種類豊富なサプリメント。手軽に手に入る時代だからこそ、気づかぬうちに“効くかも”であれこれ手を出していませんか?ボディビル元世界チャンピオンの鈴木雅さんとAthleteBody所属ボディビルコーチの本橋直人さんが効果的なサプリメントの取り入れ方について語ります。
筋トレ初心者の落とし穴⑥
最近では、スポーツ用品専門店以外のドラッグストアでも、非常に多くの種類のサプリメントを購入できるようになった。色々なサプリメントを試すときはワクワクするものだが、本当に自分に必要なものであるかどうかは、一度考えてみた方が良いだろう。
普段の食事や生活スタイルを考えて、状況に応じて必要なものを使うという考え方が良いだろう。例えば、トレーニング前に食事が取れなかったり、長時間のトレーニングを行ったりする場合は、エネルギー源となるタイプのサプリメントを使用することなどがその例だ。
テンションを高め、やる気を上げる効果を狙うならば、たとえ思い込みだったとしても、プレワークアウトサプリメントを使うことにも意味があるだろう。健康維持もしくはエルゴジェニック(スポーツや運動のパフォーマンスを向上させる手段)という観点でサプリを区分して考えるのも良いことだ。

「マルチビタミン・ミネラルやフィッシュオイルなどは、通常の食事で不足する場合はプラスしてあげると目立った効果が得られやすいのでお勧めです。また、トレーニングの質を高めてくれるタイプのサプリメントで効果が実証されているものもいくつかあります。こういったものは使用を検討しても良いでしょう」(本橋)
エルゴジェニックサプリメントの代表格であるクレアチンやカフェインについては多くの研究報告があり、その効果や安全性は折り紙つきだ。強度を高めるために摂っても良いかもしれない。しかしこれらのサプリメントも、全体の栄養を考えた場合はほんの一部分の効果をもたらすにすぎない。
効率的なボディメイクを考えていく上で大切なのは、まずは正しくバランスの取れた食事で土台を形成することだ。その上で、必要なものや不足しているものがあれば、サプリメントを用いて、適宜プラスしていくという考え方が大切である。あくまでもサプリメントは補助食品という位置付けにとどめておかないといけない。
サプリメントを取捨選択するとしても、自分にはどのような栄養素が不足しているか分からないという場合もあるだろう。最近では、栄養管理アプリを使うと五大栄養素の摂取量まで表示してくれるものもある。また、複数のサプリメントを全て試して、効果のあるものを続けてみるという手法を取ってみても良いかもしれない。
回避法!
すずき・まさし
1980年12月4日生まれ。福島県出身。株式会社THINKフィットネス勤務。ゴールドジム事業部、トレーニング研究所所長。2010~2019年日本選手権9連覇。2016年IFBB世界選手権ボディビル80kg以下級優勝。現在トレーナーとしては主にアスリートやボディビル競技者のトレーニング、栄養指導にあたる。他にもアスレティックトレーナーや理学療法士に対して身体の原理原則をいかにトレーニングに落とし込むかといった指導にも携わる。
もとはし・なおと
1982年11月1日生まれ。埼玉県出身。AthleteBody.jpで活動中のパーソナルトレーナー。トレーナー歴17年であり、ここ10年は体組成改善に専門で取り組む。特にここ5年はボディビルやフィジークといった競技者のクライアントを多く指導している。久野圭一選手や昨年の日本クラス別で活躍した藤井貫太郎選手も指導を受け、指導前後の変貌振りがSNSで話題となった。
取材・文:舟橋位於 撮影:北岡一浩、舟橋賢、中島康介 Web構成:中村聡美
「サプリメントの基本的な考え方は、必要なものを補うところにあります。マイナスになっている部分を0に戻してあげるということですね。そういったことを踏まえながら、取捨選択ができると良いのではないでしょうか」(鈴木)