6月7日(土)、新居浜市市民文化センターにて『マッスルゲート四国大会』が開催され、近井拓海(ちかい・たくみ/27)さんがマスキュラーフィジークで優勝した。背中の広がりが素晴らしい近井さんに、骨折・側弯症・ハードゲイナーというボディコンテスト出場者には厳しい条件下での身体作りについて伺った。
1日4000kcal+回転寿司20皿で減量!?
近井さんがボディメイクを始めたきっかけは腕相撲だった。
「親友の後輩に腕相撲で負けたのがとても悔しくて。身体を鍛えようと、毎日公園の鉄棒で懸垂をすることにしたのです。『一日100回、1ヵ月続けられたらジムに通うぞ!』と決めて続け、1カ月後にはジムへ入会しました。いつの間にか筋トレにドハマりしていて、本気で自分自身と向き合う時間を楽しんでいましたね」
ボディメイク歴4年目の近井さんは、昨年からボディコンテストへ参加するようになった。
「ボディコンテストの存在は、YouTubeで知りました。『せっかくなら、鍛えた身体を披露する場に出てみよう!』と出場を決意したものの……。3年前に、第一肋骨を折ってしまいました。お箸すら満足に持てず、ダンベルやバーベルを持つことなんてとても無理でした。でも、競技を諦めたくなかったのです。今の自分にできることを探して行動し、6.8㎏にまで落ちていた握力は45㎏くらいまでに回復しました」
「手術しないと治らないので、今も肋骨は折れたまま」と話す近井さんは、それでも競技への出場を諦めない。
「痛みもあるけれど、意地でも限界まで筋肉を追い込んでいます。自分のできる範囲でトレーニングやケアをしていたおかげか、筋力や筋量は上がりました。肋骨が折れているためか、胸の厚みと広がりが今後の課題だと思っています。僕は側弯症も患っているので、トレーニングやポージングでも左右差を感じますね。そのためトレーニングのときは、左右差を埋める意識で行うことが多いです」
近井さんのこだわりの一つは「ドロップセットはしない」!
「トレーニングは週に2~3回、1時間くらい行っています。得意種目は、背中とミッドセクション。背中は前から引く種目と、下から引く種目を増やしてグッと良くなりました。ミッドセクションは、呼吸のエクササイズを取り入れてから腹筋をしなくても強く見えるようになっています。疲労が溜まるのを防ぐために、フリーウエイトではドロップセットにはしません」
ハードゲイナーである近井さんは「絞るのは大得意!」と笑顔だ。
「カロリーは毎日、5~7回に分けて4,000kcalを取っていました。それプラス回転寿司を20皿くらい食べる日が、週に3日くらいありましたね。僕はハードゲイナーなので、2,000kcalくらいで減量すると、絞り過ぎでガリガリになってしまいます。違う意味で、調整が難しいですね!」
平日は会社員として、土日はパーソナルトレーナーとして働く多忙な近井さん。1歳半の子どもを持つ近井さんは、育児優先の生活となり『今の自分にできること』を精一杯頑張っている。
「頻度と時間が減った分、トレーニングの質を高めていく」と話す近井さんからは、困難に立ち向かう意志の強さが、良い結果を生み出す原動力だと教えられる。
【マッスルゲートアンチドーピング活動】
マッスルゲートはJBBF(公益社団法人日本ボディビル・フィットネス連盟)とアンチドーピング活動について連携を図って協力団体となり、独自にドーピング検査を実施している日本のボディコンテスト大会である。
取材:山口夏織 撮影:北岡一浩
フィットネスからグルメ&レジャー、経済紙まで様々なジャンルで執筆&撮影を行う、歌う筋肉クリエイター。自身もボディコンテストへの参加経験があり、日々鍛えている。どちらかといえば猫派、某チョコはきのこ派。