ベストボディ選手 コンテスト

「積み上げ、削り、日本一を彫る」 薬剤師・塾経営者が語る、勉強とボディメイクに共通する成功原理とは

『ベストボディ・ジャパン日本大会2025』のミス・ベストボディ部門ガールズクラスでグランプリに輝いた山本咲希(やまもと・さき/29)さん。薬剤師として働きながら、個別指導予備校などの経営を行う山本さんがグランプリを獲得できた理由には、「足し算の努力」と「引き算の効率化」が重要だったからだという。

【写真】山本咲希さんの日本グランプリボディ

山本咲希さん

足し算は正しい姿勢で丁寧に

山本さんの本業の一つは、個別指導予備校の経営である。生徒たちの努力を確実に開花させるための方法論が、ボディメイクにも生きた。

「勉強も身体づくりも本質は同じです。最初から効率の良い勉強なんてできません。まずは量をこなす足し算、その後効率化のための引き算をします。暗記や理解、基礎練習の段階から、徹底的に正しい学習姿勢で丁寧に積み上げていきます」

トレーニングを始めた当初、ひどい猫背とO脚、とにかく姿勢が悪かったとのこと。そこでトレーニングの量を増やすだけではなく、日常の立ち方や座り方の悪い癖を見直すことにも徹した。無意識な自分の身体の癖を自覚し、一から作り変える。トレーニングは徹底的にフォームを重視、地道な努力が、ステージ上での美しい立ち姿につながった。

学んだ量があるから、削る場所が見える

学びと鍛錬を積み重ねていくと、自分にとってやるべきことがより明確に見えてくる。

「夏目漱石の『夢十夜』という小説に、『運慶は木の中に仁王像が埋まっているから早く彫れる』、という一節があり、丁寧な積み重ねの先には、自分だけに見える『あるべき姿』が見えるようになる。大会前の時期は、あとはただ削るだけだ、と思えるに至りました」

普段は2リットルほど飲む水も、大会当日は水分摂取量を75mlに制限した。大会のたびに何度も自分の身体で試した結果の、ベストコンディションを保つための水分量だ。

「去年までは辛かった減量も、今年はただ一滴の水に感謝の気持ちで穏やかに臨むことができました」

隙間時間に目を向けるトレーニング

山本さんは、トレーニング時間の確保にも工夫を凝らしている。

「机に向かっていなくてもできる勉強はたくさんあります。部活が忙しくて勉強の時間が取れない生徒には『お風呂や髪を乾かす時間も、各科目の思い出し学習ができる』と伝えています。私も生徒たちと同じように隙間時間を活用し、会議の合間にジムへ行ったり、入浴中に呼吸の練習をしたり、寝る前に歯磨きをしながら表情筋のコントロール練習をしたりもしました」

道具がなくても、ヒールを履いていなくても、場所を選ばずできることはある。時間や場所がないことを言い訳にせず、できる方法を見つけ出す姿勢が、日本一の結果につながった。

今年からベストボディ・ジャパンが新設する、プロ部門の資格を獲得した山本さん。今後はプロのステージでの活躍を目指しながら、女性経営者の育成や健康指導を通じて、社会で活躍する女性を増やしたいと語る。

積み上げ、削り、彫り上げる。山本さんの日本一は、偶然ではなく、設計された必然だった。

執筆者:高木みなこ
フリーランスライター。管理栄養士の経験を活かし、医療・美容・ヘルスケア分野を中心に、インタビュー記事・セールスライティングを執筆している。滋賀県出身、東京都在住。

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取材・文:高木みなこ 撮影:高坂裕希

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