青木マッチョが、国内外の様々な選手のトレーニングを研究した結果たどり着いたのは、3つの意識で種目を選択することだという。そして、豪快かとの予想に反して、そのトレーニングは極めて丁寧なものだった。今回は、怪物の腕トレの様子を写真とともにお届けする。
※普段は、中重量2セット、高重量2セットの合計4セットを1つの種目で行う。
◆上腕二頭筋◆
1種目目
31.7kg/10回
49.9kg/5回
「『収縮』、『パワー』、『ストレッチ』という3つの観点で種目を設定しています。その中で、マシンのカールは収縮に該当します。負荷を乗せながら、肘が完全に曲がり切るところまで動作するのがポイントです」
重量を追い求めることは大事だが、その代償として可動域が狭くなってしまう人は多い。青木さんの場合は、全ての可動域で負荷が抜けていない様子がよく分かる。参考にできる点は多いだろう。
2種目目
10kg/12回
18kg/5回
インクラインカールは、足をベンチに乗せるやり方と床に下ろすやり方がある。数々のビルダーの動画を参照しつつ自分でも試した中で、乗せるやり方が合っていたので選んだとのこと。
「ストレッチを狙う種目なので、腕が床と垂直になるまでしっかりと伸ばし切り、そこから反動を使わずに挙げていきます」
青木さんが言うように、上腕二頭筋は二関節筋なので、肩関節伸展の動きを出すとより刺激が入る。
◆上腕三頭筋◆
3種目目
77kg/15回
109kg/9回
上腕三頭筋の収縮種目として行う。
「肘関節が逆方向に曲がって裏返るようなイメージでしっかり収縮させます。可動域をマックスに取るというイメージですね」
ロープは他のアタッチメントと比べて自由度が大きく、負荷が分散しやすい側面がある。しかし、青木さんは一連の動作の中でしっかりとウエイトをコントロールしていた。フォームを崩してまで重量を扱う必要はないことがよく分かるだろう。
4種目目
50kg/10回
60kg/5回
「ライイングエクステンションはパワー種目です。頭の後ろに下ろすとストレッチ種目になってしまうので、バーはおでこに下ろします。可動域が狭くならないように注意しつつ、力が最も出せるフォームで実施します」
頭の後ろに下ろすフォームは肩関節の屈曲が入るため、二関節にまたがる長頭を刺激する。おでこに下ろすフォームは外側頭を刺激しやすいため、目的に応じて使い分けると良いだろう。
5種目目
40kg/10回
45kg/9回
上腕三頭筋の最後はストレッチ種目でツーハンズのフレンチプレスを行った。
「筋トレというよりも、ストレッチをしているイメージで行います。背もたれが低いタイプのベンチがあるときは、今回よりももっと深くまで下ろします」
青木さんの上腕三頭筋はどの方向から見てもよく発達している。その理由は、明確な意識を持って種目を3種類に区別しているところにあるだろう。この考え方はぜひ参考にしてみてほしい。
◆前腕◆
6種目目
20kg/15回
40kg/8回
ハンマーカールはパワー種目である。挙上する際はやや反動を用いるが、ネガティブではしっかりと耐えて効かせる意識を持つ。ハンマーカールのポイントは「拳をウエイト部分に引っ掛けるようにせず、グリップの真ん中をしっかり握り込むことです」と青木さんは言う。これにより、特別な前腕のトレーニングを行っていないにも関わらず、青木はどの角度から見ても発達が分かる極太の前腕を手に入れられたそうだ。
あおき・まっちょ
1995年7月31日生まれ。身長180㎝、体重90㎏。愛知県名古屋市出身。吉本興業のお笑いコンビ『かけおち』(2024年10月まではトリオ)のボケ。筋肉芸人としてのキャラクターだけでなく、TBS『ラヴィット!』では太鼓の達人、早食い、料理など多彩な特技を披露することでも注目を浴びている。野田クリスタルさんからは「吉本史上一番マッチョ」と称されるほどの肉体。
取材・文:舟橋位於 撮影:中原義史 Web構成:中村聡美