サマスタ選手 コンテスト

「無限キャベツ」も…減量乗り越えスレンダー肉体美でコンテスト3冠の24歳【筋トレ】

「私、食べるのが本当に大好きなんです(笑)。我慢するのが一番つらくて、なかなか減量食に切り替えられなくて……」

ボディコンテストではトレーニングだけではなく食事制限が重要で、自分を食欲をうまくコントロールできるかがダイエットの成功につながる。7月19日(土)、大阪・堺市産業振興センターで開催された『サマースタイルアワード(以下サマスタ) 大阪予選&ROOKIE CHALLENGE CUP 大阪予選』でドレス部門優勝、同部門ベストステージング賞、ビューティーフィットネスモデル部門トールクラス優勝と3冠を獲得し、プロカードも手にしたのが、フィットネスジム勤務の中野広夢(なかの・ひろむ/24)さんだ。ステージでは華やかにポージングをして会場を魅了していたが、その裏には苦悩と葛藤があった。

【写真】中野広夢さんのスレンダーな肉体美

直前に言われた「絞りが甘い」

「正直、前日まで今回は良い成績を残すのは難しいだろうなと思っていました。なので名前を呼ばれた瞬間はびっくりして、でもすごくうれしかったです!」

中野さんは4月にも『サマスタROOKIE CHALLENGE CUP SPRING予選』に出場し、同じビューティーフィットネスモデル部門で1位を獲得。続けて出場した『サマスタ 2025 SPRING CUP』でも2位に入賞していた。

だが今回の大阪予選では、過去の成功がむしろプレッシャーになったという。

「前回は場慣れを目的にしていたぶん、逆に気持ちに余裕がありました。でも今回は『次こそプロカードを狙いたい!』という気持ちが強くて、重く感じる部分がありました。しかも大会直前に参加したポージングセミナーで絞りが甘いと言われ、落ち込んでしまいました」

今回の減量期は、とにかく「しんどかった」と語る中野さん。特に悩まされたのは、食べることへの執着だった。

「私、食べるのが本当に大好きなんです(笑)。我慢するのが一番つらくて、なかなか減量食に切り替えられなくて……。プロテインバーやヘルシーなおやつならいいかなって、つい手が出てしまってました。『キャベツだから大丈夫』って思って、無限キャベツも本当に無限かと思うほどに食べちゃったんです。いま思うと、そういった食事が絞りに影響してたかもしれません」

メンタルも不安定になり、「今回はもう出なくていいかな」とまで思っていたのだが、出場の結果プロカードを獲得した。

「正直びっくりしました。それと同時に『ギリギリまで諦めずに頑張って良かった。甘ったれたことを言ってたらダメだな』と思いました。今は11月の決勝大会に向けて、出場の気持ちに切り替えています」

筋トレ開始のきっかけは「痩せたほうがいい」の一言

中野さんがトレーニングを始めたのは、4年前。当時付き合っていた彼氏から「痩せたほうがいい」と言われ、その直後に振られたことが原動力だった。

「体型がすべての原因ではないと思いますが、絶対に見返してやろうと思ったんです」

実はそれまで、メンタルが不安定で体調を崩すことも多かったという中野さん。トレーニングは自分に自信を持つ手段でもあった。

「実は筋トレは苦手でずっと避けて通ってたぐらいでした(笑)。でも、続けるコツって無理しないことだと思うんです。最初からギアを上げすぎたり、理想を固めすぎると失敗しやすい」

理想は持ちつつも完璧主義にならないことが継続の秘訣かもしれない。筋トレでは、お尻と肩の強化を重視。特にお尻は丸みを出すために横側を鍛える種目を多く入れた。

「アブダクション1つでも、角度や姿勢を工夫するだけで全然違う刺激が入ります。肩も左右差が激しかったので、右側だけ回数を増やすなどして調整しました」

今回の中野さんの体験から伝わるのは、「健康に良さそう」と「体脂肪を減らすための食事」はイコールではないという視点。

プロテインバーや無限キャベツも、一見ヘルシーだが今の自分に必要かどうか、必要な量を見極めなければ、かえって絞りの妨げになる可能性がある。心が折れそうになった日も、キャベツをかき込んだ夜も、すべてを乗り越えた中野さん。

4月の優勝、そして今回の3冠とプロカード獲得は、単なる成績ではなく、「自分に負けない強さ」の証だ。

中野広夢さん

【SSAアンチドーピング活動】SUMMER STYLE AWARD(サマー・スタイル・アワード)はJBBF(公益社団法人日本ボディビル・フィットネス連盟)とアンチドーピング活動について連携を図って協力団体となり、独自にドーピング検査を実施している日本のボディコンテスト団体である。全ての選手登録者はアンチドーピング講習の受講を必須としており、SSAから指名された場合はドーピング検査を受けなければならない。

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取材・文:柳瀬康宏 写真撮影:岡 暁

執筆者:柳瀬康宏
『IRONMAN』『月刊ボディビルディング』『FITNESS LOVE』などを中心に取材・執筆。保有資格:NSCA-CPT,NSCA-CSCS,NASM-CES,BESJピラティスマット。メディカルフィットネスジムでトレーナーとして活動。2019年よりJBBFやマッスルゲートを中心に、毎年ボディコンテストに挑戦中。

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