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常識を覆す!直野賀優「究極の固定食」で挑んだボディビル頂上戦の真意

2025年、ボディビル界に衝撃が走った。フィジークカテゴリーで活躍を重ねてきた直野賀優が、初挑戦の『日本男子ボディビル選手権大会』でファイナリストに肉薄。筋肥大の限界を突破するために選択したのは、「プロテインと白米のみ」という固定食だった。これまでのボディメイクの常識を根底から覆す食事戦略に迫る。

取材・文:にしかわ花 大会写真:中原義史 写真提供:直野賀優 Web構成:中村聡美

直野賀優
2025年日本男子ボディビル選手権ファイナリストまであと一歩

━━昨シーズンでは、白米とプロテインを主軸にした、非常に大胆な食事管理に取り組まれました。その背景を教えてください。

直野 2024年オールジャパン直後には方針を固めていました。理由は大きく分けて、3つあります。
1つ目は「リアルフードこそがボディメイクにおいて至高」という定説への疑念です。特に疑問だったのは、タンパク質含有量について。リアルフードの個体差は、プロテインのロット差よりもはるかに大きく、消化吸収も安定しにくいと感じていました。怒られるかもしれないですが、僕は既製品の成分表示やタンパク質の種類を考慮したアミノ酸スコアをあまり信用しておらず、ロットによってバラついているのではと思っています。その中で、スポンサーであるザバス(株式会社明治のプロテイン)が「インフォームドプロテイン(※1)」を取得したことを知り、信頼できるタンパク質の摂取が可能な製品として選ばせていただきました。
2つ目は、「キッチンに立つのが嫌になった」ことです。調理に割く時間と労力が大きな負担になっていました。
3つ目は、カテゴリー転向を見据えてさらに筋肥大が必要でしたが、これ以上の食事増は難しいと感じていたことです。特に、大量の肉を食べることで腸内環境が悪化し、PDCAAS(※2)が落ちていると感じていました。それなら、より吸収効率が高く、徹底的に管理しやすい形に振り切ろうと考えました。

※1 ラベルに記載される「タンパク質の量」と実際に含まれている「タンパク質の量」を検証する国際的認証プログラム
※2 タンパク質消化吸収率補正アミノ酸スコア。食品中のタンパク質の「量」と「必須アミノ酸の組成」に「消化吸収率」を加味して、体内で効率的に利用されるかを評価する指標

「キッチンに立つのを止めた」合理性の極致としての食事管理

━━具体的な食事メニューの詳細を教えてください。

直野 増量期・減量期問わず、食材は「白米、プロテイン、MCTオイル、千切りキャベツ」に固定しました(次ページの上部の表を参照)。

━━サプリメントは何を取られていましたか?

直野 クレアチンをトレーニング前後で計30〜40g、グルタミンをトレーニング後に20g、リカバリーサプリメントをトレーニング後に100g、BCAAを8gずつトレーニング開始前から種目変更ごとに(計40g)、マルチビタミン&ミネラル、カルシウム、CLA(共役リノール酸)です。身体を変えるために、必要量より少し多めに摂取しています。(キャベツだけは食物繊維サプリメントに代替しなかったことについて)焼肉のタレをかけて食べるのがとても美味しく、唯一の食事らしい食事だったからです。

━━精密な食事管理について、ストレスやデメリットを感じたことはなかったのでしょうか?

直野 特にありませんでした。むしろ、旺盛すぎる食欲が自然に減退したことにより、減量が今までになく進捗が良く、8月にはほとんど完全に仕上がっている状態でした。リアルフード時代は、減量期における野菜類やカロリーの低い加工食品などの「ちょい食べ」が発生していたのですが、それがなくなったことも大きいと思います。
ただ、減量期もこの食事を続けていいのかは、実は不安でした。俗説として、「プロテインは太りやすい」と言われていたからです。しかし、僕に関しては競技人生で一番絞れました。検証数が一個体というデータとしては心許ない体験談にすぎず、推奨も決してしませんが、リアルフードの大量摂取が苦痛になっている、または、リアルフード至上主義に疑問のある人には試す価値のある食事戦略ではと思います。

2025年 直野選手による究極の食事管理とサプリメンテーション

【摂取サプリメント】
●クレアチン:トレーニング前後で計30~40g
●グルタミン:トレーニング後に20g
●リカバリーサプリメント:トレーニング後に100g
●BCAA:8gずつトレーニング開始前から種目変更ごとに(計40g)
●マルチビタミン&ミネラル
●カルシウム
●CLA(共役リノール酸)

「筋肉はトレーニングでつくる」信念が生む「食事の遊び」

━━今回の挑戦の他に、過去に食事管理でチャレンジした経験はありますか?

直野 全卵を1日20個取る、鶏胸肉だけにする、ささみだけにするなど、マイナーチェンジは今までも行っていました。全体として「包丁とまな板がいらない調理の簡易さ」を突き詰めてきた結果、今回に至っています。

━━大胆な食事戦略の決断をできたことについて。成績の下降や、肉体の下方変化を恐れる気持ちはありませんでしたか?

直野 フィジークにおいては、成績が下げ止まりだったため、カテゴリー変更は必至の状態でした。そのため、成績の下落を恐れる必要はなく挑戦できました。第二に、「身体はトレーニングで作るものである」という認識があるため、食事では少し「遊び」をしても良いと考えているからです。

━━トレーニングの考え方を教えてください。

直野 どのような食事管理をするにしても、徹底してトレーニング強度を落とさないことを自分に課しています。体重や体脂肪率などの数字を当てにせず、トレーニングの強度で筋肉の成長を見ています。特に、増量期に重量やボリュームの停滞があるのなら、成長していないと見ています。

━━強度を保つトレーニングをされる中で、さらに筋肥大のために改善してきた点はありますか?

直野 2023年から「ボリュームを散らす」戦略を取っています。種目を減らして高強度を維持し続けられる集中力を保つためです。例えば、以前は胸を4種目、背中4種目、肩5種目としていたところを、胸・肩・背中の各部位から2種目をピックし計6種目、これを3日分用意する分け方にしました。コンディショニングについては、特にする必要を現在は感じていないため取り入れていません。

昨年は出場カテゴリーの幅を広げ、ボディビルにも挑んだ。日本最高峰の『日本男子ボディビル選手権大会』で2次ピックアップ同点審査にまで食い込む破竹の勢いを見せた

━━なぜここまで考え抜いた、そして、ある意味で「人間味のない」ボディメイク法を実践し続けられるのでしょうか?

直野 僕にとってボディメイク競技は、人生で唯一、全力投球していることだからだと思います。熱中しているから、自然と学びを深めたくなる。そして、成長できる可能性を限りなく高めるために、良くも悪くも生活の全てを合理的に考えるようになりました。精密な計量についても、例えば1食を適当にすることで、今日取り組んだことが無駄になると考えると、その方が断然嫌です。なので、むしろ今のスタイルが自分にとってはとても楽だと感じています。

━━今シーズンも、昨シーズンと同じ食事を続けられていらっしゃるのでしょうか。

直野 はい。同じです。増量期に入って2カ月(取材当時)でトレーニング強度が上がっていることから手応えを感じており、特に変更や代替の必要は考えていません。特に腕と脚と殿筋群がデカくなっている実感があります。

今年の目標「日本選手権上位入賞」に向けての取り組み

━━今年の目標として、YouTubeでは「クラシックフィジークの完成度を高めたい」と宣言されていました。カテゴリーは、クラシックフィジークを続けられるということでしょうか?

直野 いえ、ちょくちょく目標が変わって申し訳ないのですが、今年はボディビルで勝ちにいくことに決めました。現在は、ボディビルで評価を得るための身体づくりに100%を振っています。メンズフィジーク時代から、「デカくなりたい」というトレーニングを続けてきたので、自分にはボディビルに精神的な適性があるとは薄々思っていました。成績の成長曲線を考えてもボディビルに挑戦する意義があると思いました。

━━昨シーズンの振り返りと、今シーズンの目標を教えてください。

直野 昨シーズンの日本選手権初挑戦で、あと一歩でファイナリスト(2次ピックアップ同点審査)という結果はもちろんうれしかった反面、悔いが残る結果として今は捉えています。トレーニングや食事管理はもちろんのこと、さらにボディビルで勝つための分析と努力をし続けています。入浴前に毎日ポージングを練習するなど、表現力を高めることにも力を入れています。今年の目標は、日本選手権で6位以内の上位入賞を狙うことです。

なおの・よしまさ
1991年11月25日生まれ、身長/182cm、体重/(オン)88kg・(オフ)111kg。主な戦績: 2019年、2021年『オールジャパン・メンズフィジーク選手権大会』176cm超級優勝、2022年同大会180cm超級優勝、2024年『オールジャパン・マスキュラーフィジーク選手権大会』優勝、2025年『日本クラシックフィジーク選手権大会』175cm超級優勝、『日本男子ボディビル選手権大会』出場、『オールジャパン・メンズフィジーク選手権大会』(180cm超級)4位

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