栄養素 プロテイン フード&サプリ

米国フィットネス専門誌がまとめた「プロテインパウダーに関する知識を復習する」レポート

サプリメントとしてプロテインパウダーを栄養摂取に取り入れたいと考えるフィットネス初心者が、まず知っておきたいのはプロテインパウダーの種類とそれぞれの特徴についてだ。そこで、本記事では米国フィットネス専門誌がまとめたフィットネス中上級者にも役立つプロテインパウダーの基礎知識を紹介する。

(IRONMAN2026年1月号「from IRONMAN USA」より転載)

リアルフードとのバランスを考える

ボディビルダーを始めとしたアスリートにとって、タンパク質が不可欠であることはいまさら言うまでもない。栄養摂取を綿密に計画し、十分なタンパク質を確保するよう意識してい
るだろう。
プロテインパウダーはタンパク質確保が容易であり、高頻度のトレーニングを行う人の中には1日に複数回プロテインシェイクを利用する人もいるだろう。
栄養学の専門家は、サプリメントをあくまで「補助」と位置づける。これはその語義(補足・補充)からも間違っていない。しかし、極度の筋発達を目指すアスリートの生活において、プロテインパウダーは食生活の基盤を支える重要な要素となっている。 その利用はトレーニング後の筋線維修復が主な目的とされがちだが、タンパク質の役割はそれだけに留まらない。ホルモンや酵素の生成、免疫システムの維持、その他、無数に存在する生理機能の維持に不可欠な構成要素なのである。

プロテインパウダーの特徴

・栄養補助食品
・米、乳製品、卵など、さまざまなタンパク源から作られる
・通常、タンパク質の摂取量を増やすために使用される
・水や牛乳などの飲み物と混ぜてプロテインシェイクを作ったり、料理に加えたりする

プロテインパウダーの分類と種類

植物性タンパク質

大豆、米、ヘンプ(麻)、エンドウ豆

動物性タンパク質

牛乳、卵、肉、魚

代表的なプロテイン・ホエイプロテイン(牛乳由来)

ホエイはかつてチーズ製造の副産物として廃棄されていたが、現在はその価値が科学的に証明されている。体内で合成不可能な9種の必須アミノ酸を全て含む完全タンパク質であり、その最大の特徴は吸収速度が極めて速い点にある。トレーニング直後、アミノ酸が枯渇しているときに摂取することで、筋線維へ素早く供給され、効率的な修復とタンパク同化を促す。

アレルギー症状が出にくい(※)
加水分解ホエイプロテイン(WPH)

WPHはWPIよりもさらに製造工程が多い。ホエイプロテインに熱、酸、酵素を加え、タンパク質を構成するアミノ酸の結合を切断することで、タンパク質の分子を極めて小さく加工している。そのため吸収の速さに優れており、トレーニング直後に飲めば血中アミノ酸濃度が素早く高まり、筋発達に必要な反応が起きやすくなると考えられる。
さらに、アレルギー反応が出にくく、乳糖不耐症はもちろん、乳タンパク質そのものにアレルギーがある人でも比較的安心して利用できる。

※重度の乳アレルギー患者を除く

オフ期のトレーニング後に糖質も補給
ホエイプロテインコンセントレート(WPC)

WPCは、WPIよりも加工と濾過の工程が少なく、非タンパク質成分が多く残っている。この工程の差により、WPCのタンパク質含有量は70~80%とWPIより低くなるが、製造コストが抑えられるため比較的安いという利点がある。また、適度に炭水化物や脂質、ミネラルが残っているため、オフ期のトレーニング後などはむしろ効率的に栄養摂取ができる。
ただし、炭水化物の中には乳糖が含まれるため、乳糖不耐症の人など牛乳を飲んだ際に腹部の膨満感を感じる場合は勧められない。

低カロリー、減量期におすすめ
ホエイプロテインアイソレート(WPI)

高度に濾過されたホエイプロテインをさらに加工し、乳糖、炭水化物、脂肪などの非タンパク質成分のほとんどを除去したもの。その結果、WPIはタンパク質含有量が90~95%と極めて高純度になり、脂質含有量は1%未満、炭水化物や乳糖もごく少量に抑えられている。総カロリーやタンパク質以外の栄養素を最小限に抑えたいアスリート、減量中期~末期の人にとって理想的なプロテインといえる。
一方、製造が複雑であるため価格が高い傾向がある。そのため、日常的に取るよりも、減量期間中に限定して利用するのが現実的かもしれない。

原料の強みを活かしたプロテイン

長い間食事が取れないときに
カゼインプロテイン(牛乳由来)

カゼインはホエイと大きく異なり、消化が緩やかであるという特徴を持つ。これは、カゼインが胃酸で固まり、ゲル状になる性質があるからだ。そして完全に消化されるまでに時間がかかるため、数時間にわたりアミノ酸を供給することができる。
したがって、睡眠など長い絶食状態に入る前にカゼインプロテインを取れば、血中のアミノ酸濃度がゆっくりと上昇してカタボリックを防ぐことが可能になる。タイミングによりホエイと使い分けると良いだろう。

消化吸収に優れる
エッグプロテイン(卵由来)

エッグプロテインは、タンパク質の宝庫である卵白から作られるものである。最大の特徴は、9種全ての必須アミノ酸を理想的なバランスで含み、アミノ酸スコアが100であることだ。つまり、摂取したタンパク質が体内で極めて効率的に利用されるのである。
消化吸収にも優れているため、乳製品に対してアレルギーがある人にもお勧めだ。

BCAAが豊富
ピープロテイン(エンドウ豆由来)

ピープロテインは黄色いエンドウ豆を原料としているため、ビーガンなどに好まれる。低アレルギー性で消化が良く、BCAAを豊富に含むことから筋肉の修復や発達に寄与する。メチオニンが不足しているためアミノ酸スコアは動物性プロテインより低いが、乳・卵・大豆アレルギーがある人も飲めるプロテインだ。
また、高強度トレーニングと併用することでホエイプロテインと同等の体組成や筋力の改善があったという実験結果が得られている。

食物繊維も同時に取れる
玄米プロテイン(玄米由来)

玄米プロテインは、消化が良くアレルゲンを含まないため、消化器が敏感な人や重度のアレルギーを持つ人にも適した植物性タンパク質だ。
必須アミノ酸のリジンの含有量が低いが、ピープロテインといった他の食材と組み合わせることで補うことができる。これにより、動物性タンパク質に劣らない完全なタンパク質を摂取できる。
また、玄米由来の食物繊維で腸内環境を整える作用もある。

良質な脂質で疾患予防
ヘンププロテイン(麻の実由来)

ヘンププロテインは、その独特な脂質構成に最大の特徴がある。他のプロテイン源には稀なオメガ3脂肪酸、特にαリノレン酸(ALA)を豊富に含んでいるからだ。
変換効率は高くはないものの、ALAは体内でEPAやDHAへ変換され、心血管系の健康維持や抗炎症作用への寄与が期待される。そのため、健康に気を遣う人にも試してほしいプロテインだ。なお、リジンが不足するため、アミノ酸バランスを補うことを勧める。

選ぶ際のポイント

筋発達や疲労回復を目指すトレーニーにとって、プロテインサプリメントの選択は非常に重要だ。ここでは、プロテインを選ぶ際の基準を紹介したい。

1. タンパク質含有率

プロテインパウダーはタンパク質補給を目的とするため、それぞれのタンパク質含有率は最も重要な目安となる。 商品ラベルには、1回あたりのタンパク質量が明記されている。高純度なものほど、当然ながらタンパク質含有率は高くなる。効率的にタンパク質を摂取するには、含有率が少なくとも70% 以上、あるいは1回の摂取で20g から30g のタンパク質が供給される製品が望ましい。

2. 原料と成分構成

プロテインパウダーは、その由来(動物性・植物性)によって栄養素や性質が異なる。まずは、自分の体調やアレルギーの有無、食生活に基づき、最適な原料を決める必要がある。 また、純度も重要な判断基準となる。多くのプロテインには、人工甘味料、糖質、脂質、添加物が含まれているが、できるだけ少ないものが理想的だ。タンパク質補給が一番の目的ならば、内容成分がよりシンプルなプロテインを選ぼう。

3. 消化と吸収

選んだプロテインが自身の消化器系に合っているのか確認した方が良い。特定の原料が膨満感や不快感を引き起こす場合、その製品は避けるのが無難だ。 さらに、原料ごとの消化・吸収速度と摂取タイミングを併せて考えると、より効果的にタンパク質を補給できる。 例えば、ホエイプロテインは、吸収が素早いことから、アミノ酸の枯渇状態にあるトレーニング直後の摂取が適している。一方、カゼインプロテインは胃酸で固まり、消化に時間がかかる。このタイプは、就寝前などにおいてカタボリックを防ぐために有効だ。

4. 価格

理想的な品質を追求すれば高価になるが、サプリメントは継続的に取ることが前提となる。したがって、コストパフォーマンスが優れているか考慮する必要がある。 それぞれの製造工程や精製度の違いが価格にどう反映されるかを理解し、予算と品質のバランスが取れたものを決めよう。

5. 品質保証とブランド

規模の大小にかかわらず、品質にこだわって製造しているサプリメントメーカーは多い。重要なのは、その企業が品質と純度に対し、いかに客観的な証拠を提示しているかである。したがって、製造プロセスが適正製造基準に準拠しているか、また、成分の純度や禁止物質の混入がないかを第三者機関によって定期的に検査し、その結果を公表している企業の商品を選び、安全性を確保しよう。

-栄養素, プロテイン, フード&サプリ
-, , , , , , , , ,





おすすめトピック



佐藤奈々子選手
佐藤奈々子選手