ボディコンテストの舞台には、多彩なバックグラウンドを持つ参加者が集う。近年は個性的な「濃いキャラクター」も増え、会場を盛り上げている。そんななか、ひときわ輝く存在が中村彩乃(なかむら・あやの/36)さんだ。5月5日(月・祝)、岐阜県で開催された『ベストボディ・ジャパン岐阜大会』で、ミス・モデルジャパン部門レディースクラス(30歳〜39歳)で自身初となるグランプリ。同日のミス・ベストボディ部門でも4位入賞を果たした。
「岐阜大会のモデル部門では、レディースクラスが一番出場者が多かったのでプレッシャーと不安もたくさんありました。本格的にモデル部門に挑戦し、昨年からの成長を評価していただけて本当にうれしかったです。日本一を目指して、これからも努力を続けたいです」
父との「日本一」を賭けた挑戦
中村さんのコンテスト出場のきっかけは、なんともユニークだ。長野県で林檎農園を経営する父との「どちらが先に日本一になれるか」という約束だ。父は農園経営で、中村さんはボディコンテストで頂点を目指す。9年前、海外留学中にジム通いを始めたことが、彼女のボディメイクの第一歩だった。
「留学中、周囲に馴染めず孤独を感じていました。ジムに行けば友達ができるかもしれないと思い、マンションのジムに入会しました。そこで多国籍な仲間と出会うことができ、語学やトレーニング法を学びました」
帰国後、トレーナーと父の勧めでコンテスト出場を決意。しかし、先に「日本一」の称号を手にしたのは父だった。父が経営する「ナカムラフルーツ農園」は5年前、合併により日本一の規模となった。「父が先に目標を達成してしまったので、私も負けていられません」と、強い決意を口にする。
銀座のホステスと農園の手伝い、両立の舞台裏
中村さんの本業は、銀座の高級クラブのホステスだ。人気嬢として出勤日のほとんど全日は同伴出勤。さらに、月に数度は長野の農園を手伝う多忙な日々。ボディメイクを続ける環境は、決して容易ではない。
「パーソナルトレーニングは夕方の同伴前に、自主トレは店が閉まった後の24時以降にジムへ行きます。食事管理が特に難しく、お客様との会食ではハイカロリーな料理も多いです。そのため、前後の食事をオーガニックプロテインや低脂質のたんぱく質で調整しています。減量期には、ドレス姿のまま1時間半歩いて帰宅することもあります(※)」と、努力の裏側を明かす。
(※銀座では品格を保つため通勤時もドレスの着用が義務付けられている)
そんな厳しい環境でも、中村さんが挑戦を続ける原動力は父との約束だ。今シーズンも埼玉大会、長野大会、そして日本大会と連戦が続く。
「どの大会も全力で挑み、今年こそ日本一を獲れるよう頑張ります」
中村さんのストイックな姿勢は、忙しい日常の中でも夢を追い続けるヒントをくれる。
取材:にしかわ花 撮影:上村倫代
『IRONMAN』『FITNESS LOVE』『月刊ボディビルディング』寄稿。広告・コピーライティング・SNS運用。ジュラシックアカデミーでボディメイクに奮闘している。
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