減量が進まない、停滞する━━そんなときこそ“何をどう食べるか"がカギになる。「ストレスなく食べる方法を模索している」と話す、ウェルネス女王の大谷美咲選手。大谷選手が実践している、減量期のリアルな食事術とは。
減量中にお酒もお菓子も楽しむ。
ストレスのない食生活実現のための掟
停滞したら入れるもの
減量期に入ると、まずはオフシーズンのカロリーを減らしていきます。間食のお菓子やお肉の脂、調理に使う油など脂質を減らして落ちるところまで落としていきます。しかし、昨シーズンの終盤は疲労もあり、減量が停滞気味に。そこで11月から食事管理アプリのマクロファクターを使いました。
PFCバランスを見直してみると脂質が少なく、バランスが悪かったので、怖かったんですが脂質を増やしタンパク質を減らしました。割合でいうと、アプリを使う前は感覚値ですが、P40%、F15%、C45%。アプリで記録を始めてからはP30%、F25%、C45%ぐらいです。身体が元気になった感覚はありましたし、トレーニング中もパワーダウンすることがありませんでした。
私は大雑把なタイプなので(笑)、アプリの管理で明確に数値が分かると減量がやりやすかったですね。
年間通して腹8分目
増量期・減量期関係なく常に意識しているのは、「腹8分目」という点です。満腹になるまで食べないように気をつけていて、その理由は「満腹を習慣化してしまうと怖い」から。パンや小麦の食材なども毎日食べたいと思いますが、やはり減量のときにつらくなるだろうと思うことは習慣にしないようにしています。
例えば毎日お菓子を食べるにしても、「一日1個まで」とか「食べすぎたら後で摂取カロリーを抑える」とか。自分で制御できることが大事かなと思っているので、私はオフの時期から減量中盤まで自制できる範囲でお菓子もお酒も楽しんでいます。
これは私の感覚ですが、いくら低カロリーの食事でも、お腹がパンパンになるまで食べてしまうと太るような気がして。そして満腹が当たり前になってしまうと、減量期になったらつらくなるだろうな、と思うんです。だから「まだ食べたいな」と思っても、一旦手を止めて「本当にまだ食べたいのか?」と自問するようにしています。
幸福度を上げる
〝逃げ道〞減量期は鶏胸肉やささみがメインになりますが、味付けはさまざまです。「自分が食べておいしい」と感じる食事の方が幸福度は高いです。家のキッチンにスパイスは結構取り揃えていて、その日の気分で味付けを変えています。
バジルでイタリアン風にするとか、カレー系のスパイスとか!また、しょうがパウダーやヒハツというコショウ系のスパイスは身体が温まるような感覚があり、よく使っていました。ヒハツは独特な香りなんですが(笑)。塩分も必要だと思っているので、極端に減らすことなく「自分にとってちょうどいい濃さ」にしています。
減量が進んでくると、やはり「何か食べたい!」と思うこともあります。そういったとき、私は満足感があるものを摂取するようにしています。工夫というより、「これなら大丈夫」という〝逃げ道〞みたいなものを作っています。
例えば、砂糖不使用のアーモンドミルク。いつもブラックコーヒーばかりだとつらくなるときがあるので、アーモンドミルクを入れてカフェオレにして飲むとか。ご飯系で満足感が欲しいときは、具沢山のスープを加えています。野菜や雑穀系のものを入れると満足感がアップします。
そして、減量期だからといって甘いものをゼロにするようなことはしていません。摂取カロリーがある程度決まっていたら、その中で多少お菓子を食べてもいい。洋菓子などクリームたっぷりのお菓子は控えていますが、チョコレート3粒ぐらいであれば、私も普通に食べています。どうしても減量期のトレーニング前に、少し甘いものを入れた方がいいと思うときもありますから。減量中はうまく食欲と付き合っていくことも大事なのかなと思いますね。
おおたに・みさき
1987年9月7日生まれ。新潟県出身。身長158㎝、体重49㎏(オン)54㎏(オフ)。2023年IFBB世界ボディビル&フィットネス選手権でボディフィットネス3冠を達成。2024年からウェルネスに転向。減量中のご褒美は朝起きてカットが深くなっていたときの喜び
取材・文:小笠拡子 撮影:舟橋賢、中原義史(プロフィール写真) Web構成:中村聡美