「美は一日にして成らず」。肉体は持ち主の生活を雄弁に語る。8月11日(月・祝)に開催されたベストボディ・ジャパン主催の『モデルジャパン2025愛知・名古屋大会』で、杉浦麻紀子(すぎうら・まきこ/48)さんがウーマンズクラス(40歳〜49歳)でグランプリを獲得した。
40代後半という年齢を逆行するように進化する、スリムなボディラインはどのように作られているのか。40代からボディメイクをはじめ、今やグランプリ常連である杉浦さんにトレーニング法や美へのこだわり、そして忙しい日々のなかでの健康管理についてインタビューを行った。
全身をバランスよく鍛えるトレーニング
杉浦さんのトレーニングは、部位ごとではなく全身を1日で鍛える方法を採用している。
「モデルジャパン部門のウーマンズクラスでは、170cmを超える高身長の選手が増えています。私の身長は161.5cmで、40代日本人女性の平均身長(約158cm)よりは高いものの、舞台では小柄に見えてしまうことも。そのため、全体のバランスづくりがこれまで以上に重要なんです」
下半身だけを鍛えると脚に筋肉が集中しすぎるため、全身をまんべんなく鍛えることで筋肉の「配分」をコントロール。舞台で映えるシルエットを追求しているという。
「現在は高身長の選手にも負けないボディデザインを目指して、下半身のトレーニング量を抑えつつ、上半身の負荷を増やしています。モデル部門では『細身で全身バランスの取れた身体』が評価されるので、自分の理想のシルエットに近づけるためにこの方法で取り組んでいます」
コンプレックスを強みに変えたお尻のケア
かつてはお尻がコンプレックスだったという杉浦さんだが、今ではその美しさが舞台での魅力のひとつに。どのようにアプローチしているのか尋ねると、具体的なトレーニングとケア方法を教えてくれた。
「大殿筋から中・小殿筋までバランスよく刺激できるよう、トレーナーの助言を基にトレーニングしています。ブーティービルダーやデッドリフト、ワイドスクワットでヒップ全体の厚みを作り、アブダクターやモンスターウォークで外側の丸みを強化。さらに、ブルガリアンスクワットやケーブルキックバックで細かいラインを整えています」
デスクワークで長時間座る生活では、お尻に圧がかかり、肌の色素沈着が気になることも。
「こまめに立ち上がって身体を動かしたり、保湿を欠かさないようにしています。ゼリー状のクッションや厚手の座布団を使って、肌への負担を軽減することも舞台での見栄えに繋がっています」
トレーニングだけでなく、日常の細やかなケアも欠かさない。
忙しい日々でも健康的な食事を続ける工夫
多忙な仕事に従事しながらも、杉浦さんの食卓には毎日丁寧で健康的な食事がのぼる。その秘訣は効率的な準備にあるという。
「野菜の副菜を数種類作り置きしたり、下味をつけた肉を冷凍保存して、必要なときにすぐ調理できるようにしています。これでカロリー計算や調理時間を短縮しながら、栄養バランスを保っています」
減量期の間食にもこだわりがある。
「自然に近い食材を選ぶと、身体が絞りやすいと感じます。ふかしたサツマイモを冷凍してスイートポテト風にしたり、ゆでたトウモロコシやスイカなどの季節の果物を取り入れています。ドレッシングも手作りして塩分を調整し、日々の積み重ねで健康管理を意識しています」
トレーニング、ケア、食事の全てにおいて「やるべきことをやる」静かな熱意がうかがえた。努力において最も難しいのは継続だ。スポットライトの当たらない毎日の地道な努力が、ステージで輝く笑顔と肉体をつくっている。
取材:にしかわ花 撮影:上村倫代
『IRONMAN』『FITNESS LOVE』『月刊ボディビルディング』『Womans'SHAPE』寄稿。広告・コピーライティング・SNS運用。ジュラシックアカデミーとエクサイズでボディメイクに奮闘している。
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