11月23日(日・祝)に開催されたベストボディ・ジャパンが主催する『モデルジャパン2025日本大会』。そのレディースクラスに出場し、クラスグランプリにとどまらず総合グランプリを獲得したのが名取杏奈(なとり・あんな/37)さんだ。今年は千葉大会、京都大会、東京大会、関東大会4連覇し、勢いそのままに日本大会へ挑んだ。そんな名取さんの原点は、意外にも“産後太り”。そしてスタートは、ジムではなく「家トレ週6」だった。

産後の自分の姿に衝撃。家トレ週6から始まった“本気のダイエット”
筋トレを始めたきっかけを尋ねると、名取さんは迷いなくこう答えた。
「コロナで産後からさらに太ってしまって。産後に普通に戻ったあと、5kg太って、身体の締まりが全くなくなっていたんです。後ろ姿を見たとき、全部が重力に負けていて衝撃でした」
名取さんは 正社員の研究職 として働き、食品・プロテインの基礎研究を行っている。さらに子どもは9歳と7歳の女の子。当時はまだ手がかかる時期で、ジムに行く余裕などなかったので、名取さんは、家でできるトレーニングに全力で取り組んだ。
「家でHIITを15分、10分でもいいから“毎日やる”と決めて。週6は絶対にやってました」
なぜそこまで続けられたのか。
「もう限界まで太ってしまって、本気で変わりたかったんです。まずは“産前の身体に戻りたい”という気持ちがモチベーションでした」
食事も整え、少しずつ身体は変化。その“戻した身体”から、さらに「もっと美しくなりたい」という気持ちが芽生えた。
子育て・家事・仕事・ボディメイク。全てを両立できたのは“自立した関係”のおかげ
名取さんだけではなく、子育て中の母親がボディメイクに挑戦するのは簡単ではない。だが名取さんは、家族との距離感を工夫することで時間を生み出した。
「子どもには“自立した子になってほしい”と思っていて、お互いに依存し合わない関係を大切にしてきました。下の子が2歳半の頃には寝かしつけをやめて、夜は子どもが『おやすみ』と言ったら自分の時間にしていました」
ジムに通えるようになってからは、夜には夫へ子どもを任せて筋トレへ。
「仕事も子育てもボディメイクも全部やると決めたら、本当に全部できるようになるんです。忙しいけど、全部きっちりやることが精神面の成長にもつながりました。私は時間がないからこそ、家族や周りの方々に支えられてきました。今年は日本一を目指していたため、去年まで以上に身体作りやレッスンに時間を割いてきました。私だけの力ではなく、本当に周囲のサポートがあっての今回の結果です。挑戦に熱中させてくださった協会や公認講師の皆様、その挑戦を支えてくれた家族をはじめ周囲の皆様に本当に感謝しています」
今年は食事管理も徹底し、“緩むことなく目標に向かい続けた自分”に大きな手応えを感じたという。
「精神的にもすごく強くなりました。自分で決めたことから逃げない強さが身につきました」
日本大会総合グランプリで見えた新しい景色

日本大会では、クラスグランプリを超えて総合グランプリに輝いた名取さん。その結果を受けて、今後の目標を尋ねるとこう語った。
「ベストボディ・ジャパンの“顔”になりたいです。また、初代プロとしてモデルジャパンらしい身体を目指してトレーナーと共により一層励みたいと思っています。そしてこの体型を崩すことなく、ずっと維持し続けられる女性でいたいです」
産後太りに悩んだ母が、家トレから始めて総合グランプリへ。名取さんの挑戦は、忙しい中でも“自分を整える時間”をつくり、努力を続ければ人生は変えられることを証明している。
取材・文:FITNESS LOVE編集部 撮影:高坂裕希










