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「プロテイン信仰」はもう卒業!タンパク質摂取より実は大切なこと【筋トレ初心者よくある落とし穴❹】

筋トレといえばプロテイン、筋肉といえばタンパク質。そんな“わかりやすい常識”が、実は筋肥大を遠ざけているかもしれません。この落とし穴を回避するためには、「食べればいい」から一歩進んだ、栄養の理解が求められます。ボディビル元世界チャンピオンの鈴木雅さんとAthleteBody所属ボディビルコーチの本橋直人さんが詳しく解説します!

筋トレ初心者の落とし穴④

筋発達にはタンパク質だけが大事!と思い込んでしまう

筋肉を発達させるためにはタンパク質の摂取が大切だ。このことはトレーニングをする者ならば誰もが知っているだろう。しかし、その摂取量について詳しく調べたりしたことはあるだろうか。筋肉の材料がタンパク質だからというだけの理由で、タンパク質の摂取量を極端に増やしているならば、内容を見直すべきだ。

「増量する場合も減量する場合も、最初に考えるべきなのはカロリー収支です。カロリーがプラスなら体重は増えますし、マイナスなら減っていきます。自分に必要なカロリーを知った上で、そこからタンパク質の摂取量を決めていくことが重要です」(本橋)

タンパク質の推奨摂取量は、多くのメディアで体重1㎏あたり2gとされるが、実は、体重1㎏あたり1.6g程度でも十分に筋肥大は起こる。さらに言えば、ある程度の摂取量が確保できているならば、それ以上たくさん摂取しても除脂肪体重を増やすには役立たないかもしれないとする研究もある。これらのことから、それほど意識してタンパク質を摂取しようとしなくても、一般的な主食・主菜・副菜からなる食事を3食取っていれば、それだけで筋肥大に必要な量のタンパク質を確保することができると言えるだろう。

タンパク質量の多い食事には、別の効果もあるという。

「タンパク質食品には、満腹感を得やすくなるという特徴があります。減量中ならばこのことはメリットとして機能しますが、これから体重を増やしたいと考える人は、そのせいでカロリー収支をプラスにしていくことが難しくなることもあるでしょう」(本橋)

いずれにしても、タンパク質をこれまで摂りすぎていた人は、一旦摂取量を減らして、身体の変化を見てみても良いかもしれない。

「タンパク質は確かに大切な栄養素ですが、他の三大栄養素である炭水化物と脂質にも目を向けてほしいです。そうなってくるとやはり、栄養の仕組みについても自分である程度は勉強していかないといけないと思います」(鈴木)

「筋トレするならプロテインは必須」と思っている方も多いだろうが、実は、それ以外の栄養素とのバランスを意識することの方が、ボディメイクでは重要である。
タンパク質、炭水化物、脂質、ビタミン、ミネラルは五大栄養素と呼ばれる。
カロリー収支に気をつけることがまず第一に大切で、その上で、必要な栄養素を確保できる内容を考えたいところだ。まずは食生活を整えて、その上で足りない栄養素があれば、プロテインやビタミン類のサプリメントを活用すると良いだろう。

回避法!

自分に必要なタンパク質量を知りつつ、他の栄養素にも目を向ける

すずき・まさし
1980年12月4日生まれ。福島県出身。株式会社THINKフィットネス勤務。ゴールドジム事業部、トレーニング研究所所長。2010~2019年日本選手権9連覇。2016年IFBB世界選手権ボディビル80kg以下級優勝。現在トレーナーとしては主にアスリートやボディビル競技者のトレーニング、栄養指導にあたる。他にもアスレティックトレーナーや理学療法士に対して身体の原理原則をいかにトレーニングに落とし込むかといった指導にも携わる。

もとはし・なおと
1982年11月1日生まれ。埼玉県出身。AthleteBody.jpで活動中のパーソナルトレーナー。トレーナー歴17年であり、ここ10年は体組成改善に専門で取り組む。特にここ5年はボディビルやフィジークといった競技者のクライアントを多く指導している。久野圭一選手や昨年の日本クラス別で活躍した藤井貫太郎選手も指導を受け、指導前後の変貌振りがSNSで話題となった。

取材・文:舟橋位於 撮影:北岡一浩、舟橋賢、中島康介 Web構成:中村聡美

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