ボディビル元世界王者・鈴木雅×AZCARE株式会社代表・近藤拓人×PMPerformance代表・川合智監修によるスペシャル対談!
「減量中、筋肉量は落ちて当たり前」と思い込んでいませんか?そこで、筋肉量を残して絞るためにやるべきことを【トレーニング編】【有酸素運動編】【栄養編】【睡眠・ストレス編】【エネルギーフラックス編】の5回に分けてお伝えします。筋肉が削れるのはもはや当たり前じゃない!
ココがポイント
摂取カロリー、消費カロリーともに高い状態が理想
「少ししか食べないで、その分活動量が少ない人と、たくさん食べてたくさん動く人では、どちらの方が元気だと考えられるかということですね」(近藤)
エネルギーフラックスについて知ろう
たくさん食べてたくさん燃やす
あまり馴染みのない用語としてエネルギーフラックスというものがある、エネルギーはそのままの意味でフラックスは「流れ」という意味だ。つまり、身体の中に入ってくるエネルギーと、身体で消費されて外へ出ていくエネルギーの流れについて着目する考え方のことだ。
エネルギー+流れ(フラックス)身体の中に入ってくるエネルギーと身体で消費されて外へ出ていくエネルギーの流れについて着目する考え方。このエネルギーの流れを高い水準で維持、つまりたくさん食べてたくさん動く状態にすることで元気に減量を進めることができる。
普段は電車で通勤しているうちの一部を歩くようにしたり、窓拭きの時間を作ったりというような、小さな積み重ねでもエネルギーの消費量は増やせる。常にエネルギーフラックスを念頭に置き、少しずつでも消費エネルギーを増やす行動に変えていけると良いだろう。
痩せる・減量するということを考えた場合に、摂取カロリーを減らす方法と消費カロリーを増やす方法が思いつく。一般的には両方を併用しながら進めていくが、エネルギーフラックスの観点では、やはり消費カロリーを増やす方向を強く意識することが大事だ。実際に、減量後にリバウンドした人としなかった人について調べた研究結果では、リバウンドしなかったグループは消費カロリーが多かったことが分かっている。

「少ししか食べないで、その分活動量が少ない人と、たくさん食べてたくさん動く人では、どちらの方が元気だと考えられるかということですね」(近藤)
やや話は変わるが、チートデイはどうなのだろうか。多くのエネルギーをあえて摂取して、それによる減量の加速や活動量の増加が狙えると一般的には考えられているが、科学的にも考えてみたい。
「無茶な食事制限をして血糖値が不安定になるからこそ、チートデイを欲する状態になってしまいます。オフに体重を増やしすぎず、減量期に入っても無理なく進められていれば、チートデイを設けたいと思わないはずです」(川合)
ストレスが強くかかると、副腎から抗ストレスホルモンであるコルチゾールが分泌される。コルチゾールには血糖値を安定させる働きがあるが、同時に肝臓のグリコーゲンを消費してしまう。そうすると、身体が甘いものや糖質を欲して、結果的にチートデイを行いたくなってしまうというわけだ。
ココがポイント
「チートしたい」は危険信号
「無茶な食事制限をして血糖値が不安定になるからこそ、チートデイを欲する状態になってしまいます。オフに体重を増やしすぎず、減量期に入っても無理なく進められていれば、チートデイを設けたいと思わないはずです」(川合)
うまく減量を進めていくためには、無茶な減量にならないように計画的に進める必要がある。重要なのは、ストレスを正しく管理することであり、体内のホルモンバランスを調整することだ。ぜひ、次の減量の際に生かしてもらいたい。
特集「減量の常識を疑う!!」
こんどう・たくと
1986年生まれ。宮崎県出身。ミネソタ州立大学アスレティックトレーナー学科でアスレティックトレーナー資格を取得。AZCARE株式会社代表、パーソナルジムNEXPORT代表、オンラインサロン「PLAZ+」主宰。医科学修士、BOCATC、NSCA-CSCS、PRT、DNSET、ビュテイコ呼吸法セラピスト
かわい・とも
1984年生まれ。滋賀県出身。パーソナルトレーニング『PMPerformance』代表兼トレーナー。他にも『AZCAREACADEMY』ゼネラルマネージャーや日本統合療法株式会社・代表取締役を務める。運動の専門家として様々な要望に応える傍ら、運動と栄養を統合したヘルスケアを実践する
取材・文:舟橋位於 撮影:木川将史 Web構成:中村聡美
「リバウンドを防ぐためには、しっかり食べるのと同時に、それに見合うだけ活動することが大切です。もちろん、トレーニングでもカロリーは消費できますが、それ以外の日常の部分でカロリー消費量を増やす考え方でも問題ありません」(川合)