9/21(日)、兵庫県・神戸芸術劇場で開催された『日本クラシックフィジーク選手権大会』(以下、日本クラシック)。世界的評価も高く、パワフルかつ芸術的な筋肉美を持つ、川中健介(かわなか・けんすけ/24)選手が「クラシックフィジーク175cm以下級」で優勝を飾った。2023年度からこれで3連覇となる。
【写真】神が設計したかのような、川中健介選手の芸術的な肉体美
アジア選手権や国際大会なども積極的に出場している川中選手。主戦場であるクラシックフィジークでは、数々の金メダルを手にし勢いに乗る若きホープだ。
食事もトレーニングも「同じスタイル」を貫く
14歳からトレーニングを始めた川中選手。3年後に高校生ボディビルで日本一に輝き、大学時代にはジュニアの『オールジャパン』で、オーバーオール優勝も手にする。クラシックフィジークに転向したのは2023年からで、インプルーブし続けるその身体に毎年目が離せない。
初戦自体は、7月下旬に開催された『IFBB Mr.ユニバース台湾』(以下、ユニバース)だったが、川中選手のシーズンはゲストポーズから始まったようだ。
「ユニバースの前にゲストポーズが2回ほどありました。大会と同様、ゲストポーズはちゃんとした身体で出たいから」と、身体を仕上げていった背景がうかがえる。
「面白くないんですけど」と前置きをした上で、川中選手はこう話す。「食事もトレーニングの内容も本当に全部同じ。1年間通して、基本同じことの繰り返しなんです」
愚直に積み重ねたからこそ、川中選手は非の打ちどころが見つからない身体へと成長したのかもしれない。
コンパクトだが高密度なトレーニング
とはいえ、学生時代と社会人になってからの変化はあった。それはトレーニング時間だ。
「社会人になってからは少しトレーニング時間が短くなりました。今は1時間から、多いときで1時間半を週5回で行っています。四頭筋の日が1時間半で、それ以外は1時間ぐらいで終わりますね」
コンパクトになった分、1回の密度は濃い。インターバルは相当短いらしく、それによって高密度なトレーニングを実施し、身体を進化させている。
身体づくりにおいて必須の食事面について伺うと「一切食事を作らないんです」と川中選手。管理栄養士でもある彼女さんがバランスの良い食事を作ってくれるそうで、出されたものを食べているという。
以前、減量期には馬肉をよく食べていたそうだが、今年は魚や肉類などバラエティ豊かな食材で減量を進めてきた。完成度の高い仕上がりの裏には、支えてくれるパートナーの存在があるようだ。
国際大会の選考にもなっている本大会。「派遣決定となれば、世界選手権も挑戦したい」と川中選手は声に力を込める。2023年に世界選手権にチャレンジしたときは一般クラスで5位だった。
「次は表彰台、あわよくば優勝を目指して頑張りたい」と話す川中選手の気持ちは、次に向いているようだった。
【JBBFアンチドーピング活動】JBBF(公益社団法人日本ボディビル・フィットネス連盟)はJADA(公益財団法人日本アンチ・ドーピング機構)と連携してドーピング検査を実施している日本のボディコンテスト団体で、JBBFに選手登録をする人はアンチドーピンク講習会を受講する義務があり、指名された場合にドーピング検査を受けなければならない。また、2023年からは、より多くの選手を検査するため連盟主導で簡易ドーピング検査を実施している。
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取材・文:小笠拡子 撮影:中島康介
小笠拡子(おがさ・ひろこ)
ボディビルにハマり、毎年筋肉鑑賞への課金が止まらない地方在住のフリーランスライター。IRONMAN・月刊ボディビルディング・Woman’s SHAPEなどで執筆・編集活動を行う。筋肉は見る専門で、毎月コツコツ筋肉鑑賞貯金をしている。