今年、JBBF女子フィジーク日本最高峰の大会である『日本女子フィジーク選手権』でファイナリスト入りとなる11位、脊柱管狭窄症の手術を経て競技復帰した佐藤英己(さとう・えみ/56)選手。怪我以前も同大会で活躍しており、2021年には5位入賞も果たしている。そんな佐藤選手に、「満足にトレーニングできない状況」から再び身体を作り上げてきた経緯や方法を聞いた。

「正直、3年ぶりの大会出場とあってファイナリスト入りできるかは不安でした。でも久しぶりの舞台を心から楽しめて、予選を通過できたときはホッとしました」
2023年末の手術後、腰椎にボルトが入ったことでこれまでのように高重量でトレーニングができなかった佐藤選手。そこで今季は“痛みのない動きづくり”と“左右差の修正”を最優先に。トレーニング前には1時間近くかけて背骨や腸腰筋周りを中心に入念にほぐすコンディショニングにも注力してきた。
また佐藤選手は自身の強みを「肩」と話す。大会でも横に張り出した肩の筋肉が印象的だったが、思うようにトレーニングできない中、どのように作ってきたのか。
「ショルダープレスは週2回です。ダンベルは片手15kgで8~10レップ、計5セット。肩甲骨で重さを受ける意識を徹底しています」
「できる種目が限られるからこそ、その中で左右差を出さないことにこだわりました。股関節や足先の向きまで細かく揃え、負荷の偏りを避ける。そうしないと痛みが戻る不安があって」
結果、使用重量は怪我前より落としても、“狙って効かせる”フォームで張りやアウトラインを取り戻す手応えを得たという。
以降の課題として挙げるのは脚(とくに外側の張り出し)。
「高重量に頼れない分、低~中重量で効かせ切ることと、見せ方(ポージング)で外側の張り出しを強調できるようにします」
佐藤選手は「順位への執着はそこまでないんです。舞台で自分を表現できること自体が喜び」と語る。ただし目標がないわけではない。
「2021年は5位だったので、来年2026年はそこに戻れる仕上がりを作りたいです。女性らしさと筋肉美の両立を大事にしながら、取り組んでいきます」
【JBBFアンチドーピング活動】JBBF(公益社団法人日本ボディビル・フィットネス連盟)はJADA(公益財団法人日本アンチ・ドーピング機構)と連携してドーピング検査を実施している日本のボディコンテスト団体で、JBBFに選手登録をする人はアンチドーピンク講習会を受講する義務があり、指名された場合にドーピング検査を受けなければならない。また、2023年からは、より多くの選手を検査するため連盟主導で簡易ドーピング検査を実施している。
取材・文:FITNESS LOVE編集部 撮影:中原義史










