世界的に話題のフィットネスレース「HYROX(※)」で活躍する選手に迫るコーナー。第22回は、インストラクターやスポーツ専門学校の講師としても活躍する徳安桃乃(とくやす・ももの/28)さんを紹介する。
※「HYROX(ハイロックス)」とは、ランニングとフィットネス種目を組み合わせた新しいスタイルの競技。1kmのランニングと8種目のファンクショナルトレーニング(機能的全身運動)を交互に繰り返し、筋力や持久力だけでなく、総合的なフィットネス能力が問われる。
「日本初開催」と聞いて即決!ワクワクが勝った挑戦
徳安さんが初めてHYROXに出場したのは横浜大会。
「日本初開催と聞いた瞬間、“これは出るしかない!”と思いました。もちろん不安がなかったわけではありませんが、それ以上に新しいフィットネスとの出会いへのワクワク感が、とんでもなく大きかったです」
フィットネスインストラクターとして、日頃から多くの人に運動の楽しさを伝えている立場だからこそ、自らも新しいことに挑戦し続けたい。その姿勢こそが、徳安さんの明るさと人気の理由だ。
キツい!でも、それが楽しい!
「普段からレッスンをしているので、体力には自信がありましたし、ある程度動ければ大丈夫だろうと思っていま。でも…完全に準備不足でしたね(笑)」
同業者である夫に誘われ、実際の種目・回数・距離に近いHYROXメニューを練習。ランニングも本番を想定して一緒に走った。バーピーブロードジャンプ、サンドバッグランジ、ランニングなど、距離を重ねる種目には自信があったという。
しかし、想像以上に苦しめられたのがスレッド種目だった。
「距離は短いのに、本当にキツかったです。あんなに重いものを普段は扱うことがないので、一気に体力を奪われました」
周囲に置いていかれそうになる焦りも感じながら、最後のウォールボール100回をやり切り、無事ゴール。練習でも最も苦戦していた種目だけに、や達成感はひとおしだった。
「キツいけど、その先に必ずゴールがある。だからこそ、どの瞬間も全てが楽しかったです。ゴールした時の達成感が、自分を少し強くしてくれた気がします」
「頑張れ」の力と、広がるコミュニティ
「一緒に走った夫はもちろん、スポンサーの皆さまや、アンバサダーを務める企業のスタッフさん、そしてお客様まで、多くの人が応援してくださいました。その声が力になりましたし、誰かからの『頑張れ』があんなに力になるとは思っていませんでした」
さらに、ローイング中には隣の海外選手が日本語で「頑張れ!」と声をかけてくれたという。国境や立場をも越えて交わされるエール。言葉はシンプルでも、その一言が心に深く響いた。
ダブルスで出場した際には、“自分が足を引っ張ってしまうのでは”という不安もあった。それでも、その気持ちと向き合いながら全力で挑んだ経験は、大きな成長につながったと振り返る。
「新しいことにチャレンジするのは簡単なことではないと思います。もしかすると、エントリーさえすればスタートラインには立てるかもしれませんが、そこから先は自分との戦いです。だからこそ、ゴールにたどり着いたときの達成感は、何にも代えがたいものになると思います」
HYROXは絶対に誰でもできる!
レース後、お客様や同業のインストラクターから「やってみたい!」という声を多くもらった。一方で、「あんなにキツいのは無理」という反応もある。
そんな時、徳安さんは笑顔でこう答える。
「マジで誰でもできます!誰でも挑戦できます!時間制限はあるけど、焦る必要はないんです。ひとつひとつクリアしていくだけ。不安ならリレーやダブルスもあるので、迷ったら挑戦してみてください」
HYROXは、努力した分だけ成果に表れるレース。だからこそ、今回の自分を「ちょっとおサボりさんでした」と振り返りつつ、次への意欲をのぞかせる。
「目標はシンプルに、毎日コツコツ、トレーニングを続けることです」
「レースだけど、フィットネス。楽しみましょう!」
その言葉どおり、HYROXは特別なアスリートだけのものではない。新しいことに挑戦してみたい人、日常にちょっとした刺激がほしい人、そして何よりフィットネスを楽しみたい人へ。
HYROXはフィットネスレースではあるけれど、あくまでフィットネス。勝ち負け以上に、自分の成長や楽しさを感じられる場でなければならない。
まずは一歩、踏み出してみる。その先には、きっと今より少し強くて、もっと笑っている自分がきっと待っている。
文:林健太 写真提供:徳安桃乃
パーソナルトレーナー、専門学校講師、ライティングなど幅広く活動するマルチフィットネストレーナー。HYROX横浜はシングルプロ、大阪はミックスダブルスで出場。
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