マッスルゲート選手 コンテスト

「乳房も髪の毛もなくなった」乳がんを乗り越え、30kg減量の56歳が挑む“第2の人生” コロナ給付金を握り締め、「これで痩せてやる!」とジム入会

5月6日(火・祝)、保土ヶ谷公会堂で開催された『マッスルゲート横浜大会』。ドリームモデル163cm以下級および50歳以上の部に出場した向山智美(むこうやま・ともみ/56)さん。しなやかな筋肉と明るい笑顔でステージに立つその姿の裏には、想像もつかないような壮絶な過去があった。

【写真】闘病前の向山さんと現在の写真

向山さんは49歳の時に乳がんを発症。治療による副作用で体重が増加し、52歳には80kgを超えるまでに。

「本当に人生のどん底でした。乳房もなくなり、抗がん剤で髪もなくなり、何をしても気が晴れず、未来が見えなかったですね。”まさか自分が”とよく言いますが、本当にその言葉通りです」

そんなとき、『このまま人生が終わってしまうかもしれないなんて絶対に嫌だ』という危機感が彼女を突き動かす。ちょうどそのころ支給されたコロナ給付金を握り締め、「これで痩せてやる!」と、意を決してジムの門を叩いた。

そこから始まったのは、過酷ながらも前向きな挑戦の日々。正しい食事管理とトレーニングを向山さんの座右の銘『鉄の意志、鬼の継続』で徹底し、1年経たずして約30kgの減量に成功。大病を克服し、さらに大幅なダイエットを成し遂げた実績は、TVや雑誌などでも取り上げられた。

「エステや美容外科も考えましたが、一時的なものでしかない。人生を変えるには、自分で身体を変えなきゃいけないと思ったんです。

正しいダイエットのおかげで、皮膚のたるみなどもなく、健康的に引き締めることができたと思います」

マッスルゲートの出場は今回で2年目。横浜大会の翌週11日に行われた福島大会では同部門で見事優勝し、2冠を獲得。 年齢を感じさせないエネルギーの背景には、人生を前向きに捉え直した向山さんの哲学がある。

「ウインタースポーツやドライブも大好き。もともとアクティブなのですが、死を意識したことで、より一層いろいろなことにチャレンジしたくなりました。“もしかしたらゴールが近いのかも”と感じるからこそ、すべてに本気で取り組めるんですよね。途中で投げ出すなんてこと、今は考えられません」

そんな向山さんが次に目指すのは、マッスルゲートジャパンカップ上位入賞。『まだまだチャレンジしたいこと、勉強したいことがたくさんある!』と語る姿は、まさに“挑戦する大人”のロールモデル。

病と向き合い、乗り越えたからこそ見える景色がある。向山さんのストーリーは、今を生きる多くの人々に、諦めないことの強さと一歩を踏み出す勇気を与えてくれる。

【マッスルゲートアンチドーピング活動】
マッスルゲートはJBBF(公益社団法人日本ボディビル・フィットネス連盟)とアンチドーピング活動について連携を図って協力団体となり、独自にドーピング検査を実施している日本のボディコンテスト大会である。

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文:林健太 撮影:中島康介

執筆者:林健太
パーソナルトレーナー、専門学校講師、ライティングなど幅広く活動するマルチフィットネストレーナー。マッスルゲートにも出場経験あり。

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