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1トンの車を腕で引く!?「車に勝てるなら人にも勝てるだろう」発想も怪物級!沖縄の規格外アームレスラー・仲松潤一郎

「狙うは、世界一」。競技歴2カ月で全国制覇を果たしたアームレスリング界の怪物ルーキー。世界的選手のDNAに規格外のトレーニングを搭載して目指す、頂への道。

幼少期から産声を上げた怪物のDNA

━━競技経験わずか2カ月で全日本ジュニア選手権を制すという衝撃のデビューが話題になりました。元々トレーニングはかなり以前からされていたのですか?

仲松 いえ、筋トレを始めたのは4年前です。19歳からなので、初戦の全日本ジュニア選手権の1年前からですね。

━━つまり、身体づくりから始めて1年でトップ選手になったということですか?

仲松 はい、そうなります。それまで筋肉ムキムキの身体にも、アームレスリングにも興味がなかったため、トレーニング自体に無縁でした。体格も身長180㎝で体重75㎏と、どちらかというと細身の一般的な体型でしたが、大会挑戦に向けて1年で110㎏まで増やしました。

━━元々、フィジカルがずば抜けていたのですね。幼少期などの、身体能力に関するエピソードはありますか?

仲松 小さいころから力の強さや、瞬発力には自信がありました。たとえば、腕相撲はごくたまに父と遊びで握る程度しかやったことはなかったのですが、同級生には幼少期から負け知らずでした。中学3年生のときには体育の先生にも勝ちました。運動全般が得意で、何をしてもすぐに上達するため逆に長続きせず、小学校ではバスケットボールと野球、中学3年の途中まではテニス、そこから陸上部と興味がわいたスポーツを転々としていました。特に陸上部では、入部半年にして棒高跳びで沖縄で11年ぶりとなる全国出場を果たしてニュースになりました。

━━何がきっかけでアームレスリングを始められたのですか?

仲松 父の主催する練習会になんとなく参加するようになったのが始まりです。そこで、大会出場歴のある選手達に結構勝つことができて、「これは本格的に練習したら父も超えられるんじゃないか」と思ったんです。実際に、初出場で父のジュニア時代の記録(2位)を超え、優勝できたことで、さらにやる気が出ました。

急成長を支えた規格外の〝宅トレ〞

━━アームレスリングに取り組むようになってからは、どんなトレーニングを?

仲松 ジムには通わず、自宅にあるダンベルでプレスとカール、チンニング、グリッパーをひたすらやっています。ダンベルカールは始めたころは30㎏がやっとでしたが、初戦のころには50㎏でセットを組めるようになり、現在は60㎏でやっています。チンニングも自重で5回から始めて、今は45㎏の荷重を加え、現在の体重と合わせて161㎏で行っています。握力は127㎏のハンドグリッパーに挑戦しているところです。

━━驚異的な重量の伸び方ですが、秘訣はありますか?

仲松 シンプルにたくさん食べて、たくさん鍛えることです。トレーニングは筋肉痛があろうがなかろうが、とにかく毎日やります。アームレスリングの戦略として、一試合目、二試合目、三試合目と体力の減るなかでさらに力を出さねばならない実戦を意識して、アセンディングセットで行います。食事は1日7合の米を食べ、野菜も意識して取る以外は、ジャンクフードも含めて好きなものを好きなだけ食べています。

━━他に、勝つために取り組んでいることはありますか?

仲松 自家用車のジムニー(約1t)をアームレスリングのフォームで引いています。

━━それはどういった発想から?

仲松 車に勝てるなら、人にも勝てるだろうと思って。最初は攻めのフォーム(前腕を回内する方向)だけをやっていましたが、今は守りのフォーム(前腕を回外する方向)でもやっていて、すごくいい効果を感じています。

━━将来の展望を教えてください。

仲松 まだ日本も制していないですが、技術面を磨き、父の最高記録を超えて世界一を獲りたいと思っています。直近の目標は今年の全日本までに、アームカール70㎏と握力130㎏を達成します!

なかまつ・じゅんいちろう
沖縄県出身・在住の23歳。180㎝・116kgのサイズを誇る。名護市で海ぶどう養殖業を営む。父親は2010年アメリカラスベガス世界選手権無差別級4位の元祖沖縄の怪物・仲松克夫。潤一郎選手の戦歴は2022年全日本ジュニア選手権無差別級レフトハンド・ライトハンド優勝、2023年全日本選手権105kg級レフトハンド準優勝、2024年全日本選手権無差別級ライトハンド3位

取材・文:にしかわ花 写真提供:仲松潤一郎 Web構成:中村聡美

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