、足首を90度に曲げ、両脚の間にボールを挟む。両腕は天井に向けて伸ばす。

②骨盤を前傾させて尾てい骨を少し浮かせたら、ゆっくり息を吐きながらお腹、お尻、ハム、肋骨を締める。

ボールを両脚に挟むことで骨盤底筋群を働きやすくする効果も。

 

 

取材・文_藤村幸代 text=Yukiyo Fujimura 撮影_中原義史 photo=Yoshifumi Nakahara

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佐藤奈々子選手
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