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「伝説の男」須江正尋が日本マスターズ総合優勝達成 語った初出場の経緯と展望 狙うは「世界マスターズの頂点」【筋トレ】

40歳以上の年齢別ボディビル日本一を決める『JBBF日本マスターズ選手権大会』が、8月31日(日)に新潟市新潟テルサにて開催。本大会初出場で『伝説の男』の異名をもつ須江正尋(すえ・まさひろ/58)選手が、男子ボディビルで全年齢総合優勝(男子マスターズオーバーオール)を勝ち獲った。

【写真】須江正尋選手のワイド感あふれる筋肉

須江正尋選手

須江選手が主戦場とするのは、体重別で日本一を競う『日本クラス別選手権大会』(クラス別)と、無差別級で日本一を競う頂上戦『日本男子ボディビル選手権大会』(日本選手権)。新たに日本マスターズに出場した経緯について、「世界選手権のリベンジにむけて、出場権を獲得するため」と語った。

本大会では、各階級の優勝者(※)が『IFBB世界マスターズボディビル選手権』(世界選手権)派遣選手の選考対象となる。須江選手は2023年の55–59歳・75kg以下級で銀メダル。今年、金を狙うべく出場を決意したという。

須江選手は日本選手権において、最高位2位(2008年、2009年)まで登るも、2023年に9位、2024年にはファイナリストから退いている。また、2024年には優勝実績のある日本クラス別でも4位と、結果が出ていない。

「昨年のクラス別では、体重自体は今までで最も軽いのに絞れず、質感が伴わなかった。原因としては近年、腎臓と胃腸の調子が悪く、栄養が吸収できていない感じが続いていた。最近、やっと少し上向いてきたため、世界に挑戦するなら今年だと思いました」

また、「同世代のボディビルダーが少なくなってきているため、肩を並べられる機会はあと何回あるだろうと思った」ことも出場理由として挙げた。近年、ボディビル界には20代・30代の台頭による世代交代の波が押し寄せている。2024年の日本選手権では、長らくベテラン選手が占めていたファイナリスト(上位12名)が大きく変動、12名中6名が20代であった。

年齢と体調。様々な思案の末、世界一への挑戦を賭けたのがマスターズだったのかもしれない。そんななか、本大会のフリーポーズに選んだ曲は2023年の『The Phoenix(不死鳥)』。選曲理由を「新しいのを練習する時間がなくて」と須江選手は笑った。しかし、大会中「やるべきことを積み重ねてきた成果を今日、そして世界選手権で見せたい」と言った眼差しは、競技人生の限り進歩を諦めない不断の意志を体現しているように思えた。

須江選手は、ボディビルファンにとって昔も現在も変わらず伝説のままである。「ステージ前はもう緊張しちゃって。何十年も経つのにいつまでも舞台慣れしなくて」と冗談めかすが、須江選手の芸術的なフリーポーズは誰もが知るところだ。

競技者にも古参からジュニア世代まで影響を与え続けており、かつて須江選手自身が「公言するのを憚った」と語るボディビルを今日の地位まで引き上げた選手の一人として、生き様が愛されている。2024年には、日本王者となった木澤大祐選手から『第2回ジュラシックカップ』での競技人生最後のゲストポーズに「フリーポーズといえば須江さん」と共演に招かれ、会場を熱狂させた。

「サウジアラビア(世界選手権の開催地)の料理は香辛料が強いから、食事がちょっと心配。でも、リベンジ頑張ります」

インタビューの最後まで茶目っけのある冗談を発しつつ、目標に向け明確な意気込みを見せた。今年、伝説の男が世界の舞台でさらに飛翔するのが待ち遠しい。

(※)世界マスターズ選手権大会へは 下記のクラスより候補者を選考
男子マスターズ 40 歳以上級、50 歳以上級(オーバーオール審査) 、60 歳以上級
※男子ボディビル 60~85 歳以上級はオーバーオール審査をおこない選考選手を決定
女子フィジーク 40 歳以上級、50 歳以上級、60 歳以上級

【JBBFアンチドーピング活動】JBBF(公益社団法人日本ボディビル・フィットネス連盟)はJADA(公益財団法人日本アンチ・ドーピング機構)と連携してドーピング検査を実施している日本のボディコンテスト団体で、JBBFに選手登録をする人はアンチドーピンク講習会を受講する義務があり、指名された場合にドーピング検査を受けなければならない。また、2023年からは、より多くの選手を検査するため連盟主導で簡易ドーピング検査を実施している。

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取材・文:にしかわ花 撮影:中原義史

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