筋トレ フィットネス

ワールドカップ王者・井上貴文の腕トレ&ポージングセミナーに潜入 こだわりのトレーニング法に参加者も驚き【筋トレ】

2024年のIFBB男子ワールドカップにおいて、クラシックボディビル175cm以下級&オーバーオール優勝という華々しい成績を残した井上貴文(いのうえ・たかふみ)選手。その井上選手が7月13日(日)、大阪・北堀江にある井上選手所属のパーソナルジムにて、自身初となるセミナーを開催した。数々の実績を残してきたトップ選手から、ポージングとトレーニングを直接学べる貴重な機会とあって、熱量の高い内容となった。

【写真】現役ボディビルダーのポージング練習と白熱するトレーニング

第1部:ポージングセミナー ポテンシャルを最大限に引き出す

第1部のポージングセミナーでは、参加者一人ひとりの骨格や筋肉の特性を丁寧に見極めながら、それぞれに合った見せ方を指導。基本となる規定ポーズの取り方はもちろんのこと、ステージ上での立ち居振る舞いや、弱点をいかに隠して強みを引き出すかといった実践的なテクニックまで惜しみなく共有された。

ポージングセミナーの様子特に印象的だったのは、ポージングをとる際に「動くとき」「止まるとき」「決めるとき」の3つを意識するというアドバイスだ。メリハリのある動きがポージングを美しく洗練させたものに押し上げてくれる。

また、フリーポーズの選曲にもこだわりがあると言う井上選手。

「昨年のフリーポーズで使用した曲は洋楽ロックバンド、メタリカの『Battery』。その選曲にも理由があって、バッテリーとは観客と自分との間に通う結束という意味を込めました。歌詞の意味を理解してパフォーマンスすることが、表現力の深みにもつながると思います」

ポージングでは、脚から力を入れ、胸椎を起こし、中心から末端に向かって動きをつなげていく。手の握り方にもこだわりがあり、フロントポーズでは小指と薬指を強く握ることで三頭筋のアウトラインが際立つという。その説得力ある身体と説明に、参加者たちは深くうなずきながら自らの動きを修正していった。

それぞれがボディビル経験者とあって、すでにポージングはできていたが、それぞれの強みを生かすポージングを的確に修正していき、「見え方がすごく変わりますね!」という声や「力の入れ方が分かりました!」と言う声があがり、それぞれの課題に真剣に向き合う時間となった。

第2部:合同トレーニングセッション トップ選手の熱量に触れる

第2部では、井上選手本人と一緒にトレーニングを行う合同セッションが実施された。部位は特に指定されていなかったが、この日は腕のトレーニングがテーマとなった。井上選手は元アームレスリングの選手でもあり、その経験に裏打ちされた迫力あるフォームと知識の深さに、参加者たちは圧倒された様子だった。

合トレの様子

セッションの冒頭では、スクワットやデッドリフトといった大きな動きにつながる『股関節の出力』を高める動作からスタート。膝を90度まで曲げた状態から、できるだけ膝や足首を動かさずにジャンプすることで、股関節の主導性を体感していくというユニークなウォーミングアップだった。続いて、足の指に力を入れて地面をつかむように踏みしめる練習が行われた。これにより、地面への重心が安定し、スクワットの重量が数キロ単位で増加したという実例も紹介された。

合トレの様子

実際のトレーニングに入ると、まずはEZバーを使用したアームカールから。井上選手は、バーを手のひらの付け根に深く押し当て、指でしっかりと固定するグリップの重要性を強調した。バーと二頭筋との距離をできる限り近づけることで、筋肉への刺激がより直接的になるのだという。また、カール動作の際には膝ではなく股関節から動くヒンジ動作を取り入れ、より安全かつ効果的なフォームを意識させていた。あまりの刺激の強さに「すみません、少し軽くしてもいいですか……」と、普段より軽い重量を選ぶ参加者の声が上がる場面も見られた。

合トレの様子

次に行われたケーブルアームカールでは、手のひらの付け根にバーを押し当て、人差し指と親指で「へし折る」ように強く握ることで、二頭筋の起始部にも刺激を届けるテクニックが披露された。身体はわずかに後傾させ、肘の位置を高く保つことで、筋肉への負荷が抜けないよう工夫されていた。

合トレの様子

続く三頭筋トレーニングでも、井上選手のこだわりは一貫していた。プレスダウンでは、手首や肘の位置、腕の回旋動作まで細かくチェック。あらかじめ腕のポジションを整えてからバーを握ることで、筋肉の走行に沿った自然な力の流れを生み出すことができるという。

合トレの様子

オーバーヘッドエクステンションでは、一般的にはロープの端を小指で補助する方法がよく見られるが、井上選手は「手の力だけで持つ」と語り、アームレスリング仕込みの強靭な握力を披露。参加者たちはその姿に思わず「真似はしたいけど、これはすごい……」と驚きの声を漏らしていた。

合トレの様子

最後はナロープッシュアップで追い込み。肩甲骨を広げて、上から身体を被せるようにして動作することで、三頭筋へのダイレクトな刺激が得られるという。限界まで回数を重ねたところで、この日のセッションは幕を閉じた。

トレーニング中、井上選手は「筋トレ最高!」と満面の笑みで声を上げる場面もあり、トップ選手でありながらその場を全力で楽しむ姿がとても印象的だった。真剣な眼差しと、フレンドリーな空気が共存するセミナーは、参加者にとって忘れられない経験となったはずだ。

今回が初の開催となった井上選手のセミナーだが、今後は大阪をはじめ、各地での開催も予定しているとのこと。腕を太くしたい人、重量を伸ばしたい人、そして正しい技術を学びたいすべての筋トレ好きにとって、次のチャンスは見逃せないだろう。

井上貴文選手

次ページ:現役ボディビルダーのポージング練習と白熱するトレーニング

取材・文・撮影:柳瀬康宏

執筆者:柳瀬康宏
『IRONMAN』『月刊ボディビルディング』『FITNESS LOVE』などを中心に取材・執筆。保有資格:NSCA-CPT,NSCA-CSCS,NASM-CES,BESJピラティスマット。メディカルフィットネスジムでトレーナーとして活動。2019年よりJBBFやマッスルゲートを中心に、毎年ボディコンテストに挑戦中。

-筋トレ, フィットネス
-,

次のページへ >

おすすめトピック



佐藤奈々子選手
佐藤奈々子選手