2025年5月10日、千葉市文化センターで開催された「INBA INTERNATIONAL ASIA PACIFIC CHAMPIONSHIPS」にて、「エンジェルノービス」および「エンジェル一般」の両カテゴリーで優勝を果たしたのは、パーソナルトレーナーでありイベントコンパニオンでもある有理(ゆり/32)さん。その姿は、会場を華やかに彩りながらも、確かな努力と信念に裏打ちされた強さを放っていた。
「自分の後ろ姿、お尻のたるみが嫌でジムに通い始めました」。
そう語る有理さんのトレーニングの原点は、純粋な“自分自身を変えたい”という思いから始まった。モチベーションを保つために選んだのがボディコンテストへの挑戦。約4〜5年前にマッスルゲートの初心者向けカテゴリーで初舞台を踏んだ。
今回出場した「エンジェル」カテゴリーは、日本では初開催。有理さんはアメリカの下着ブランド「ヴィクトリアズ・シークレット」に長年憧れており、「これは私のためのカテゴリーだと思った」とエントリーを決意。羽根はネット通販で購入し、1枚1枚にリボンをあしらうなど、自らの手で丁寧にデコレーションを施した。
「イメージカラーは“赤”。大好きなモデルさんの雰囲気に少しでも近づきたくて、衣装も全てその方に寄せて考えました」
外見だけでなく、トレーニングを通じて内面も変わった。
「自分のことがもっと好きになったし、周囲ともつながれるようになった。明るくて優しい人が多いから、自分も優しくなれた気がします」と語るその表情には、ステージに立つことを心から楽しむ余裕があった。
有理さんは7年間、児童館で保育士として働いていたが、トレーニングへの情熱から半年前にトレーナーへ転職。保育士資格は保持しつつも、新しい道を歩み始めている。
今回の大会での優勝は、有理さんにとって大きな意味を持つ。
「11月のラスベガス大会に出場できたら、8年会っていないアメリカ在住の母(幼少期に離婚で離れて暮らすようになった)にも会えるかもしれません。飛行機で1時間くらいの距離に住んでいるので、来てくれるかもって、少しだけ期待しています。母には産んでくれてありがとうって伝えたいです。ここまで頑張ってきたよっていうところをちゃんと見てほしいと思っています」
遠く離れていた母との再会──。それは、ステージに立つ有理さんの新たな夢でもある。
「期待しすぎないようにって思ってるけど……それでも、やっぱり会えたらうれしいですよね」
まるで羽根のように軽やかに、そして力強く。有理さんの挑戦は、まだ始まったばかりだ。
【INBA JAPANのアンチドーピング活動】
出場選手はアンチドーピング講習会を受けることを必須とし、大会当日、指名された選手は尿検査を受けなければならない。
文・撮影:FITNESS LOVE編集部