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コンプレックスだった下半身がボディコンテストで最大の武器に 「骨盤が歩いてるみたい」が 今は最高の誉め言葉です!【筋トレが私を変えた!】

「骨盤が歩いてるみたい」が今は最高の誉め言葉です!

2024年オールジャパンウェルネスチャンピオンシップス163㎝超級3位 撮影_中島康介

JBBF(日本ボディビル・フィットネス連盟)の新カテゴリー「ウェルネス」で、2024年オールジャパン銅メダルを獲得した片岡彩香さん。2025年8月1日に開催された『SPORTEC CUP』ウェルネスではハイレベルな中3位の成績を収めた。

かつてコンプレックスだった下半身を最大の武器へと変え、輝かしいステージを歩む。その「劇的ビフォーアフター」の軌跡とは――。

[初出:Woman'sSHAPE vol.30]

【写真】片岡彩香さんの細いウエストと太い脚のメリハリ

ほぼ脂身の賄いカルビ丼で人生マックスの84㎏に

━━ボディコンテスト競技で活躍する片岡さんですが、これまでのビキニフィットネスから、より下半身の発達が評価されるウェルネスへとカテゴリーを変えましたね。

片岡 2021年、22年とビキニフィットネスに挑戦してきましたが、実はもう大会に出るのをやめようと思っていたんです。減量しても、他の選手との体重差が10㎏ほどもあったりして、「このカテゴリーに私がいるのは違うのかな」という迷いがずっとあって。

━━自分の体型とカテゴリーが合っていないと感じていたのですね。

片岡 海外ではすでにウェルネスのカテゴリーが定着していたので、JBBF(日本ボディビル・フィットネス連盟)で始まるのを待とうと。そうしたら、まず『マッスルゲート』で新カテゴリーが始まると報じられ、その数カ月後にJBBFでもやることになり「来た!出よう!」と。それが2024年でした。

━━カテゴリー変更も、片岡さんにとっては「ビフォーアフター」ですね。それは後ほどお聞きするとして、まずはトレーニングを始める前の「ビフォー」から教えて下さい。

片岡 子どものときから出されたものを全部「美味しい!」って食べちゃう子でした(笑)。母親は嬉しくてどんどん出してくれる。だからどんどん太っていくけど、それでも食べていましたね。でも、大人になって、それを心のどこかで責めている自分がいて。「あんなに食べさせたから、私こうなっちゃったやん」と。

━━ずっと体格がよかった?

片岡 小中高、専門学校とも、いつもクラスで1番大きくて太っている女の子でした。高校時代はバレーボール部で運動量が多かったので70㎏以上は増えなかったけど、1日8食は食べていましたね。

━━部活をやめたあとが怖い……。

片岡 まさにその通りで、部活を引退して運動しなくなったことに加えて、焼肉屋さんのバイトの賄いにハマってしまい、ほぼ脂身のお肉の切れ端を大盛りの白米に乗せたカルビ丼を毎日食べていたんです。一気に10㎏太って、成人式のときが84㎏と人生マックス。バイト以外でも炭水化物ばかり食べてずっとお腹いっぱいの状態でしたし、お菓子も大好き。お酒は飲むけど水は飲まない。そして、まったく運動しない。本当にひどい生活習慣でしたね。

大好きなスクワットができる!ウェルネスで見つけた居場所

━━では、トレーニングのスタートもダイエット目的で。

片岡 はい。当時はライザップのCMがいつも流れていて、「これしかない!」と駆け込んだのが26歳のとき。私はスクワットが大好きなんですが、人生初のスクワットがライザップでした(笑)。5カ月間、糖質制限と週2回のトレーニングで12㎏くらい痩せて卒業。卒業したらトレーニングをやめてしまう方も多いですが、私はすっかりトレーニングにハマっていました。

━━そこから大会出場へとつながっていくわけですね。

片岡 スポーツジムでバイトを始めたら、スタッフ全員がパワーリフティングやボディビル経験者で、「絶対に競技に向いているからやってみたら」と勧められて。そこからトレーニングの目的がダイエットからボディメイクに切り替わりました。

━━ビキニでステージに立つのは勇気が必要だったのでは?

片岡 それはもう、人生初のビキニがJBBFのステージだったので。ずっと体型がコンプレックスだったから、ビキニで海やプールに行く経験が全くないんですね。最後の水着は高校の体育の授業で着たスクール水着。昔から性格的に明るい感じなので、いじめられることはなかったけど、制服や体操服のサイズがみんなと違うのはやっぱり恥ずかしいし、すごくイヤでした。

━━競技では一転、その肉体を高く評価されることになります。

片岡 衝撃でした。脚も太くて、お尻も大きくて、骨格もしっかりしていて、こんなんダメやと思って生きてきたのが「めちゃくちゃいいよ!」と言われる世界があったのかって。それがウェルネスに転向したことで、より強くなった感じですよね。

━━最初に少し伺いましたが、ビキニ時代はカテゴリーが合わずに悩んだ時期があったんですよね。

片岡 デビューから優勝を重ねていたころはよかったのですが、初挑戦のオールジャパンで5位になったあたりから、「優勝しなければ。もっと細く、もっと絞らなければ」と自分を追い込んでしまって。また、脚が太くなりすぎるからビキニ選手はスクワットをしないほうがいいという説が広まった時期もあって、「大好きなスクワットができないのか……」と。トレーニングが楽しくなくなって、そのまま2023年をお休みしてしまいました。それが、ウェルネスに転向したことでスクワットもこれまで以上にできるようになり(笑)、またトレーニングが楽しいと思えるようになりましたね。

最優先はできそうかどうかより「私はどうしたいの?」

━━ウェルネスで「優勝しなければ」と自分を追い込むことは?

片岡 なくなりました。そもそも順位は私がコントロールできることではないんですよね。自分がなりたい身体を作って、それが評価されたらうれしいですし、評価されなかったとしても私はこの身体が好き。そういう気持ちに今はなれています。

━━なぜ、マインドが変わったのでしょうか。

片岡 やっぱり、順位へのこだわりより「楽しい!」が勝っているからだと思います。あとはウェルネスに「自由さ」を感じるんですよね。下半身の大きさという評価基準はありますが、選手それぞれに個性があってカッコいい。国内で始まったばかりのカテゴリーということもあって、選手みんなで作っているような楽しさを感じます。これからも全員が自分のカッコいいと思う身体を作り、それをぶつけ合うようなカテゴリーになったらいいなと思います。

━━ご自身のSNSで、かつて「骨盤が歩いているみたい」と言われたエピソードを紹介していましたね。片岡中学時代に道ですれ違ったおばあちゃんに「立派な骨盤してるね。骨盤が歩いてるみたいだね」って(苦笑)。高校時代は「2ℓのペットボトルみたいな脚やな」とも。笑って受け流したけど、言われるたびにめっちゃ傷ついていたんですよ。でも、ウェルネスに取り組んでいる今は誉め言葉にしか聞こえない。今言われたら大喜びですね。

━━完全に受け取り方が変わったんですね。

片岡 自分の持っているものを、いいと思えるようになったんです。やっと〝自分になれた〞というのかな。今なら何を言われても「そう、これが私。いいやろ?」って返せる。どんなこともプラスに受け取れるマインドになりました。今は大きく育ててくれた母親にも心から感謝ですね。

━━最後に、もし自分を変えたいけれど「ビフォー」で足踏みをしている方がいたとしたら、どのような言葉をかけますか。

片岡 変わる自信がないという人がいたら「絶対できるよ」って言います。私自身もそうでしたが、なかなか一歩踏み出せない人は、心のどこかで「とてもできそうにない。私なんかムリ」と思っている。でも、できそうか、できなさそうかじゃなくて、「私はどうしたいの?」って自分に聞いてみてほしいなって。主語はあくまで自分。自分に問いかける習慣がついたら、やりたいことが分かってきて、自然と一歩前に出る。毎日脂身のカルビ丼を食べて、運動習慣ゼロだった私が、今はフィットネストレーナーなんですから。迷っている人には「私みたいなのもいるんだから、絶対大丈夫だよ」って本当に言いたいです。

片岡彩香さんの筋トレ開始前~大会初挑戦までの歴史

人生MAX84kg
2011年成人式。焼肉屋のまかないが主食だったとき

65-66kg
2013年乗務員時代。「休憩はマクドナルドへ行き、仕事明けでしょっちゅう飲みにいっていました」(写真にブレあり)

体重80㎏、体脂肪率40%
2017年1月ライザップ入会時。「初めてバーベルを担いでスクワットをしました」

67-68㎏
2017年7月、ライザップを卒業して一人でトレーニングをし始めたころ

75㎏
2020年7月、コロナ禍で体重75㎏まで増加。トレーニングを1から学び直したいと思い、緊急事態宣言自粛明けにゴールドジムに入会。

60㎏
片岡さんがボディコンテストに初挑戦した、2021年マッスルゲート東京大会。ビキニ35歳未満163㎝超で優勝(撮影:中島康介)

かたおか・あやか
1990年12月21日生まれ。大阪府出身。身長168.5㎝。パーソナルトレーナーとして活動中。2021年マッスルゲート東京ビキニ35歳未満163㎝超級で優勝し、続く兵庫オープンビキニフィットネス35歳未満163cm超級&オーバーオール優勝、2021年オールジャパン選手権ビキニフィットネス35歳未満163㎝超級5位、2024年オールジャパンウェルネスチャンピオンシップス163㎝超級3位。

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取材・文:藤村幸代 撮影:中原義史 写真提供:片岡彩香
Web構成:中村聡美

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