2025年の日本選手権でファイナリスト目前に。今や誰しもが認める実力者となった芳賀涼平選手のストロングポイントの1つとして挙げられるのが、圧倒的なサイズと厚みのある腹筋だ。
そこで今回は、トップビルダーとして名を馳せる芳賀選手が実践する腹筋トレーニングを大公開。「ほぼアブローラーのみで鍛えてきた」ということで、このやり方を実践したら自宅トレだけでシックスパックが手に入るかも⁉
取材・文:池田光咲 大会写真:中原義史 トレーニング写真:北岡一浩 Web構成:中村聡美

━━芳賀選手の腹筋は身体を一目見た瞬間、真っ先に目に入るほどボリュームがありますね。やはりご自身でもかなり自信のある部位の一つなのでしょうか?
芳賀 確かに強みの一つではありますが、そう感じられるようになったのは比較的最近のことです。2023年、全国規模の大会に出場し始めたあたりから、強い選手と並んでも「腹筋は負けていないぞ」と。たとえ自分より皮膚感が良く、絞れている選手がいたとしても、腹筋が分厚いとアブドミナル&サイのポーズをとった途端になんだか自分の方が絞れているように(僕は)見えているんですよね。そんなことはないはずなのに。
━━他の選手とご自身の腹筋を比べてみて、違いを感じる部分はありますか?
芳賀 ブロックの大きさや並びの美しさ、さらには溝の深さは持ち味です。ブロックの形に関しては生まれつき恵まれている部分ですが、溝の深さに関しては間違いなくトレーニングで勝ち取った、努力の成果だと自負しています。
━━多くのボディビル選手は、腹筋を+αのメニューとして取り組んでいるイメージが強いです。芳賀選手は腹筋を鍛えることに対してどのように考えているのでしょうか。
芳賀 僕は『デッドリフトと腹筋の日』という形で、しっかり腹筋と向き合う機会をつくっています。正直腹筋って、面倒くさいんですよ。気合い入らないし、後手に回しがちなんですよ。でもやらないといけないし、みんな「とりあえずやるか〜」みたいな感じで適当にマシンで高回数やって帰るんですよ。僕は、腹筋って後回しにされがちな部位だってことを知ってるんです。多くの選手は腹筋にフォーカスをしていない。手を抜く。だからこそ、腹筋で差がつくと思っていますし、絶対に疎かにしたくないんです。むしろ喜んでやろうと考えています。差が広がると思うと、追い込んでいてめちゃくちゃ気持ちいいですよ。
厚みのある腹筋はアブローラーで作り上げた賜物
━━そんな芳賀選手が日頃実践する、腹筋トレーニング種目を教えてください。
芳賀 腹筋トレーニングはアブローラー一択です!
━━アブローラー以外の種目は一切行わずして、現在の腹筋を手に入れたということでしょうか?
芳賀 過去を振り返ると様々な種目を取り入れていた時期もありましたが、今は基本的にアブローラーしか行っていません。腹筋を鍛えるとなると多くの方はマシンで高回数をやりますよね。しかも最後の余力を絞り切るような壮絶なセットってやってない。多分それって1回あたりの負荷が弱いから、歩いてるのと同じなんです。そこに僕は疑問を感じていて。腹筋も他の部位同様、高負荷で追い込むべきだと思うんです。
- フロントリラックス、サイドポーズ、どの角度からも厚く、バキバキに割れている。腹斜筋の種目も特に行っておらず、アブローラー1本で作り上げていると言う
━━芳賀選手はどのようなトレーニングメニューをこなしているのですか?
芳賀 僕の場合は3つのバリエーションを持たせたアブローラートレーニングを1セット20回。合計5セットを目安に取り組んでいます。これだけでも、翌日まで残るダメージは、アブローラーの右に出るものはありません。腹筋の筋肉痛ほどキツいものはないと思ってて、脚トレの比にならないつらさがあります。ひどいダメージのときは咳もできない。腹筋が攣るのは当たり前で、たまに腹がけいれんするんですよ。変な例えですが、お腹に赤ちゃんがいるような感覚になります(笑)。お腹が勝手に動いて「あ、今蹴った」みたいな。腹筋が肥大し過ぎて、絞ったとき、バキバキなのに腹が出てて、いわゆる内臓肥大しているみたいになります。オフシーズンも腹が出てるのに割れてるんですよね。

アブローラー後のパンプした腹筋割れたまま内側からせり出している!
━━20回という回数でもかなりの負荷をかけられるのですね。基本的にはシーズン通して同じメニューを?
芳賀 20回という1セットあたりの回数に変化はありません。ただオンシーズンでは、より質を重視した内容にしていますね。身体が軽くなる分、インターバルの時間をしっかりと決めたり、1レップ毎に腹筋の収縮を感じるようにやってみたり。同じ20レップでもやり方次第で負荷を増やすことができるので、そういった細かな質にフォーカスする意識を持っています。最終的に20回で力尽きるくらいの負荷を与えられるよう調整するイメージです。
初心者トレーニーはアブローラー+食事制限でシックスパックを目指してほしい
━━インフルエンサーとしても活動をする芳賀選手。SNSでの露出がある分「芳賀セブンのような腹筋を手に入れたい!」と筋トレに目覚める方も多いのではないのでしょうか?
芳賀 はい、ただ初心者の方でよくあるのが腹筋トレーニングさえしていればバキバキに割れるという勘違いですよね。まだ本格的にボディメイクに取り組んでいない方は、トレーニングに加え、ある程度の食事制限にも挑戦していただきたいです。
━━そう考えるとアブローラーは自宅でもできるので、どんな方にでもオススメできますね。
芳賀 その通りです。何よりも僕は、アブローラーが最もダイレクトに腹筋へ強い刺激を与えられる種目だと考えているので。絞ったときでも分厚く、映える腹筋を作り上げるためには高負荷トレーニングは必須だと断言します。
━━『アブローラー初心者』の方はどのようなフォームで取り組むべきでしょうか?
芳賀 まずは膝をついた状態から始めていただきたいです。恐らく初心者の方は、膝つきであっても最初は身体を伸ばすことができないと思うので、自分が耐えられる距離でOK。オススメは壁に向かって行うことです。限界の位置で壁にコツンと当たるくらいのポジションに膝をつき、徐々にその距離を伸ばせるようにしていくと良いと思います。
━━少しずつ段階を踏んでいくことが大切なのですね。
芳賀 膝つき・壁なしで完全にできるようになった方は立ち姿勢からの動作(以下、立ちコロ)にステップアップです。ただし、膝つきができるからといっていきなり立ちコロもできるわけでは決してありません。ここでも壁につける練習から始めていただければと思います。余談ですが、筋肉友達がアブローラーで壁に突っ込んで穴を開けたらしいのでそれだけ注意してください!
そして立ちコロができるようになった方は、最終形態として僕が実践するアブローラー3種目を真似してみてください!
圧倒的な努力量で打倒・扇谷開登を目指す
━━2026年も腹筋をはじめ、芳賀選手のさらなる進化を楽しみにしています。ズバリ、今後の目標は?
芳賀 日本選手権でファイナリストになることはもちろんですが、それよりも扇谷選手に少しでもお近づきになれるように……。彼は才能があることに加えて圧倒的な努力ができる選手です。そんなすごい選手に少しでも近づくためには、凡人の僕はそれを上回る努力が必要だと感じています。みんながやりたがらないキツいトレーニング、1年中節制された食事を食べ続けること、息を上げる有酸素運動に率先して、喜んで取り組んでます。ただ、扇谷選手ほど僕の身体やメンタルは強くないので、心身が壊れる前に休息を入れたり治療したりが必要になります。自分のキャパを超えて自滅しないように、最高の努力をしたい。
━━理想の身体はイメージできていますか?
芳賀 身長と四肢の長さは僕の骨格的特徴の一つです。身体の骨格も誰よりも大きいので、筋肉はもっと搭載できるはず。1年中ボディビルに徹してさらなる筋量アップ、丸みのある身体を目指し、信頼するダイエットコーチと共に挑み続けます。
━━芳賀さんの挑戦は始まったばかりですね。
芳賀 僕は今最高に幸せです。こんなに熱中できることがあるなんて。今の僕は、成長しない方が難しい。
真似すればシックスパックに⁉
芳賀流アブローラートレーニング
立ち姿勢からのアブローラー(立ちコロ)
20~30レップ×3セット(芳賀選手の場合)
【動作方法】
○両脚を可能な限り閉じ、直立する
○身体を前傾させ、立ち姿勢からアブローラーを前後に大きく動かす
芳賀流ポイント!
「一番エネルギーを使う種目です。重要なのは、残りのセットや種目を考えずに余力を出し切ること。時間かかっても良いから決めたレップをしっかりやり切ること!」
ネガティブ負荷アブローラー
20~30レップ×3セット(芳賀選手の場合)
【動作方法】
○床に膝をつく
○立ち膝の状態から、アブローラーを前に転がすタイミングで補助者に負荷をかけてもらう
○戻る際は可能な限り自力で対応する
※自分で戻ることが難しくなったタイミングで補助者に引き上げてもらう
※ゴールドジムではお客様の身体に触れての指導は行っておりません。
芳賀流ポイント!
「個人的にはつま先は立てておいた方が効きやすいと感じます。お腹は常に丸めて腰を反らないようにする!インターバルは1分以内!」
床突撃腹パンアブローラー
20レップ×2セット(芳賀選手の場合)
【動作方法】
○両脚を可能な限り閉じ、直立する
○身体を前傾させ、立ち姿勢から床に腹部を突撃させるイメージでアブローラーを前方へ転がす
○腹部先行でそのまま床へダイブ
※戻る動作はしなくてもOK
芳賀流ポイント!
「途中、何のトレーニングをしているのか分からなくなってきますが、ひたすら耐えることです。終わらないセットはない!いつかは終わる。あとは、いかにお腹から突撃できるか、ですね」
メモ
立ちコロ、ネガティブ負荷アブローラー、床突撃腹パンアブローラーの順に行うことで、徐々に腹筋への疲労がたまり、通常のアブローラートレーニングの動作ができなくなるイメージ。トレーニング終了後、腹筋運動が 1回もできなくなったら合格ライン!
芳賀涼平オリジナルブランドR.T.P.
その名の通り、限界(ピーク)までたどり着くための環境を作るブランド。 パワーグリップやトレーニングベルト、ウェアなどを展開中!
はが・りょうへい
1993年8月5日生まれ。神奈川県出身、身長178cm、体重92㎏(オン)、105㎏(オフ)。登録者数140万人越えのYouTuber。2014年全日本学生ボディビル選手権6位。2017~2019、2022~2023年神奈川県ノーギアパワーリフティング選手権105㎏級優勝、2023~2025年日本クラス別選手権90㎏超級3連覇



















