9/21(日)、兵庫県・神戸芸術劇場で『日本クラシックフィジーク選手権大会』(以下、日本クラシック)が開催された。ボディビルとは違い、身長別でカテゴライズられるクラシックフィジーク。もっとも身長が高い「175cm超級」で優勝に輝いたのは、身長182cmの元モデル・直野賀優(なおの・よしまさ/34)選手だ。2023年までメンズフィジークを主軸にしていた直野選手だが、昨年からクラシックフィジークに挑戦。昨年の同大会での4位から一気に飛躍し、初優勝を飾った。
1年の身体作りで仕上がりは3kg増
昨年の初挑戦では、準備期間がわずか1カ月ほど。「2025年はクラシックフィジークを主戦場にしたいし、その延長線上にあるボディビルカテゴリーを目標に」と考え、1年間身体づくりに励んできた。
その結果、仕上がり体重は3kgほど増え、文字通り「一回りデカく成長」した。
「自分としては全部デカくなったような気がします。特筆していうならば、脚は見た目がすごく良くなったかな、と。また、ポージングは上手くなったと思いますね。前回が下手すぎたのですが(笑)、見栄えが変わりました」
若手選手の伸びも凄まじいが、直野選手も進化をし続ける一人。どのような取り組みをしたのだろうか。
1シーズンを通して、食事は米とプロテインだけ
「バズーカ岡田(本名・岡田隆)先生に怒られると思うんですが、1年を通して3食白米とプロテインだけで過ごしました」
食事管理アプリの画面と共に、衝撃的な食事内容を教えてくれた直野選手。スマートフォンの画面には本当に白米とプロテインがずらりと並んでいる。減量期に入ると白米の量が少なくなっていき、食物繊維としてキャベツの千切り、そしてMCTオイルが加わっていた(ビタミン類はリカバリー系のサプリメントを活用)。
昨今、さまざまな食材から栄養素を取るトレーニーも増えている中、直野選手の食事は非常に面白い内容だが、「僕としてはとても良かった」と振り返る。
「タンパク質はリアルフードから摂取するほうがいいという風潮に対して疑問がありました。なのでタンパク質を完全にプロテインから摂取してみたいと考えました。そのほうが消化吸収などの観点から調子がいいのはないか?という仮説があり、なんとなく正しかったように検証できたシーズンだと思っています。ただ、YouTubeのタイトルにも入れましたが、絶対に真似はしないでほしいです」
プロテインが良かったのか、プロテインじゃなくても大きな成果が得られるのか。次のシーズンは「プロテインなしのリアルフードを徹底して検証する」そうだ。
筑波大学出身の直野選手のこういった研究意欲は、成長し続ける理由の一つだろう。今年、34歳になる直野選手の進化は、まだ止まらないはずだ。
【JBBFアンチドーピング活動】JBBF(公益社団法人日本ボディビル・フィットネス連盟)はJADA(公益財団法人日本アンチ・ドーピング機構)と連携してドーピング検査を実施している日本のボディコンテスト団体で、JBBFに選手登録をする人はアンチドーピンク講習会を受講する義務があり、指名された場合にドーピング検査を受けなければならない。また、2023年からは、より多くの選手を検査するため連盟主導で簡易ドーピング検査を実施している。
取材・文:小笠拡子 撮影:中島康介
小笠拡子(おがさ・ひろこ)
ボディビルにハマり、毎年筋肉鑑賞への課金が止まらない地方在住のフリーランスライター。IRONMAN・月刊ボディビルディング・Woman’s SHAPEなどで執筆・編集活動を行う。筋肉は見る専門で、毎月コツコツ筋肉鑑賞貯金をしている。