筋トレ フィットネス

59歳・プロレスラーAKIRAが語る"挑戦する歓び"とHYROXの魔力【HYROX WARRIORS no.2】

世界的に話題のフィットネスレース「HYROX(※)」で活躍する選手に迫るコーナー。第2回は、プロレスラーのAKIRAこと野上彰(のがみ・あきら/59)さんを紹介する。

※「HYROX(ハイロックス)」とは、ランニングとフィットネス種目を組み合わせた新しいスタイルの競技。1kmのランニングと、8種目のファンクショナルトレーニング(機能的全身運動)を交互に繰り返すことで、筋力や持久力だけではなく、さまざまなフィットネスに関する能力が問われる。

【写真】歓喜のゴールまで走り抜けたプロレスラーのAKIRAさん
AKIRAさん

偶然の出会いが、新たな情熱を呼び覚ます

かつて一世を風靡した新日本プロレスのヒールユニット『TEAM 2000』の中心メンバーとしてリング上でその名を轟かせ、今もなお試合功者として各団体のリングに上がり続けるプロレスラーのAKIRAさん。

50代を迎えた今もなお、切れ味の鋭い動きと緻密な試合運びで観客を魅了し、ベテランならではの存在感を放っているAKIRAさんが、次なる挑戦の舞台として選んだのが、世界中で人気を集めつつあるフィットネスレース『HYROX』だった。

きっかけはInstagram。

「偶然目にした動画から『自分も挑んでみたい』という情熱が芽生えました。2020年からクロスフィットジムに通い、Open Games(クロスフィットの大会)にも参加してきたのですが、動きによっては思うようにパフォーマンスを発揮できないもどかしさも感じていました」

長年のプロレス生活で左肘の故障もあり、フロントスクワットの動作が大きな課題に。そんなAKIRAさんにとって、HYROXはその制約を感じず挑める舞台になるのではないかという期待があった。

不安を越えて、走り抜けた先の歓喜

エントリーしたのは大会の2カ月前。かつて『プロレス界No.1の俊足』と呼ばれたほど走りに自信があったAKIRAさんも、ブランクのある身体でどこまで走れるのか、大きな不安もあったという。

「不安はありましたが、やると決めたからには本気で挑みたいと思いました。ジムでのトレーニングに加えて、自宅前の駐車場や近隣のランニングコースでもトレーニングをやっていました。本番を想定して、1kmのランとファンクショナル系エクササイズを組み合わせた独自のサーキットトレーニングなど、限られた時間で最大限の準備を重ねました」

迎えた本番。強靭な肉体をもつプロレスラーでもハードだったと振り返るレースだが、肉体だけでなく、精神的にも自分を強くしてくれたと話す。

「最初の1kmのランを終えた後のスキーエルゴが大きな壁に見えました。開始早々、完走できるか不安になりましたが、5種目目のロウイングあたりから、漕ぐ一回一回、走る一歩一歩がゴールに近づく感覚が強くなり、高揚感でいっぱいでした」

HYROXは制限時間のないレース。自分の脚でフィニッシュするという目標だけが支えとなり、AKIRAさんはしっかりとフィニッシュゲートを駆け抜けた。

”異空間”がもたらす進化と気づき

「HYROXのトレーニングを通して、プロレスの試合においても、後半のスピード維持に余裕が生まれました。この年齢でもまだ進化できると実感しています」

若手レスラーにとっては壁であり、同時に背中で学べる師匠のような存在のAKIRAさん。だが、自身もまだ挑戦を続ける現役選手であることを証明し続けている。

「もっと走り込めば良かったという悔しさも残ったので、次のレースに向けて週3回はランニングを続けています。日常のコンディション維持から試合のパフォーマンスアップまで、まさにHYROXのおかげですね(笑)」

仲間たちと共に、苦しみと喜びを分かち合うHYROXは、まさに異空間。改めて自らの潜在能力と輝きに気づかせてくれる特別な舞台だった。

必ずしも限界に挑むのはアスリートだけではない。年齢やキャリアに関係なく、『まだできる』と思える瞬間が誰にでもきっと訪れる。

HYROXはそんな”挑戦する自分”を呼び覚まし、日常を飛び出して誰もが主役になれるステージなのだ。

次ページ: 歓喜のゴールまで走り抜けたプロレスラーのAKIRAさん

文:林健太 写真提供:AKIRA(野上彰)

執筆者:林健太
パーソナルトレーナー、専門学校講師、ライティングなど幅広く活動するマルチフィットネストレーナー。HYROX横浜はシングルPROで出場。

-筋トレ, フィットネス
-, , ,

次のページへ >





おすすめトピック



佐藤奈々子選手
佐藤奈々子選手